2018年問題に着目せよ 医療・介護・健康産業レッドオーシャン加速元年!

18歳人口は2012年度から2018年度にかけては118万人から123万人を推移していたが、2019年から2022年度にかけ毎年1万人の規模で減少し、2023年度から2024年度では4万人減少し105万になると予測されている。

すでに現在においても大学は「全入時代」であり、大学を選ばなければ、誰もがどこかには入れる時代である。

学生優位の買い手市場となっており、大学は選ばれる立場に追いやられた。

したがって、2018年以降は多くの大学の倒産、統廃合が生じることが容易に想像できる。

また、このような状況では以下のような現象が生じる可能性が高い。

1)就職率の高い医療系・介護系大学・専門学校へ学生が集中する
2)経営難な学校法人が医療系・介護系の学部等を開設あるいは定員の増設を図る
3)学校法人が医療介護系ビジネスに参入する

その結果、業界がレッドオーシャン化し、学生・学校・医療介護業界のすべてがレッドオーシャン化する。

このようなことから、2018年以降はヘルスケア業界はさらに熾烈な競争に突入するだろう。

しかも、2018年は診療・介護報酬の同時改定というビッグイベントと重なる。

長期的に見れば日本は人口減少化社会であり、2030年をピークに高齢化率は横ばいである。2050年には高齢者数も大きな減少に転じる。

少なくとも、2045年あたりから医療介護健康産業従事者の失業が、社会問題となる。

したがって、先述したような2018年からの状況は極めて好ましくないと考えている。

2018年に入学した人は、2045年には働き盛りの40歳代である。

そんな働き盛りの時に、大量の失業者が生まれることはなんとしても避けなければならない。

将来的な大量失業への取り組みが今から必要である。

各大学や教育機関は、キャリアデザインを見据えた教育のあり方を考え直す必要があるだろう。

2015年 介護報酬改定 リハビリテーションマネジメント加算Ⅱとリハビリテーション会議という厚労省のトラップに気づいているか?

2015年介護報酬改訂にて「リハビリテーション会議」という言葉が出現した。

この会議は、通所リハビリテーションやリハビリテーション事業所における加算項目であるリハビリテーションマネジメント加算Ⅱの要件として設置が求められているものである。

リハビリテーションマネジメント加算Ⅱの説明文は次のとおりである。

(1)リハビリテーション会議を開催し、利用者の状況等に関する情報を、会議の構成員である医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、居宅介護支援専門員、居宅サービス計画に位置づけられた指定居宅サービス等の担当者、その他関係者と共有し、当該リハビリテーション会議の内容を記載すること。

(2)通所リハビリテーション計画について、医師が利用者又はその家族に対して説明し、利用者の同意を得ること。

従来から行われていた情報交換を主体としたミーティングやサービス担当者会議ではなく、リハビリテーションに特化した会議を、医師を含めた専門職にて開催することが求められている。

また、項目の(4)には以下のように記載されている。

(4) 指定通所リハビリテーション事業所の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が、介護支援専門員に対し、利用者の有する能力、自立のために必要な支援方法及び日常生活上の留意点に関する情報提供を行うこと

つまり、リハビリテーションマネジメント加算Ⅱは、自立支援に向けた取り組みを本格的に行うために、医師を含めた専門職による会議を行うことが求められていると解釈できる。

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今回の介護報酬改定でこのような加算要件が設定されたことは、厚労省より「今までは、自立支援に向けて医師を含めた専門職の取り組みは不十分でしたよね?」とダメ出しをされたに等しい意味を持つ。

現在、著者のところにリハビリテーションマネジメント加算Ⅱとリハビリテーション会議の運営方法に関して多くの相談がきている。

その内容は「医師が協力してくれない」「医師は会議に出るが、リハビリテーションなんかわからないと言っている」「理学療法士や作業療法士が他職種に助言することが苦手」「自立支援に向けたシステムが整ってない」などである。

