セラピストの起業家の最大の欠点は「マーケティング力不足」である

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のキャリアは多様化しており、一昔前に比べて個人事業主や代表取締役社長して独立して活動する者が増えている。

しかし、経済的にもキャリアデザインの視点においても成功している人は少ない。

当然、独立すれば、雇用されている時と異なり「自らの顧客」を創造しなければ、収入は激減する。

つまり、独立が成功しない者は「顧客の創造」ができていないのだ。

「顧客の創造」を行う方法は「マーケティング」の他ならない。

「マーケティング」を実践せずに独立して働くなど、丸腰の状態で戦場に行くようなものである。

それでは、なぜ、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の個人事業主や起業家は「マーケティング」が苦手なのか?

それは、医療機関や介護事業所に勤めている時に「マーケティング」に関わることなど皆無だからである。

患者や利用者は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が自ら創造しているのではなく、医師や介護支援専門員から紹介をされている。

したがって、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が顧客を創造する「マーケティング」の必要性などを感じることは皆無である。

そのため、独立したとしても、「マーケティング」を学ぶことに対する心理的ハードルや手間などが生じ、起業家として成功できないセラピストが多い。

独立しているセラピスト、独立志望のセラピストは絶対「マーケティング」を学ぶべきである。

「マーケティング」をしなければ、事業が継続できずに自分自身のやりたいことすらできなくなるからだ。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

目の前の仕事を大切にできない人間は、見通しの良い未来を想像はできない

人生に明確な目標を設定して今を生きている人は全体の10%~20%ぐらいしかいない。

多くの人は、見通しの明るい未来を想像することが難しい。

職場の上司との面談では、部下に仕事や人生における目標を設定することことが多いが、目標を設定することは非常に難しい。

多くの人にとって目標設定は、非常にストレスあり、考えるだけでも混乱するような作業である。

また、一部の人は「頭のいい人や能力の高い人だけが目標を設定できるのであって、自分のような能力の低い人間は目標なんか設定できないです」と言う。

果たして、目標設定は頭のいい人、能力の高い人だけができるものなのだろうか?

答えは「No」である。

目標設定は、自身の価値観の先にしか生まれないのである。

したがって、価値観の明確化こそが目標設定において最重要である。 e269da681c340282ff5bbd7a932f5413_s 価値観を明確化させる方法として最も優れている方法は、実に簡単である。

目の前の仕事を一生懸命にすることである。

理学療法士、作業療法士、言語聴覚として一生懸命に働いていれば、「好きな仕事」にも、「嫌な仕事」にも出会うだろう。

好きな仕事、嫌いな仕事というのはあなたの価値観を反映しているものである。

価値観が明確になれば、その価値観の延長線上にある目標を設定すればよいだけである。

ただし、仕事一生懸命にしなければ、自分の価値観には気づけない。

理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 として目標を持てない人は、今の仕事に一生懸命に取り組んでほしい。

そうすれば、あなたの人生における目標が勝手にあなたに近づいてくる。

 

投稿者
高木綾一

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リハビリテーション部門コンサルタント
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関西医療大学保健医療学部 客員准教授

PT・OT・STのキャリアデザインを阻害する「イラショナル・ビリーフ」

信念とは「それが正しいと堅く信じ込んでいる心」である。

アメリカの臨床心理学者のアルバート・エリスは、信念には論理的な信念と非論理的な信念があると述べている。

非論理的な信念は英語でイラショナル・ビリーフ((irrational belief)と言う。

イラショナル・ビリーフは、悲観的思考であり、その思考は物事の結果を悲観的に捉え、心理的な落ち込みを生むものである。

つまり、「心理的な落ち込みは、物事の結果がそうさせたのではなく、イラショナル・ビリーフがそうさせたものである」という考え方である。

例えば、次のような内容は一見合理的な信念と感じるが、実はイラショナル・ビリーフである。
1)嫌われてはいけない
2)できるだけ完璧に物事は仕上げないといけない
3)困難なことが起これば、立ち向かうより避けるほうが楽である
4)人から批判されたから自分はダメな人間である

イラショナル・ビリーフには
「ねばならない信念」例:人には好かれないといけない
「悲観的信念」例:〇〇が起こったから、もう〇〇は絶望的である
「非難・自己卑下信念」例:〇〇ということが起こったから、私はダメな人間なんだ 「欲求不満低耐性信念」例:〇〇をすることは耐えられない
という4種類存在する。 29e4249217ed0aca74e7e081b73ab9b4_s このようなイラショナルビリーフは、個人差はあれば誰でも持っている。

