電話一本もろくにできない医療・介護従事者は、将来の見込みなし

医療機関や介護施設に勤めていると、社内PHSや携帯電話で社内外の方と話すことが多い。
また、目の前の相手が、自分との会話中に、会話が中断して、他人と電話でやり取りをすることも多い。そんな時によく経験することがある。

電話をかけてきた相手が名前を名乗らずに、話続ける
かかってきた電話に態度が悪い
相手が忙しいことを配慮せず、一方的に話を続ける
などなど・・・・。

電話で社内外の人と話すときに、態度が悪い、偉そう、名前を名乗らない、相手の状況に配慮しないレベルの医療・介護関係者は非常に多い。

特に、医師・看護師・理学療法士・薬剤師など専門職の電話対応の悪さは目立つ。

自分より立場が下と判断した相手には、なんとも冷たい対応をすることも多い。

たかが、電話一本で何が問題なんだ?と声が聞こえてきそうだが、それが実が電話一本ですまされる問題ではない。

実は、電話一本からセルフ・マーケティングが始まっている。

どれだけ技術や知識を持っていても
どれだけ学歴や偏差値が高くても
どれだけ貴重な資格を持っていても

電話一本もまともにできなければ、社内外での評価は下がり、潜在的顧客が減少する。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・医師が社内外で、自身の活躍の場を増やし、給与などの処遇を増やしたい場合、セルフマーケティングを行い、自分自身の価値を社内外で購入してもらう必要がある。

どれだけセルフマーケティングの努力をしていても、態度の悪い電話一本で、セルフマーケティングの努力は吹き飛ぶ。

大体、電話一本も出来ない人間に、チーム医療やチーム介護、ましてや地域包括ケアなど出来るはずもない。

たかが、電話一本

されど、電話一本

である。

 

心身機能を軽視して、偏重的に活動・参加を訴えるセラピストが増えたという事実

2015年度介護報酬改定では、リハビリテーション分野において「心身機能」・「活動」・「参加」の重要性が明示され、通所リハビリテーション・訪問リハビリテーションでは「活動」と「参加」に資する取り組みを評価する介護報酬項目が整備された。

活動・参加の概念は、リハビリテーション本来の意義を問いただすものであり、これからの高齢化社会においては益々重要となる。

しかし、筆者はこの一年間感じてきた違和感がある。

心身機能の評価や介入が未熟なセラピストに限り、「活動」「参加」が重要だと異常に訴える事例が散見することである。

自身の理学療法・作業療法・言語聴覚療法が未熟なことで、患者や利用者の基本動作能力・応用的動作能力・言語聴覚機能が回復しないことに気づいていないセラピストは残念ながら存在する。

そういったセラピストが、十分に患者や利用者の心身機能のポテンシャルを引き出してない中で、「活動」と「参加」に傾注することは、患者や利用者にとって迷惑千万な話ではないか?

セラピストと患者・利用者の間には「情報の非対称性」が存在する。

情報の非対称性とは
保有する情報に差がある時に生まれる不均等な情報構造
の事を言う

つまり、患者や利用者はセラピストより心身機能・活動・参加に関する情報を有していないため、セラピストの言いなりになる傾向がある。

セラピストが、「あなたの心身機能はもうプラトーなので、自宅では歩行器を使って歩きましょう」と説明すると、「心身機能がプラトー」であると判断する情報を患者や利用者は有していないため、セラピストの説明に従う可能性が高い。

しかし、心身機能の評価や介入に長けたセラピストがその患者や利用者を診れば、「十分に自立歩行を目指せる」と評価する可能性もある。

「活動」・「参加」はリハビリテーション上の目標であり、人が自分らしく生きていくために必要な概念である。しかし、心身機能の向上の追求なしに、「活動」「参加」という表面的な概念だけを妄信的に追いかけていくことは、リハビリテーションの概念にも反する。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、他職種と比較して、医学的側面から心身機能を評価できるアドバンテージを有しており、そのアドバンテージを活かして、「活動」・「参加」を客観的に冷静に評価・介入することが最大の強みである。

心身機能の評価・介入を軽視した「活動」・「参加」への妄信的な取り組みは、視野の狭い「活動」・「参加」偏重主義者であり、決して、患者や利用者のQOLの向上には寄与しないだろう。

心身機能・活動・参加
この概念の全ての要素を限りなく追求する事で本来のリハビリテーションが達成できる。
当然、心身機能だけを追求し、活動・参加を無視することはあってはならない。

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リハビリテーションサービスのインフラが整ってきている時代だからこそ
心身機能が評価できて
活動も評価できて
さらに、参加も評価できる
が当たり前にできるセラピストが真に活躍する時代が近づいているのではないだろうか?

