18単位至上主義で失われるものを知らない経営者が多すぎる件

筆者は全国各地で医療機関のコンサルティングを行っている。

その中でも深刻な状態に陥っているリハビリテーション部門に共通している事象がある。

それは、「18単位売上至上主義」による組織の崩壊である。

18単位取得が絶対的価値観となっている組織では必ず以下のような問題が起こっている(下図)。

単位数取得のため、利用者カンファレンス、家屋評価、多職種連携、書類業務が疎かになり、リハビリテーションサービスの質が低下する

取得単位数が足りていないことを指摘されることを恐れるため、実際に行っていない単位数の水増し請求を行う

単位数取得を優先するあまり、15分程度の介入でも一単位で算定をする

取得単位数でしか、人事評価されないため、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士としての遣り甲斐を失い、数年の勤務で退職するため離職率が高い

このような問題が起きても、経営者や院長は売上至上主義をやめない。

 


(無断転載禁止)

売上至上主義の何が悪いのか?

売上が悪いのではなく、売り上げが至上であることが問題なのである。

リハビリテーションサービスのような労働集約型産業では、人のモチベーションが経営の源泉である。

この当たり前のことを忘れている人が経営者になると売上至上主義が蔓延る。

人のモチベーションが高まる状況を創りながら、売り上げの向上を目指す。

このことを目指さずに何が経営者か。

売上至上主義の人は経営者ではない。

ただの金の亡者である。

そして、売上至上主義に加担してるリハビリテーション部門の管理職も、金の亡者の悪行に手を貸していることを自覚しなければならない。

リハビリテーションサービスの本質を忘れた売上増加など、ただの社会悪である。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 助教

イラスト提供
福山真樹

理学療法士×イラストレーター
医療・介護等の現場を、医療職種の胸の内まで分かりやすくイラストで伝える。
臨床で勤務する理学療法士だからこそ描ける作品を医療関係者等へ提供し、書籍・学会・福祉機器紹介PV等、様々な場面で用いられている。
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求められるセラピストの技能は時代とともに変化し、今後は低ADL者対応スキルが必須となる

地域包括ケアシステムは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の社会的な役割を大きく変容させている。

地域包括ケアシステムでは、医療や介護の分業制が徹底されており、経済的効率の高いシステムの構築が進んでいる。

病院、施設より在宅で医療や介護を提供する方が経済的効率が良いため、在宅復帰支援と在宅療養支援は医療介護政策の柱である。

在宅生活を継続するといずれ人間は、低ADLになる。

しかし、低ADLな人であっても介護保険制度の様々なサービスにより、長期間に渡り、在宅生活が可能となっている。

そのため、訪問リハビリ、訪問看護、通所リハビリ、通所介護に勤める理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、低ADL向けのサービスコンテンツが必要となっている。

しかし、低ADL向けのサービスコンテンツが乏しい理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は非常に多い。

下図のように車椅子シーティングの知識や技術が乏しければ、的外れなリハビリテーションの提供を行うことになる。


(無断転載禁止)

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、養成校や実習を通じてADLの予後が良い症例を前提に知識や技術を学んでいる。

簡単に言うとADLが低下した人を前提とした知識や技術が極端に乏しいと言える。

しかし、在宅療養をしている人は将来必ず低ADLになる。

その時に、何も提供できないと信頼を一気に失うだろう。

医療や介護の環境変化に合わせて知識や技術を帰ることができるセラピストしか市場は評価してくれない。

地域包括ケアシステムの中で、生き残るためには知識や技術の幅を増やすことが大切である。

投稿者
高木綾一

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リハビリテーションの対象は利用者だけでなく、家族・介護者・関係者も含む件

病気や障害を持つ高齢者が在宅生活を継続することが当たり前の世の中になった。

そのため、在宅系リハビリテーションのサービスの普及は著しく、近い将来、セラピストの主戦場は在宅になることは間違いない。

病院や施設と在宅におけるリハビリテーションの目標は異なることが多い。

在宅リハビリテーションの目標に一つに、「在宅生活の継続」が挙げられる。

在宅生活の継続が困難になる理由は様々あるが、その一つが「家族や介護者の介護疲れ」がある。

時に、「介護疲れ」は著しい精神的ストレスを家族や介護者に与え、最悪なケースとして「介護殺人」などの事例も生じている。

そのため、「介護疲れ」の緩和は重要である。

リハビリテーション専門職はADLやIADLの専門職であることから、家族や介護者への専門的な提案や助言が期待されている。

しかし、実際は下図のように家族や介護者に適切な提案や助言が出来ないセラピストも多い。


(無断転載禁止)

