キャリア理論 スーパーの「ライフステージ」

米国の学者であるドナルド・E・スーパーが提唱した最も古典的な理論である。

古典的な理論ではあるが、現代でも通じる普遍的な価値観を包含する理論である。

スーパーのキャリアの考え方は二つに分けられる。

1つ目は「ライフステージ」 2つ目は「ライフロール」である。

ライフステージ
スーパーは、人生を5つのステージに分類した。

それぞれのステージに職業的発達課題があるとしており、生まれてから死ぬまでの生涯活動がキャリアであると定義している。

ステージ1 成長段階 0-15歳
自我に気づき、自分の価値観や性格を認識する時期 働くことの意味について考え始める時期

ステージ2 探索段階 16-25歳
職業に興味を示し、実践的な関わりを得る時期 実践を通じて、自身への適応具合を判断する時期

ステージ3 確立段階 26-45歳
職業への方向づけを明確にして、職業の主軸を形成し、アイデンティティを確立する時期

ステージ4 維持段階 46-65歳
自身の立場や役割を保持し、人生を発展させていく時期

ステージ5 下降段階 60歳以上
退職・引退・セカンドライフを楽しむ時期

現在、多くのPT・OT・STはステージ2かステージ3に立っているのではないだろうか?

確立段階や維持段階では、自身のキャリアのあり方について深く考え、具体的な行動が必要とされる。

これからの時代においては、PT・OT・STを取り巻く環境は厳しくなっていくため、ステージ4以降の職業人生に大きな不安がある。

ステージ4 維持段階以降を充実したものにするためには、ステージ3とステージ4での綿密なキャリアデザインが重要である。

特に、ステージ3 確立段階にいる人は「自分に適した仕事の分野や内容は何か?」ということを見極める時期であり、一つの仕事や業界に固執するのではなく、様々なことに取り組み、仕事への感性や人生の価値観を発見する必要がある。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

 

作業療法士という仕事

作業療法士の定義
1965年に定められた「理学療法士及び作業療法士法」により定められたリハビリテーション専門職の一つである。

法律上の定義は「厚生労働大臣の免許を受けて、「作業療法士」の名称を用いて、医師の指示の下に、「作業療法」を行うことを業とする者をいう。」となっている。

また、法律では『「作業療法」とは、身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行なわせることをいう。 』となっている。

作業療法士の仕事場
上記の作業療法士の法律上の定義より、医師の指示を受けて作業療法を行うことが原理原則となっていることから、病院、診療所、老人保健施設などの医師が勤務しているところで働くことが一般的になっている。

介護保険分野で働く作業療法士が増えてきたのは、2010年前後からである。

特に、訪問リハビリテーションや老人保健施設に勤務する作業療法士が増加している。

作業療法士の仕事内容
作業療法士の仕事は一般的に以下の3つのステージに分けられる。

急性期
救急機能をもつ病院や大学病院などで、重症な患者に対して救急治療や濃厚な治療を行う時期である。術前・術後にリハビリテーションを開始する。病院によっては、集中治療室(ICU)でリ ハビリテーションを行うこともあり、高度な医療知識やリスク管理が求められる。作業療法士は急性期から自立した生活にむけたセルフケアや日常生活動作の獲得を支援する。

回復期
病状が落ち着き本格的に身体機能の回復と在宅や職場復帰のために環境調整を行う時期である。日常生活動作や日常生活関連動作の回復を図りつつ、住環境の調整を行うなどの取り組みを行う。在宅や職場で自立した生活が行えるように日常生活動作の指導や自助具などの使用方法についても検討する。

生活期
在宅生活や施設で生活をしている人への身体機能や活動性の維持・向上に関する支援を行う時期である。また、近年では重症な人や看取り期の人も在宅で生活をしていることから、急性期に関する知識やターミナルケアに関する知識が必要である。さらに、長い生活期では状態変化に応じた介助方法や日常生活動作に関して家族や介護者への支援も作業療法士の仕事である。 作業療法士の特徴として、以下に示す分野での就労がある。

精神科病院・デイケア
精神科作業療法を用いて、精神障害の方へリハビリテーションを提供する。個別あるいは集団療法により、症状の回復、安定を図る。また、環境整備や様々な体験を通じて、自己効力感の回復、生活技能の獲得を促進する。個別評価に基づき心理療法やレクレーションなど様々なアプローチを行う。

就業継続支援
通常の会社や企業に雇用されることが困難な障害者に対して,就労の機会を提供するとともに,就業に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う事業所。

作業療法士の数 理学療法士と同様に、作業療法士の数も急増している。 作業療法士人数

出典元:厚生労働省 2015年12発表 作業療法士従事者数

投稿者
高木綾一先生

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関西学院大学大学院 経営戦略研究科

そもそも、キャリアデザインとは何か?

「キャリアデザイン」とは何か?

