仕事では「いい人」と呼ばれて喜んではいけない

医療・介護コンサルタントして仕事をしているとよくこんな場面に出くわす。

私:〇〇さんは、ルールも守れず、また、自主性もないので管理者としては不適切ですね
クライアント:そうなんですよ。問題だらけです。でも、いい人なんですよ。本当に。

こんな会話は多くないだろうか。

いい人なんですよ。 という言葉は、どういう意味を持つのだろうか。

仕事はできないが、いい人なんでそれほど悪い人ではないと言いたいのだろうか。

仕事場では、いい人はいらない。

仕事場では、仕事ができる人が必要であり、いい人はそれほど必要ではない。

大体、仕事ができる人は、「いい人」ではない。

組織や業績のために言わなければならないことが、たとえ、相手の嫌がることであっても、平然と言ってのける人間が仕事では、結果を出す。

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そして、こういう人間は周囲から「きつい人」「怖い人」と言われ、「いい人」とはかけ離れた印象となる。

確かに、20代では「いい人」は評価されるかもしれない。

周囲と調和して、友達も多く、人間関係上の問題も起こさない。

しかし、仕事の結果やチームビルディングが期待される30代、40代で「いい人」は、周囲との人間関係は良好であっても、周囲との軋轢を回避するため、根本的な仕事上の問題点が解決できず、良い結果を残せないことが多い。

仕事では、いい人であることではなく、仕事で良い結果を残すことが求められる。

仕事ができる人になりたければ、「いい人」を卒業しなければならない。

いい人と呼ばれて喜んでいるようでは、だめだ。

今からの時代は副業はない。すべてが本業である

多くのセラピストがダブルワーク、トリプルワークをしている。

本業だけは、生活が苦しかったり、自己研鑽の費用の捻出が苦しかったりする。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の平均年収は400万円以下であり、今後もそれを超えることはないだろう。

平均年収400万円では、将来の生活に不安がつきまとう。

よって、多くのセラピストは、休日に時給の高い非常勤を行うことが多い。

しかし、もう一段階上の次元での働き方をお勧めする。

その非常勤はあなたにとってどのような投資であるのか?という視点を持つことである。

非常勤で働いている時間は、人生にとって非常に重要な時間を切り売りしている時間でもある。

時間は有限であり、時間をいかに有効活用できるかで将来の収入や充実感が変化すると言っても過言ではない。

そんな貴重な時間を、単なる時給稼ぎのために使用することは避けるべきである。

これからの時代は、本業と副業の区別がない時代であり、すべての経験を本業と捉え、そのキャリアを人生や仕事で活かしていく姿勢が求められる。

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例えば、回復期リハビリテーション病棟に勤務をしているセラピストが、訪問リハビリテーションにて非常勤勤務したとする。

訪問リハビリテーションでは、医療と介護の連携が難しかったり、高いコミュニケーション能力が求められたり、看護師との連携が必要になったりする。

これらの経験は、確実に回復期リハビリテーション病棟での業務に活きるとともに、将来への投資になる。

個別場面で経験したことを、統合し、仕事をする上での価値観として統合していくことがこれからの時代のキャリアデザインでは必要である。

本業と副業はあくまでの収入の大きさだけで判断をした分け方である。

キャリアや経験という意味では、本業と副業という分け方は不適切である。

経験していることがすべて本業である。

空気を読めない人は三流・空気を読む人は二流・空気を創る人が一流

職場の意向や指針とは全く異なることを、根回しもなく、突然、言ってしまい全員から総スカンを喰らう人がいる。

職場の意向や指針とは違うことを言うことは、悪いことではない。

適切なタイミングで、適切な場所で、建設的な意見を言うことができれば、総スカンを食らうことはない。

しかし、空気を読めない人は、不適切なタイミングで、不適切な場所で、不適切な意見を言ってしまう。

日本の職場では、空気を読むことが美徳されている。

筆者は、空気を読むを、「その場の雰囲気から状況を予測し、自分がするべきことやしないこと、あるいは相手に求めることや求めないことを決定していく思考過程」と定義している。

この能力は重要である。

職場のミッション遂行を支えるために、従業員は存在する。

よって、従業員の空気を読む力というのは、重要な経営資源である。

しかし、空気を読む力に長けた職員がばかりが増えるのは、実はよくない。

空気を読む力は、組織の具体的な報告性が示されている時には大きな力を発揮するが、経営状態が悪化した時や、組織の方針が揺らいでいるときには、状況を打開する力を持たない。