所謂、「思い込み」や「勘違い」が自身の考えを支配し、誤った行動を誘発していると言える。

例えば、「ある患者から治療に関するクレームを言われたから、自分はセラピストとしてダメな人間なんだ」と考えたとする。

しかし、これは明らかにイラショナル・ビリーフである。

ある患者からクレームを言われたということだけで、「セラピストとしてダメ」ということは論理的におかしい。

また、一度クレームを言われた程度で、自分のことを判断することも論理的ではない。

そして、そもそもクレームを言われない人などいないので、一度のクレームで自己否定をするのも論理的ではない。

イラショナルビリーフは人生や仕事を前進させにくい。

ぜひ、自身のイラショナルビリーフに気づいていただきたい。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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国家資格キャリアコンサルタント
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医療・介護コンサルタント
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修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

PT・OT・STの転職戦略~学び重視型転職か、価値提供型転職か~

一昔前に比べ、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の転職は全く珍しいことではなくなった。

30代半ばまでに複数の職場を経験している人も少なくはない。

転職が一般的なことになっているのは
一つのところで働き続けるという価値観がなくなった
転職を斡旋するエージェント会社が多数存在している
SNSなどで他人の転職事情を知り転職に感化される機会が多い
などが原因と考えられる

ほとんどの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が転職する際に拘ってる事柄は「今の職場の給与より高い職場への転職」である。

簡単に言えば、給与を上げるために転職を考えるということである。

しかし、給与を上げることだけを目的に転職先を選んだ人がその後転職先職場でパフォーマンスが下がり、結局、退職するという事例を散見する。

実は転職には二種類の転職がある。

学び重視型転職
転職先職場から多くの知識や経験を学ぶことができ、自分自身のスキルアップが実現できる転職である。
この場合、学ぶことが主な目的であるため転職先組織に対する貢献には時間がかかるため高い給与をもらうことは難しい。

価値創出型転職
自分自身の知識や経験を転職先組織に提供し、その組織のサービスや売上げ向上に寄与する転職である。
この場合、転職先組織に対する価値提供ができるため給与に関して交渉する事も可能であり、高い給与をもらえる可能性が高い。

つまり、現状より高い給与をもらうためには価値創出型転職でなければ難しいのだ。

価値を提供できずに高い給与をもらうことになれば、当然、職場での評価は低くなり様々な面での処遇が厳しくなる。

給与を上げるために転職を行うことにはリスクがあることを認識するべきである。

転職を考えている人は自分がどちらの転職をしようとしているのかを冷静に考えてほしい。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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関西医療大学保健医療学部 客員准教授

PT・OT・STのキャリアデザインを考える サニー・ハンセンの「統合的人生設計」

従来のキャリア理論は、個人の興味・関心・価値観を最重要視しており、個人の特性が最もキャリアデザインでは重要であると説明している。

しかし、社会環境の激しい変化や価値観の多様性が進む現代社会においては、個人の特性のみを考えたキャリアデザインでは、困難な状況に陥る可能性がある。

そのような背景を踏まえて、1997年にサニー・ハンセンは、「統合的人生設計」という概念を提唱した。

「統合的人生設計」とは、個人・その家族・地域社会・世界のニーズを包括的に考え、キャリアデザインを行っていく考え方である。

統合的人生設計には以下の6つポイントがある。

1)グローバルな視点から仕事を探す
興味・関心・能力・価値観だけでなく、地球規模で必要とされている事柄や課題に興味を示し、それらの解決をどのようにすればできるかについて考えることが重要である。
そのうえで、自身の仕事について考える。

2)自分の人生を「有意義な全体」として位置づける
職業選択では、人生の複数の役割と職業をどのように組み合わせるかについて考えるべきである。
興味や満足だけでなく、人生における様々な要素と組み合わせることが重要である。

3)家族と仕事を結びつける
伝統的な男女の役割は大きく変化しており、今後も女性の社会進出や男性の仕事に対する考え方の多様化は進んでいく。
育児・家事・介護なども夫婦や家族における重要な役割であり、これらのことも考慮したキャリアデザインが重要である。

4)多様性と包括性を重んじる
人種・民族・社会階級・宗教・年齢・性別・身体能力・性的嗜好など自分とは異なる人々で社会は構成されてい。
よって、多様性を重んじる姿勢でキャリアデザインを行っていくことが重要である。

5)内面的な意義や人生の目的を探る
仕事を通じて得られる内面的な意義を見出すことが重要である。
職業選択においては、内面的な意義を感じられるかに焦点を当てる必要がある。

6)個人の転機と組織の改革に対処する
社会環境の激しい変化や終身雇用制の崩壊により、各個人が自身の人生の変化に対処する技術が必要となっている。
キャリア形成においては、自身の人生の変化にも対処できる技術を身に着ける必要がある。 090750 例えば、セラピストが興味を持った事柄について取り組もうとした時に、その事が社会に貢献しないことだったり、家族に迷惑をかける可能性があることがわかったとする。

その場合、社会貢献や家族との調和の視点から、改めて自分のしたいことは本当に必要なことであるかを考えることが重要となる。

興味・関心・価値観だけで、キャリアデザインを行うのではなく、社会や身近な人との融和や貢献について考えることが、これからのキャリアデザインには必要であるとサニー・ハンセンは提唱している。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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