PT・OT・STあるある!瞬間最大風速にモチベーションが吹き荒れる!!

お正月・ゴールデンウイーク・お盆休みなどの節目で、PT・OT・STの方が急激にモチベーションがあがり、SNSなどに突如として「これからの人生の目標」や「取得したい資格」について書き込むことがある。

「非常に高いモチベーションが生まれている」ことを感じさせる言動である。

しかし、最初にSNSに書き込んでから数日たつと普段通りの投稿内容に変化し、いつの日か「これからの人生の目標」や「取得したい資格」について語ることすらもなくなることを良く散見する(下図)。

瞬間最大風速のモチベーションが吹き荒れた後に全くモチベーションの風が吹かない・・・。


図 瞬間最大風速のモチベーションが吹き荒れる
(転載禁止)

それではなぜこのような状況になってしまうのだろうか?

それは、「自分のアイデンティティから生まれたモチベーション」ではないことが原因である。

人間は他人から与えられた、促された、命令された行動や金銭などの打算的なことを目的とした行動は長続きをしない。

なぜならば、それは「自身のアイデンティティから生まれた行動」ではなく、「他者の圧力により生じた行動」だからである。

「他者の圧力により生じた行動」が上手くいかなくなると、「自分自身が心の底から手に入れたい目標ではない」ため、行動を継続することが難しくなる。

つまり、「他者の圧力により生じた行動」には執念がないのだ。

執念は「自身のアイデンティティから生まれた行動」に宿る。

したがって、「なりたい自分」「自分らしさを感じる目標」「自分の本音」についてしっかりと悩み、その先に芽生えた「目標に対する行動」を大切にすることが重要である。

「最大瞬間風速のモチベーション」を繰り返している人はぜひ参考にしてほしい。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

イラスト提供
福山真樹

理学療法士×イラストレーター
医療・介護等の現場を、医療職種の胸の内まで分かりやすくイラストで伝える。
臨床で勤務する理学療法士だからこそ描ける作品を医療関係者等へ提供し、書籍・学会・福祉機器紹介PV等、様々な場面で用いられている。
問い合わせ先
ホームページ https://fukunoe.com/
Facebook https://www.facebook.com/illustration.studio.fukunoe
メール  studio.fukunoe@gmail.com
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Instagram https://www.instagram.com/masaki.fukuyama.fukunoe/

PT・OT・STの起業の落とし穴 アイデアだけなら誰でも言える

近年、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の起業志向が高まっている。

2015年ぐらいまでは、訪問看護ステーションや通所介護という介護保険を用いた事業を起こすセラピストが多かった。

しかし、近年は介護保険外の領域で事業を起こしたいと考えているセラピストが多い。

そのアイデアは素晴らしく、医療や介護領域のみならず、ヘルスケア領域全般に貢献するものばかりである。

しかし、実際にそのアイデアが実現し事業として成立するのはアイデア全体の5%以下である。

つまり、アイデアはあるが、それが実際に世に出るまでのことはほとんどないと言って良い。

セラピストは「アイデアの事業化が弱い」という大きな欠点を持っている。

当然、セラピストはリハビリテーションのプロであって、事業化のプロではない。

卒前、卒後教育でも事業化について学ぶことは皆無である。

そのため、アイデアを事業化するための術を知らないため、ほとんどのアイデアは世に出ることはない。

02be398abdb8e957b8802dddceaaef95_sしかし、一部の起業志向のセラピストはアイデアをもっているだけで満足している傾向が強い。

自分はこんなアイデアを持っている こんなアイデアを思いつく自分はすごい アイデアがあるとワクワクする という高揚感だけで、満足しているセラピストが多い。

アイデアを実現するのは、実に泥臭い作業である。

起業や事業に関する知識を学び、様々な専門家より指導を受け、多くの時間とお金を費やさねばならない。

アイデアだけで満足しているセラピストは泥臭い作業を逃避して、アイデアだけで自己満足している。

しかし、アイデアだけでは世の中は何も変わらない。

アイデアは実現してなんぼ。 アイデアだけなら誰でも言える。

執筆者 高木綾一 セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術)(経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

PT・OT・STが陥りやすい間違い イノベーションのジレンマ

イノベーションのジレンマ
業界上位の企業が顧客の意見に耳を傾け、高品質の製品・サービス提供で破壊的イノベーションに市場を奪われる現象 ハーバードビジネススクールのクレイトン・クリステンセン氏が提唱した概念である。

破壊的イノベーションとは性能面は劣り、低価格、利用が容易であるという特徴を持つ。

優良企業は、顧客の要求する性能を愚直に追い続けていくことにより、製品やサービスの機能は向上していく。

次第に、顧客が理解しずらい、扱いずらい製品やサービスになっていく。

例えば、高品質で多品種をそろえたデパートが衰退し、ディスカウントストアーが発展したような事例である。

このように顧客が理解しやすく、扱いやすい破壊的イノベーションが顧客から支持される現象を、イノベーションのジレンマと言う。

実は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の業界にもイノベーションのジレンマは存在する。

臨床現場や教育現場において、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が難しい理論を追求すればするほど、臨床では応用しにくい技術になっていく。

特に、優秀なセラピストほどこの傾向は強く、難解な治療手技を展開することで他者が模倣することが出来ない技術が完成し、統一した医療技術の提供が困難となりチーム医療が破綻することがある。

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優秀でまじめなセラピストは高品質・高煩雑な評価や治療を作り上げていく。

