バブル崩壊やリーマンショックなどの経済危機や日本の債務超過により、企業のダウンサイジングやリストラクチャリングは加速を極めている。
その結果、長期雇用を前提としたキャリア・デザインは困難となっている。
長期雇用が約束される代わりに、従業員は退職せずに労働を提供し続けるという相互依存のキャリア・デザインのスタイルは完全に崩壊したと言える。
医療や介護においても、定期的に行われる診療報酬改定・介護報酬改定により、事業の再編、人材市場の流動化が加速化しており、長期雇用を前提とする状況ではなくなっている。
このような状況の労働市場で勝ち残るためにはエンプロイアビリティーを開発しなければならない。
エンプロイアビリティとは、「雇用され得る能力」「労働移動を可能にする能力」である。
現代におけるエンプロイアビリティの開発においては
一つの組織の中で展開されるキャリアではなく、様々な組織や労働市場で展開することを前提としたキャリア・デザインが重要と考えられる。
特に、地域包括ケアシステムの推進により、医療・介護分野においても新たな労働市場が生まれており、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・医師等のキャリア・デザインは複雑化している。
環境変化の激しい医療・介護分野において人材は企業にとっての「固定資産」ではなく「流動資産」となった。
この現実の中で、企業に対して優れた貢献を提供できる人材は、自らが望む労働市場を自由に移動することが可能となる。
つまり、能動的にキャリアを想像する自律支援型キャリア・デザインが今後の主流と言える。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・医師等が自らの資格にしがみつくのではなく、転移可能なスキル(どんな業種でも通用するスキル。例:コミュニケーション能力・事務能力・交渉能力等)も積極的に開発することが重要な時代に突入している。