このような時には、空気を創る人材が必要である。

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自分の意見や考えを周囲に伝えたり、明るい挨拶や素晴らしい接遇をしたり、前向きな発言をすることで、新たな空気を創ることができる。

特に、経営状態が低迷している、組織改革が必要な状況、大きな課題が山積している状況の職場では、空気を読む人より空気を創る人材が求められる。

空気を読めない人は三流
空気を読む人は二流
空気を創る人が一流

あなたはどの人材であるか?

 

キャリア・ハイを目指すには会社や部門より求められる以上の仕事をする必要がある

今の職場で認められるためには、会社や部門より求められる以上の仕事をする必要がある。

求められている仕事は、お給料をもらうためにしなければならない最低限の義務である。

求められている以上の仕事をして初めて、「仕事ができる人」として認識される。

新しいプロジェクトや組織改革について、率先して理解し、協力する姿勢を持っていれば自ずと、仕事の内容が「最低限の仕事」から「最高点を目指す仕事」に変化していくだろう。

経営環境が厳しい今の医療・介護業界では、有能な人材はすぐに目立つ

有能な人材と認知されれば、あなたが想像している以上に付加価値の高い仕事が舞い込んでくる。

付加価値の高い仕事は、新しい経験や知識を学ぶチャンスでもあり、かつ、処遇も向上する可能性が高い。

介護報酬改定・診療報酬改定により、介護事業所や医療機関では短いスパンで様々なとプロジェクトや新規事業が行われる。

そのような新しい取り組みに対して、傍観者のような態度しかとれない人材は、職場で認められる人材には、決してならない。

傍観者への評価は厳しい。

傍観者は新しいプロジェクトや新規事業に対して行動を起こさずに、批判ばかりを繰り返す「社内評論家」と認識される。

また、傍観者は、自ら建設的な意見をもっておらず、ただ単純に、仕事環境の変化を嫌がっているだけの、「保身者」として認識される。

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環境変化の激しい時代の医療・介護経営において、「評論家」と「保身者」は最も評価されない人材である。

今の時代に働く医師・看護師・理学療法士・作業療法士などの医療従事者にとって、求められる以上の仕事をすることは、キャリア・ハイの必須項目である。

 

付き合う人でキャリアは変わる

自分より能力の高い人と交流が少ない人は多い。

正確に言うと、自分より能力が高い人との交流がしたくない人が多い。

なぜならば、
自分より能力の高い人と交流すれば、その人との能力の差を感じ、その能力の差が、自分自身を傷つけることになるからだ。

よって、傷つくことを恐れて、自分より能力の低い人との交流を選ぶ人が多い。

自分より能力の低い人と交流すれば、自分が傷つくことはないし、時に、相手から認められ、優越感を感じることもある。

しかし、そのような環境に身を置くと、将来のキャリアにおいて取り返しのつかない事態を招く。

これからの社会においては、自分の能力を高めていくことは、益々、重要となってくる。

日本の終身雇用制は完全に崩壊しており、働く人の価値の高低が雇用の有無を決める最大の条件となってきた。

しかし、看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師・薬剤師等の医療従事者は、自分が提供できる価値よりも、国家資格を振りかざして働いている人が多い。

そのような人は、資格に依存したキャリアを歩んでいる。

もし、近い将来、資格だけでなく、その人の価値に重きが置かれる時代になったとすれば、資格を振りかざした人たちは労働市場から総スカンを喰らうだろう。

たしかに、自分より能力の低い人たちと交流を持つことは、精神的には楽である。

しかし、そのようなことをしていると、全く自分の能力の棚卸ができず、能力の向上に必要な「能力の現状把握」が困難となる。

最も悲惨な状況は、自分の現状把握もできていないことに加えて、「自分はしっかりと価値提供ができている」と勘違いしまうことである。

これは、自分の能力の比較対象が自分より能力の低い人となっているために、生じる現象である。

自分の能力を伸ばしていくための、比較対象は、「自分より能力の高い人」や、「昨日までの自分」でなければならない。

付き合う人で人生は変わる。

キャリア開発をする上で、付き合う人は極めて重要である。