 

成熟社会では、よりレベル高い理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のリハビリテーションサービスが求められる

リハビリテーションとは、全人間的復権である。
その人がその人らしく生きていくことを支えていく概念がリハビリテーションであり、その実現を支援するサービスがリハビリテーションサービスである。

日本は世界に類を見ない先進国であり、物質的な繁栄が著明である。
40年~50年程前の日本は物質的にもまだ、恵まれておらず、国民は国の経済的繁栄こそが幸せであると考え、懸命に働き、今の日本を作った。
先人たちの尋常ではない努力で、日本は小さい島国ながらも世界第三位の経済大国となり、国民の生活レベルも極め高い国となった。
国民の衣食住がこれだけ充実している国は実は世界では少数派である。
このような先進国では経済的な発展や物質的な繁栄が当たり前のように感じ、人が幸せを感じる尺度は変化する。

このような社会を成熟社会と呼ぶ。

成熟社会では
人間関係を良好に保ちたい
心が通う仲間が欲しい
自分自身の存在を認めてもらいたい
自分のやりたいことをやってみたい
という人間にとって高次元な欲求が高まってくる。

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現在の日本は超高齢化社会となっており、高齢者の医療福祉政策が急ピッチで進んでいる。
医療・看護・介護・リハビリテーションと様々な分野で対策が打ち立てられている。
特に、リハビリテーションは全人間的復権の概念であることから、あらゆる分野で必要とされるものである。

リハビリテーションが一般的な社会インフラになる前の日本では、リハビリテーションとは機能障害やADLの回復を目指すものであった。
当然、機能障害やADLの回復は全人間的復権に必要なものであるため、それらは依然として重要である。

それに加え、成熟社会では、承認欲求や自己実現などの支援も求められる。

時代が変われば、求められる全人間的復権の内容も変わる。

今の時代は理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は機能障害やADLの回復を促せる知識や技術に加え、より高次元の患者、利用者の欲求や想いを支える技能が求められる時代になっている。

こういった背景とともに生まれてきた概念である地域包括ケアや地域リハビリテーションは、より質の高い理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の能力を求めている。

医療職・介護職は相場以上の給料が欲しければ自分で勝ち取るしかない

日本では、2040年代まで医療・介護におけるハードとソフト面の整備が国策として推進される。

これからの時代は団塊の世代及び団塊ジュニアが高齢者となり、多死の時代となるため、医療・介護の対策は国を挙げてのプロジェクトとなった。

そのプロジェクトを円滑に推進するために、医療・介護に関わる人材は大量に市場に供給される。しかしながら、社会保障費の圧縮も必要となるため、人材にかかる費用、すなわち人件費を湯水のごとく増加させることはできない。

増加する高齢者にサービスを提供する医療職・介護職を安定的に市場に供給するためには、医療職・介護職がそのサービス提供によって得られる給料を保証し、雇用を守る必要がある。

しかし、先述したように社会保障費圧縮の政策との兼ね合いから、医療職・介護職の給与の保証は非常に難しい問題である。

人件費を無尽蔵に増加させることができない国の財布事情があるため、医療職・介護職の給与は保証されたとしても「生活が可能である必要最低限のレベル」で守られる程度である。

すなわち、これからの時代において、なんの努力もなしに、国や職能団体に頼っていては、右肩上がりに給料や処遇が上がっていくことは不可能である。

むしろ、国や職能団体は生活が可能である必要最低限のレベルを守ってくれていることさえにも感謝しなければならない時代になっていく。
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相場以上の給料が欲しければ、医療職・介護職は「自分の努力で自分を変え、自分の力が他人や組織に役に立ち、そのことにより大きな経済効果が得られる」というプロセスとアウトカムを実行しなければならない。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・介護福祉士等は国家より資格を付与されている。そのため、国は生活ができる程度の給与保証はしてくれるかもしれない。
しかし、国によるそれ以上の給与保証はありえない。

職場や居酒屋で「給料があがらない」、「自分が評価されない」、「上司が悪いんだ」
「会社が腐っている」とどれだけ愚痴を言っても、給料は一円もあがらない。

 

療法士等医療・介護従事者のセルフマーケティング まずはセルフリサーチから!!

療法士過剰時代が到来している。
看護師も医師も後10年で過剰時代に突入すると言われている。
人口減少社会に加え、2040年から2050年に始まる高齢者数の減少に伴い、日本のシニアマーケットは萎縮していく。

すなわち、地域包括ケアシステムを完成させるために、大量に輩出された理学療法士、作業療法士、看護師、薬剤師、医師は、状況が一転し、2040年頃には過剰供給の事態に巻き込まれる。

そのような時代においては、医療・介護従事者自身によるセルフマーケティングが必要であることは、本ブログで再三にわたり述べているが、具体的にセルフマーケティングの進め方はどうすればよいだろうか?

セルフマーケティングを、簡単に説明すると「自分という商品を市場に購入してもらうためのあらゆる取り組み」のことである。

したがって、自分という商品が成立しなければ、マーケティング活動は困難となる。
では、商品はどのようにして決定すればよいか?

医療・介護従事者にとって、商品とは自らのことである。
自らの能力や経験が商品となり、その商品が魅力的であれば、あるほど市場から購入される可能性が高まる。つまり、まず第一に自分自身が商品であるという認識力を高める必要がある。

その手法として、「セルフリサーチ」が挙げられる。
セルフリサーチとは「自分自身を可能な限り客観的に捉え、自分の能力を自分で把握すること」である。

その方法として
自分能力や経験を紙に書いて書きだす
知人に自分の特徴について話をしてもらう
幼少期から現在までで、一番、楽しかったことや充実していたことを書きだす
などの方法があります。

セルフリサーチにより
脳卒中のリハビリテーションが他のセラピストより長けている
地域連携業務に適性がある
急性期のリハビリテーションが得意
マネジメント業務に情熱がある
などがわかれば、それらは全て商品になる可能性がある

まずは、自分という商品を知ること。
これがセルフマーケティングの第一歩である。