これこそまさに、厚生労働省が望んだ「カオス」である。

この「カオス」から、抜け出した事業所が真の生活期リハビリテーションを行う資格を与えられる。

通所リハビリテーションや訪問リハビリテーションの目的が、「利益のみ」であったところは、今回の介護報酬改定で間違いなく内部崩壊を起こす。

「自立支援と利益」を追求していた健全な事業所は、2015年度介護報酬改定は追い風となる。

2018年の介護報酬改定では、リハビリテーションマネジメント加算Ⅱは包括化される噂もある。

そうなると多くの通所リハビリテーションは存在意義を失い、収益も低下するだろう。

診療報酬改定や介護報酬改定は、制度変更を通じて、「人の働き方」「組織のあり方」の変化、つまり、働き方の変化、つまり、ワークシフトを求めている。

今まさに、ワークシフトの概念で組織をマネジメントすることが必要な時代になったと言える。

2015年 介護報酬改定 医師の働き方が狙い打ちされた

2015年度介護報酬改定が明らかになってきた。

介護保険領域における各職種の働き方の変化が求められている。

介護保険制度の変革は、「携わる労働者の働き方の変革」を求めている

2015年度介護報酬改定では看護師、介護士、セラピストのみならず、医師に関しても働き方の変革が求められた。

通所リハビリテーションにおいて、リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)が新設された。
その要件は以下のようなものである。

次に揚げる基準のいずれにも適合すること。

(1) リハビリテーション会議を開催し、利用者の状況等に関する情報を、会議の構成員である医師、理学療法士、作業療法士、言語療法士、居宅介護支援専門員、居宅サービス計画原案に位置づけられた指定居宅サービス等の担当者、その他関係者と共有し、当該リハビリテーション会議の内容を記録すること。

(2) 通所リハビリテーション計画について、医師が利用者又はその家族に対して説明し、利用者の同意を得ること。

(3) 通所リハビリテーション計画の作成に当たって、当該計画の同意を得た日の属する月から起算して6月以内の場合にあたっては1月に1回以上、6月を超えた場合にあっては3月に1回以上、リハビリテーション会議を開催し、利用者の状態の変化に応じ、通所リハビリテーション計画を見直していること。

(4) 指定通所リハビリテーション事業所の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が、介護支援専門員に対し、利用者の有する能力、自立のために必要な支援方法及び日常生活上の留意点に関する情報提供を行うこと。

(5) 以下のいずれかに適合すること。
・ 指定通所リハビリテーション事業所の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が、指定訪問介護の事業その他の指定居宅サービス事業に係る従業者と指定通所リハビリテーションの利用者の居宅を訪問し、当該従業者に対し、介護の工夫に関する指導及び日常生活上の留意点に関する助言を行うこと。

・ 指定通所リハビリテーション事業所の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が、指定通所リハビリテーションの利用者の居宅を訪問し、その家族に対し、介護の工夫に関する指導及び日常生活上の留意点に関する助言を行うこと。

(6)(1)から(5)までに適合することを確認し、記録すること。

(1)と(2)の項目に関しては、厚労省の強い意図が見える。

リハビリテーション会議に医師が参加すること、そしてその医師が通所リハビリテーション計画を利用者あるいは家族に説明することになっている。

筆者の経験から、「通所リハビリテーションの利用者に対して医師が積極的に関わる」という事業所はほぼ皆無ではないかと考える。

医師が、利用者の記録媒体へサインをしたり、急変時対応をすることがあっても、日頃のアセスメントやリハビリテーションへの参画、助言を行っている通所リハビリテーションはマイノリティーである。

通所リハビリテーションは、医師がいる病院、診療所、老人保健施設にて運営をすることができる。

よって、本来は医師が関わることができる通所系の介護施設であり、その存在意義は医師や医療専門家による充実したサービスを提供することである。

しかし、現実はどうか。

通所リハビリテーションと通所介護で行われている内容は大部分において超複しており、通所リハビリテーションとしての特性を出せている事業所は少ない。

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2014年度診療報酬改定にて、診療所に対して「地域包括診療料」(月1回/1,503点)という項目が新設された。

これは算定対象患者は、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、認知症の4疾病のうち2つ以上を有する患者に対して、医学的管理、介護保険の相談、夜間対応等をした場合に算定できる。