家族や介護者に適切な提案や助言をするためには、生活関連動作やトランスファーに関する幅広い知識が必要である。

しかし、養成校や卒後教育ではこのような領域を学ぶ機会は少ない。

したがって、在宅に関わるセラピストは主体的に家族・介護者支援を学ぶ必要がある。

在宅分野を主戦場とするセラピストは、家族・介護者の目線を常に意識してほしい。

投稿者
高木綾一

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関西学院大学大学院 経営戦略研究科

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経営者と話をせずにリハビリテーション部門の改善など不可能

経営者が何も動いてくれません
経営者はすべて丸投げです
院長は現場の事を知りません
などの愚痴をリハビリテーション部門セラピストから聞くことが多い。

経営者や経営幹部からリハビリテーション部門の方針や運営に関する指示・命令がないため、どのように運営をしてよいかわからないという。

しかし、そのような愚痴を言うセラピストに限って、経営者や院長とコミュニケーションを取る機会が圧倒的に少ない。

指示や命令がないのであれば、セラピスト側から経営者や経営幹部側に経営や運営に関する質問をするべきである。

経営者や経営幹部はリハビリテーション部門だけの管理が仕事ではない。

人事、総務、経理だけでなく各医療や介護の事業所や部門などの管理もしなければならない。

よって、経営者や経営幹部から溢れるほどの情報がリハビリテーション部門に流れてくることはありえない。

したがって、情報を待つのではなく、情報を取りに行く姿勢が必要である。

経営者や院長と膝をつき合わせて、リハビリテーション部門の運営に関して真剣に話すことで、相手の本音も見えてくる。

相手の本音を聞くことが出来れば、その本音に合わせたマネジメントが可能となる。

丸投げの姿勢であるならば、リハビリテーション部門で権限をもらい物事を動かす。

明確なビジョンがあれば、経営者と協調的に物事を動かしていく。

まずは、しっかりと経営者と話すことがリハビリテーション部門の運営改善の第一歩である。

とにかく、情報を取りに行きましょう。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

 

デイサービス・デイケアの利用者がどんどん減る理由

デイサービス・デイケアの運営の悩みとして、「利用者が増加しない」があげられる。

新規紹介がない
利用者が休みがちである
利用者が利用を中止して他の事業所の利用を始める
という理由から利用者が増えないデイサービス・デイケアが散見する。

新規利用者が増えても、利用を継続する利用者が増えなければ永遠に利用者数の安定は見込めない。

利用者数が安定しなければ、月間の売り上げが安定をしないため、新しいことに取り組む余裕がなくなり、新規利用者の獲得に奔走することになる。

それではなぜ、利用者は利用の継続をしなくなるのだろうか?

サービス業における利用継続のポイントは、「経験価値」の有無である。

経験価値とは、サービスを利用した経験から得られる感動や満足感など、感覚的な価値である。

心理的な価値も提供することで、顧客の信頼を得ることができる。

経験価値には以下の種類がある。

SENSE(感覚的経験価値)
視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感を通じた経験
整理整頓・雑音がない・ご飯がおいしい・良い匂い

FEEL(情緒的経験価値)
顧客の感情に訴えかける経験
大切にされているという実感・接遇・トラブルへの対応

THINK(創造的・認知的経験価値)
顧客の知性や好奇心に訴えかける経験
何かに挑戦できる環境・行きたくなるサービス

ACT(肉体的経験価値とライフスタイル全般)
新たなライフスタイルなどの発見
デイサービス・デイケアに行っていることを周囲に自慢できる
新しいライフスタイルを提案できる

RELATE(準拠集団や文化との関連づけ)
特定の文化やグループの一員であるという感覚
デイサービス・デイケアのメンバーであることを誇りに思える

利用者が多いデイサービス・デイケアではこれらの経験価値に訴求したサービスを展開している。

特に、これから価値観が多様化している団塊の世代がデイサービス・デイケアの利用者になることを考えるとACTに訴求したサービスが重要である。

目標のないデイサービス・デイケア
活気のないデイサービス・デイケア
毎回同じレクレーションのデイサービス・デイケア
ではACTを提供することはできない。

あなたのデイサービス・デイケアは大丈夫だろうか?

今一度、サービスの再考を検討してはいかがだろうか?

 

投稿者
高木綾一

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