PT・OT・STが他の資格を取得する際の注意点

現在、PT・OT・STが他の資格取得を目指すことは珍しいことではない。

医療資格のダブルライセンスを持つ者、医療と介護領域の資格を組み合わせたハイブリットライセンスを目指す者、自身の仕事の関連領域の資格を目指す者、大学院で学位を目指す者など様々な形で資格取得を目指すPT・OT・STが急増している。

PT・OT・STが他の資格を取得する上で、どのようなことに注意するべきか?

確実に言えることは、「資格取得をすれば、業界で生き残れる」ということはないということ。


(無断転載禁止)

その理由は、理由は二つある。

一つ目の理由
資格は手段であり、目的ではない。

資格は目的を達成するための、単なる手段である。

つまり、目的が明確でなければ、資格を取得してもその資格が目的達成の手段になることはない。

目的が達成されなければ、資格取得のためにかけた時間やお金は無駄となり、人生の貴重な資源(時間やお金)を失ったことになる。

単に知識や教養を増やしたいというレベルであれば、資格取得は有効である。

多くのPT・OT・STは自らの仕事のレベルアップを図るために、資格の取得を目指している。

この場合は なぜその資格が必要であるか? その資格は自分の仕事や人生にとってどのように有効であるのか? について綿密に考えなければ、資格取得に要した時間やお金が無駄になってしまう。

最も、悲惨な事例は、沢山の資格を持っているが、それらが自分の仕事や人生に全く活かされていないことである。

PT・OT・STは勤勉で勉強が好きな人も多く、他の資格取得を真剣に考えている人も多い。

しかし、本当にその資格が必要であるかについて、今一度考えたほうが良い。

二つ目の理由
資格取得はその仕事に携わるための最低限の許可を得たに過ぎない。

つまり、仕事における品質を、保証したものではない。

仕事の品質の上げる気持ちがなければ、その資格は持ってるだけで無駄となる。

資格は「ステータスになる」「就職に有利」「将来に安定」「独立がしやすい」というイメージで、資格取得を目指す人がいるが、資格を得ただけで仕事や人生が上手くいくことは皆無である。

資格は、その仕事をするためのパスポートであって、能力や品質を証明するものではない。
あくまでも、自身のPT・OT・STとしての仕事の評価は資格が決めるのではなく、勤め先、患者、利用者、関係職種が決めることである。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

イラスト提供
福山真樹
理学療法士×イラストレーター

医療・介護等の現場を、医療職種の胸の内まで分かりやすくイラストで伝える。
臨床で勤務する理学療法士だからこそ描ける作品を医療関係者等へ提供し、書籍・学会・福祉機器紹介PV等、様々な場面で用いられている。
問い合わせ先
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言語聴覚士という仕事

言語聴覚士の定義
1997年に定められた「言語聴覚士法」により定められたリハビリテーション専門職の一つである。

「言語聴覚士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、言語聴覚士の名称を用いて、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行うことを業とする者をいうと定義されている。

言語聴覚士の仕事場

医療機関
医療機関の口腔外科、耳鼻科、リハビリテーション科に属している言語聴覚士が多い。

口腔機能、音声機能、脳機能などの検査と治療を行う。

高齢者の入院患者が多い病院では、誤嚥性肺炎が多いことから、管理栄養士、看護師、歯科衛生士と連携して摂食嚥下のリハビリテーションに携わることが多い。

介護老人保健施設などの高齢者施設
施設の場合、加齢や脳卒中などの影響から口腔機能が低下している高齢者が多いため、食事面において、言語聴覚士の役割が大きい。

特に食形態や歯の状態なども言語聴覚士として、評価し、治療や支援をしていく必要がある。

施設の場合、医療機関と異なり、リハビリテーションを提供する時間が短いことから、日常生活の場面を利用して支援していくことが求められる。

今後の傾向
現在、国策により、在宅で生活をする高齢者や障害をもつ方は増加している。

現在、在宅分野に就労する言語聴覚士は理学療法士、作業療法士と比較して少なく、

今後は、通所リハビリテーションや訪問リハビリテーションといった介護保険領域での活躍が期待されている。

言語聴覚士の数
言語聴覚士は全国的に不足しており、4割前後の医療機関が言語聴覚士の不足を感じている(下図)。

言語聴覚士の活躍の場はこれからも増えていくと予想される。


医療従事者の需給に関する検討会 第2回 理学療法士・作業療法士需給分科会
資料3(平成28年8月5日)