この算定要件には
①24時間対応(「時間外対応加算1」の届出)がされていること
常勤医師が3人以上在籍していること
③在宅療養支援診療所であること

これらの3条件を全て満たしている必要があり、一般の無床診療所での届出は、ほぼ不可能といわれている。

ここで重要なのは、②の常勤医師が3人以上在籍している必要があることが求めている点である。

今後、地域における診療所の役割は拡大していく。プライマリーケア、看取り対応、介護保険対応などが地域の診療所に求められるものである。

これらの内容を、診療所が真剣に取り組んでいくためには、一人だけの管理医師の勤務体制は不可能である。

しかし、現実的にはオーナーの医師のみが常勤の診療所がほとんどである。

医師が勤務している病院、診療所、老健は「複数医師の勤務体制を確立し、現実的に介護保険領域にも関わっていきなさい!」というメッセージが厚生労働省から出されたと言える。

看護師、介護士、セラピストだけではなく、医師も働き方を変えなければ、存続が難しい医療・介護制度へと加速している。

 

脱雇用社会への兆戦

現在の日本を取り巻く状況は激変している。

少子高齢化・経済のグローバル化・テクノロジーの変化は著しく、社会の予測が難しい情勢だ。

そのため、労働環境も不安定であり、安定的な環境下での労働が困難を極めている。

倒産、買収、人員整理、ビジネストレンドの変化などにより、職場の人間関係、求められる能力、雇用条件も影響を受けている。

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このような21世紀の不安定な労働環境をマーク・サビカスは「脱雇用社会」と呼んでいる。

皆さんは10年後の自分の生活を想像できるだろうか?

どこで働いて、どれぐらいの給料をもらって、誰と居て、どんなやり甲斐をもって生きているか?

安定した環境や職場で、将来の予測が可能な人生を歩む人はどんどん減っていき、多くの人が著しい環境変化の中で生きていくことなる。

すなわち、キャリア開発は、組織に依存させるのではなく、個人が能動的に取り組んでいく必要がある。

あなたの職場は明日、なくなるかも知れない。

5年後、あなたの勤めている会社は急激に業績が悪化するかもしれない。

あなたは明日、病気で倒れるかも知れない。

あなたは3年後、給料が減額されるかもしれない。

このような状況になっても、戦っていける能力を身につけなければならない。

脱雇用社会を前提とした生き方が常識の時代である。

仕事や人生の前進を阻害するベーシック・ミステイクに注意しろ

アーロン・ベックが確立した認知療法では、「人間の認知が行動や感情に影響を与えている」と考えている。

人間がどのように外界をとらえ、それを意味づけたか?という認知が、行動や感情に影響を与えている。


歯科医師になったが思ったより、給料をもらえないという出来事により、落ち込むという感情が生じた場合、「思ったより給料をもらえない」という出来事をどのように捉えているかという信念が落ち込みの感情を生じさせるのである。

このような非論理的な認知を、心理学では認知の歪みと呼ぶ。

認知の歪みには、6つの例があり、「ベーシック・ミステイク」と呼ばれている。

6つのベーシック・ミステイク
1.選択的抽出  文脈の中から一部だけを取り出し、全体の状況は把握せずに判断すること

2.恣意的推論  証拠がない、あるいは正反対の証拠があるにもかかわらず、否定的な結論を出してしまうこと

3.過度の一般化 一部分だけを取り上げて、すべての事柄に当てはめる

4.拡大解釈や過小評価 失敗の拡大解釈、成功の過小評価

5.自己関連付け わずかな情報を自分に関連付ける

6.分極化思考 白か黒か、両極端に考えること

このようなベーシック・ミステイクという非論理的な信念を持っていると、多くの出来事を悲観的に捉え、行動を制限してしまう。

例えば、すこし失敗しただけで「取り返しのつかないものである」と考えてしまったり、人から少し批判されただけで全員から批判されていると感じるなどが挙げられる。

セルフケアや部下の指導においては、ベーシック・ミステイクをしていないかを充分に注意し、もしベーシック・ミステイクに取り付かれている場合は、認知の歪を正していく必要性がある。

ちょっとしたことで落ち込む人、失敗を恐れて何もできない人、他人の目が気になる人はベーシックミステイクに陥っている