一見、このことは良いことに思えるが実は組織の中においては、「イノベーションのジレンマ」という大問題に発展していく。

難解な治療技術は、周りのセラピストにとって使いにくいものになり、結果的には使われない技術となる。

周囲から評価されるのは、誰もが扱いやすい破壊的のベーションである。

セラピストは自分が行っていることが、周りに理解され、扱いやすいものなのか?を強く意識する必要がある。

この視点がなければ、地域包括ケアシステムやチーム医療の中で働くことは難しいだろう。

執筆者
高木綾一 セミナー講師 株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術)(経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

PT・OT・STが知っておきたい支援困難事例のパターンとその対応

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が対応する患者や利用者の中には、支援困難な方がいる。

支援困難事例を担当すると、セラピストも混乱をしてしまい冷静な判断ができず支援内容が一貫性や整合性を維持できなくなることがある。

支援困難事例に直面した時こそ、冷静になり支援方法の基本に立ち戻ることが重要である。

支援困難事例の発生には3つのパターンがある。

1.個人的要因
患者・利用者に個人的な要因がある。
強い不安・精神的不安定性・気力や意欲の低下・判断能力の低下・病気

2.社会的要因
社会や生活環境に要因がある。
生活環境の悪化・家族の病気・家族との不和・近隣住民との関係性悪化・孤立

3.不適切な対応
援助者側の不適切な対応に要因がある。
本人の意思の無視・連携が不備・ネットワークが構築できていない。

各要因はそれぞれ個別で作用するよりも、複合的に重なり合うことで、支援困難事例が生じる。

例えば次のような事例が考えられる。

利用者が認知症を発症し、その娘には精神障害がある場合に、援助者が娘の精神障害を把握せずに、利用者の介護をお願いしたとする。

その結果、娘の精神障害が悪化して、利用者への虐待が生じた。

この場合、個人的要因・社会的要因・不適切な対応がすべて混在している。 167f40062191e3987b54902456d3210b_s 支援困難事例への対応における基本的な視点
支援困難事例への働きかけで重要なのは、「価値」に基づいた援助を実践することである。

対人援助は、知識・技術・価値という3つの要素で構成されている。

援助者は価値を対人援助の根拠として専門的な知識や技術を用いて利用者を支援する。

この場合の「価値」とは、援助者の個人的な価値観ではなく、対人援助の専門職の共通の価値観である。

価値の中核を成すものは、「取り組みの主体を本人におく」というものである。

「取り組みの主体を本人におく」とは具体的には以下のような取り組みとなる。

1)本人のいるところから始める
本人の人生観・生き方・価値観などについて理解を深める。
2)最初の一歩を支える
本人の存在を尊重する。
本人が存在している意味や価値を本人が感じられるように支援する。
3)援助関係を活用する
本人と援助者に信頼関係を構築し、本人の居場所を確保する。
4)本人が決めるプロセスを支える
援助過程において、本人が決めるプロセスを尊重し、主体性を確保することができるよう働きかける。
5)新しい出会いと変化を支える
本人を取り巻く周囲の家族や友人、地域住民などとの関係を調整し、新しい出会いができるように働きかける。
本人と新しい関係者が新しい関係を気づけるプロセスを支える。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、支援困難事例に直面すると自分の考えている理学療法・作業療法・言語聴覚療法を患者や利用者に当てはめようとしてしまう傾向がある。

しかし、支援困難事例だからこそ、主体性を本人においた取り組みが必要となってくる。

「本人が自己決定できるプロセスを如何に作り出すことができるか」という技術がセラピストには求められる。

執筆者
高木綾一 セミナー講師 株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術)(経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

No2を作れない管理職のキャリアデザインは難しい

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のキャリアデザインの一つとして、「管理職」として成功する方法がある。

臨床技術だけでなく、管理能力を磨き組織を管理することで、勤め先から評価されることで、「管理職」としてのキャリアを築くことは、複雑化している現代のリハビリテーション業界において大きな意味を成すものである。

管理職として成功するためには様々な能力を磨かなければならない。

リーダーシップ
人材育成
経営戦略
会計管理
IT管理
マーケティング
イノベーション
技術経営 など幅広い能力の開発が必要である。

しかし、これらの能力を高めれば優秀な管理職になれるか?と言うと、答えは「No」である。

これらの能力がどれだけ高くても、その能力を組織の隅々まで効果的に行き渡らせることができなければ、全く意味を持たない能力になってしまう。 Fotolia_79726724_Subscription_Monthly_M-e1438655206363 管理能力を飛躍的に向上させる鍵は「伝達機能」である。

「伝達機能」とは、リーダーの意思や戦略を組織全体に伝達する機能であり、優秀な組織においてはNo2のポジションにある人がその役割を担う。

端的に言えば、No2が作れない管理職はどれだけ能力が高くても、その能力は「宝の持ち腐れ」となる可能性が極めて高い。

したがって、No1はNo2を育成することが最大の課題である。

独善的なマネジメントを行っているリーダーにはNo2は決して育たない。

No1とNo2とは、信頼で結ばれる必要がある。 信頼があるから、No2はどのような状況になろうともNo1を支えるのだ。

信頼関係を築くには、日頃の言動が大切である。

管理職として成功したければ、信頼関係を基軸にしたNo2の育成に最大限の努力が必要である。

執筆者
高木綾一 セミナー講師 株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
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修士(学術)(経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授