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

「動作分析はできませんが、活動・参加は促せます」は詭弁

理学療法士の専門性は基本的動作能力の改善

作業療法士の専門性は応用的動作能力の改善

これは法律で定められていることである。

2015年度介護報酬改定にて、利用者の活動・参加の推進が強くなって以来、活動・参加に尽力するセラピストが増えている。

これは素晴らしいことであり、本来のリハビリテーションのあるべき姿である。

しかし、一方で、心身機能と活動・参加の介入のバランスが偏っているセラピストがいるのも実情である。

まずもって、理学療法士・作業療法士は基本的動作能力、応用的動作動作能力の分析ができなければ、本末転倒である。

しかし、動作分析が全くできず、利用者のポテンシャルを引き出せないセラピストが急増している(下図)。


(無断転載禁止)

動作に対する評価や治療は、活動・参加を推進する土台である。

動作分析をもろくにせず、ただ、活動・参加を促すのでは、活動・参加が心身機能を改善させることもないだろう。

動作を構成するのは各関節運動である。

そして、各関節も大関節から小関節で構成されている。

したがって、理学療法士・作業療法士は、活動・参加、そして、動作、関節運動を包括的に見れる能力が必要であり、それが他のライセンスとの差異であろう。

動作分析ができる人が活動・参加に取り組む。

活動・参加ができる人が動作分析に取り組む。

こんなことが当たり前になる時代にならなければ、セラピストに未来はない。

投稿者
高木綾一

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PT・OT・STはスーパー理論「ライフロール」を活用しよう

米国の学者であるドナルド・E・スーパーが提唱した最も古典的な理論である。

古典的な理論ではあるが、現代でも通じる普遍的な価値観を包含する理論である。

スーパーのキャリアの考え方は二つに分けられる。

1つ目は「ライフステージ」

2つ目は「ライフロール」

ライフロール
キャリアは人生のそれぞれの時期で果たす役割(ライフ・ロール)の組合せであるという概念で、各人の価値観・興味・好奇心・関心が、それぞれの時期で果たす役割に影響を与えると考えられている。

ライフロールの種類
子供・学生・市民・労働者・配偶者・親・余暇を楽しむ人

あなたが重点をおきたい役割は時期に応じて変化する。

PT・OT・STとして働き始めた時期は、専門職として一人前になることへの強い価値観が芽生える時期であり、労働者としての役割へ強いこだわりが生じる。

また、人によってはPT・OT・STとしての技術を向上させるために、労働者と学生という二つの役割を同時並行で担う場合もある。

さらに、親が年をとるとともに、子供としての役割が求められ、親の老後への対応を行う役割が増えてくる。

それぞれのライフステージにおいてどの役割に重点 を置きたいかを考えることは、人生や仕事において極めて重要なことである。

来的には複数の役割を演じる可能性も高く、上手く役割を担うための準備も必要 である。

価値観を明確し、自分の価値観を満たす役割が担える仕事や勤務先を選択することが、理想の仕事・人生に近づく方法である。

投稿者
高木綾一

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セラピストとしての自立と自律がない人がリハビリテーションの質を下げている件

自立とは
他の助けや支配なしで一人で物事をおこなうこと

自律とは
自分の立てた規範に従って自らのおこないをコントロールすること

皆さんの周りのセラピストは自立と自律を兼ねそろえているだろうか?

あるいは、自立と自律のどちらかを持っているだろうか?

法律上、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、「医師の指示のもと」において診療の補助を行うことになっている。

しかし、現実として「医師の指示」が理学療法・作業療法・言語聴覚療法の専門性の細部まで至ることは不可能である。

そのため、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、各分野の評価と治療を習得し、医師の指示のもと、自立と自律の精神をもって、利用者に対応しなければならない義務がある。

だが、残念ながら、自立と自律の精神を持たずに、医師の指示されたことだけを専門職としての思考をめぐらさずに、利用者に提供しているセラピストが増えている(下図)。


(無断転載禁止)

医師は「専門職としての理学療法士・作業療法士・言語聴覚士」を信用し、リハビリテーションの処方箋を発行している。

そして、必要に応じて医師と高いレベルで連携することを望んでいる人もる。

医師と高いレベルで連携するためには、当然、セラピストに自立と自律が必要である。

自立と自律の精神を持つ専門性の高いセラピストは、医師や看護師などにも医療や介護に関することをフィードバックする能力を持っている。

医師や看護師にとって、セラピストのフィードバックは医療や看護を行う上で非常に重要である。

皆さんの周りのセラピストは自立と自律を持っていますか?

リハビリテーションの質を上げるためには、セラピストの自立と自律の精神の醸成は欠かせない。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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イラスト提供
福山真樹
理学療法士×イラストレーター

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