「キャリアデザイン」を考える前に、「キャリア」の意味について考えてみる。

「キャリア」とはあなた自身が今日までに作り上げてきた人生の軌跡であり、これから歩んで行きたい人生の軌跡である。

まさに雪道の上のワダチのようなもの。

PT・OT・STの方は資格を取得してから、今日までセラピストとして様々なキャリアを経験してきただろう。

そして、キャリアは人の数だけキャリアの種類がある。 ee71781c4a0b289dedd675d75d658557_s 自分が歩んできた人生の軌跡を振り返った上で、今後の人生の軌跡を考えることが「キャリアデザイン」である。

「キャリアデザイン」では、PT・OT・STとしての今後の人生における短期・中期・長期にわたる目標を定める。

その目標は、過去のキャリアで培ってきた価値観・経験・能力を基に定めるものである。

自分の価値観に適合しないキャリアや絶対に実現できないキャリアを計画することは、人生の時間を無駄にする。

診療報酬改定・介護報酬改定が数年に一回行われ、社会情勢の変化が激しい世の中では、PT・OT・STを取り巻く雇用情勢も変化する。

このような雇用情勢では、人材の流動性が高くなり、多くのPT・OT・STが転職活動や起業活動を行うようになる。

転職や起業を考える人にとって、今までのキャリアを棚卸し、その上で、自分自身で能動的にキャリアをデザインしていく心構えが重要である。

現在の自分が持っているセラピストとしての経験・価値観・能力と、雇用情勢を照らし合わしながら、達成可能な転職や起業を目指すことが「キャリアデザイン」である。

投稿者
高木綾一先生

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関西学院大学大学院 経営戦略研究科

理学療法士という仕事

理学療法士の定義
1965年に定められた「理学療法士及び作業療法士法」により定められたリハビリテーション専門職の一つである。

法律上の定義は「厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示のもと「理学療法」を行うことを業とする者をいう。」となっている。

また、法律では『「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えること』となっている。

理学療法士の仕事場
上記の理学療法士の法律上の定義より、医師の指示を受けて理学療法を行うことが原理原則となっていることから、病院、診療所、老人保健施設などの医師が勤務しているところで働くことが一般的になっている。

その流れもあり、現在でもほとんどの理学療法士は医療機関に属している。

介護保険分野で働く理学療法士が増えてきたのは、2010年前後からである。

理学療法士の仕事内容

理学療法士の仕事は一般的に以下の3つのステージに分けられる。

急性期
救急機能をもつ病院や大学病院などで、重症な患者に対して救急治療や濃厚な治療を行う時期である。術前・術後にリハビリテーションを開始する。病院によっては、集中治療室(ICU)でリハビリテーションを行うこともあり、高度な医療知識やリスク管理が求められる。また、術後の廃用症候群を防止するために早期離床への取り組みが求められる。

回復期
病状が落ち着き本格的に身体機能の回復と在宅や職場復帰のために環境調整を行う時期である。日常生活動作や日常生活関連動作の回復を図りつつ、住環境の調整を行うなどの取り組みを行う。動作分析、補装具や環境調整に関する知識が求められる。

生活期
在宅生活や施設で生活をしている人への身体機能や活動性の維持・向上に関する支援を行う時期である。また、近年では重症な人や看取り期の人も在宅で生活をしていることから、急性期に関する知識やターミナルケアに関する知識が必要である。家族や介護者への支援も必要となる。

その他のステージとして以下のものが挙げられる。

スポーツ現場/スポーツチーム
スポーツチームと契約し、アスレティックリハビリテーションや障害の予防に携わる。 チームドクター、トレーナー、監督、コーチと連携し、選手の競技復帰やパフォーマンス向上を支援する。日本ではプロ野球、Jリーグにチーム専属の理学療法士が近年増えている。

健康増進施設
フィットネスクラブなどの健康増進施設で、運動指導や介護予防を行う。高齢化の影響によりフィットネスクラブの会員も高齢者が多く、障害予防や老年医学を基にした運動指導が必要となっている。また、近年では行政の委託を受けて、フィットネスクラブで介護予防教室が行われることも多くなっている。

理学療法士の数
現在、理学療法士の数は急増しており、世界的に見ても一つの国にこれほどの理学療法士が存在する国は希である。

投稿者
高木綾一先生

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キャリア理論ってなんだ?

これからの時代を生きるPT・OT・STにとって、キャリア理論を知ることは益々重要となっている。

これからの人生を自分らしく生きていくために、「キャリア理論」を活用する有用性は高い。

「キャリア理論」を、簡潔に説明すると「自分自身の過去を振り返り、今とこれからの生き方や働き方を決断することができるツール」と言える。

仕事とは何か?

人生とは何か?

そういった悩みもつPT・OT・STが急増している。

普通に働いていれば昇給する、年金が満額もらえる、終身雇用が保障されている・・・などの時 代は終焉し、今は昇給もわずかな金額となり、年金制度も破綻し、終身雇用制度も崩壊した。

つまり、頑張っていれば確実に起こっていた出来事が、今からの時代は起こらない。

そのような時代で必要なことな何か?

それは、自分らしく生きていくために必要な「自分軸」である。

PT・OT・STとして、このように働いていきたい、

こんな人生を歩んで行きたいという動機があれば、たとえ社会情勢が不確実なものとなっても、自分らしさを保つことが出来る。

もし、社会情勢も不確実、そして、自分自身の働き方や生き方の軸もブレブレとなれば、自分の人生は、社会情勢や自分を取り巻く環境に支配されるだろう。

「自分軸」を作るためには、自身の人生の「過去」「現在」「未来」を分析し、今までのキャリアとこれからのキャリアについて考える必要がある。

その時に役立つ物事の考え方が、「キャリア理論」である。

当ブログでも様々な「キャリア理論」について解説しているので参考にして欲しい。

投稿者
高木綾一

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