ブランディングを軽視する医療機関・介護事業所に未来はない

ブランディングに取り組んでいる医療機関や介護事業所は少数派である。

なぜならば、今まではブランディングに取り組まなくとも、医療機関や介護事業所を開設すれば、患者や利用者が集まってきたからである。

しかし、高齢者人口の地域格差、若年層の人口減少、医療機関・介護事業所の乱立・新型コロナウイルスによる利用控え、従業員の確保困難などにより医療機関や介護事業所の経営環境は厳しくなる一方である。

よって、今後の医療機関や介護事業所は選ばれる・選ばれないという二極化が加速する。

これからの時代は患者・利用者・家族・地域・職員・行政から愛され、選ばれる事業運営をしなければ生き残れない。

そのためには、ブランディングという考えは非常に重要である。

ブランディングを一言で言えば、「信頼」である。

「信頼」を得るためのすべての活動をブランディングと呼ぶ。

例えば、次のような事例はブランディングに無頓着と言わざる得ない。

加算の意味を理解せず、収益のために加算を算定している
医療機関や介護事業所のWEBサイトがない
WEBサイトは開設しているが全く更新されない
5年以上変わっていないパンフレットを配布している
離職率が高く、自転車操業のような採用が続いている
マンネリ化したイベントを繰り返し実施している
形式的な研修会の開催

上記のような事例が生じてしまう原因は「経営・運営をしている当事者達でさえ、自分たちの会社の価値を知らないこと」に尽きる。

自社の価値を認識していないから、「何かを変えるという動機づけ」が生じない。

よって、漫然とした経営や運営を繰り返すことになる。

今後、医療機関・介護事業所は間違いなく生き残りは厳しい時代となる。

この時代を勝ち抜くためには「自社の本当の価値は何か?」を明確化し、社内外へ周知を図る必要性がある。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

リハビリ部門マネジメント 社会的職場環境のマネジメントをしていますか?

皆さんのリハビリ部門では、働きやすさについてマネジメントをしているだろうか。

どんなにモチベーションの高いセラピストであっても、働きやすさが乏しい環境ではモチベーションが低下することが予想される。

働きやすさとは、「セラピストがリハビリ部門に貢献するための環境整備」である。

環境整備にはいくつかの種類があるがここでは職場環境について解説する。

職場環境
職場環境は物理的なものと社会的なものに分けられる。

物理的職場環境
室温、個人の作業スペース、治療ベッドの数や質、物理療法の種類、電子カルテの有無、車椅子等の福祉用具の有無等

社会的職場環境
上司・同僚との人間関係・パワハラやセクハラの有無・チーム医療に対する価値観等

近年、物理的職場環境は改善されてつつあるが、社会的職場環境が悪化しているリハビリ部門が多くなっている。

多くのセラピストが能力を発揮できずに職場を退職する理由として、社会的職場環境の悪化を挙げている。

つまり、現代におけるリハビリ部門のマネジメントでは社会的職場環境のマネジメントが必須と言える。

この社会的職場環境のマネジメントに必要なのは「価値基準」である。

価値基準
組織で大切にしたいと皆が思う共有・共感された価値観
例 常に他人を思いやる/最後まであきらめない/挑戦者であれ

価値基準がなければ、組織の構成員は判断の拠り所をなくすことになる。

価値基準が組織で浸透していれば、判断に迷うことなく組織が求める方向性に動くことができる。

つまり、社会的職場環境のマネジメントは価値基準の浸透であると言ってよい。

したがって、リハビリ部門の管理職が、組織における価値基準の明示や浸透に汗をかくことが出来なければ、社会的職場環境は悪化するばかりである。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

 

 

 

 

リハビリ部門人材育成では組織と個人のパートナーシップが重要である

人材育成は組織側の視点で行われることが多い。

人事考課制度などはその典型例であり、組織が求める人材のスペックを評価するものである。

しかし、セラピスト個人の視点から見ると、人材育成は「キャリアデザイン」のほかならない。

セラピストが、日頃の業務や教育研修などを通じてリハビリテーション専門職として価値を高めていく過程を「組織と個人」がどのようにデザインをしていくのか?がキャリアデザインの大きなポイントとなる。

リハビリ部門においてセラピストのキャリアデザインを推進していくためには、リハビリ部門で働くセラピストとのパートナーシップが重要となる。

それではリハビリ部門とセラピストのパートナーシップはどのように形成すればよいのだろうか?

まず、リハビリ部門は組織の目標を達成するためのセラピストに仕事を与えセラピストのキャリアを発展させる機会を提供する。

そして、セラピストは与えられた仕事の機会を通じて自身の価値を向上させる努力をする。

このように説明すると簡単に思われるが、この組織と個人の関係を継続するためには組織が個人を育てる意思、個人が組織に貢献する医師のすり合わせが極めて重要となる。

つまり、「組織と個人の方向性を整える作業」が組織と個人の双方に求められる。

しかし、多くのリハビリ部門では「組織と個人の方向性を整える作業」を怠ることが多い。

組織がセラピストの成長を考えずにロボットにように働かせる。

個人は自分がやりたい臨床だけをする。

このような関係では組織と個人の間にはパートナーシップは存在していない。

ぜひ、みなさんのリハビリ部門においてはセラピストと綿密にコミュニケーションをとっていただき、セラピストとのパートナーシップの形成をして頂きたい。

パートナーシップが形成されていない中において教育・研修を行ってもその効果は限定的なものとなる。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
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呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

リハビリ部門人材育成問題 長期的な視野に基づく人材育成ができない

人材育成を時間軸で考えた場合、短期的な人材育成と長期的な人材育成に分けることができる。

短期的な人材育成では「与えられた仕事を問題なく遂行する能力の開発」が主な目的となり、業務内容の把握、接遇、最低限のスキルなどについて教育が行われることが多い。

長期的な人材育成では「中長期的なリハビリ部門の戦略やビジョンを達成するための能力の開発」が主な目的となり、セラピストの専門性だけでなく、マネジメント領域に関する教育が行われることが多い。

多くのリハビリ部門では短期的な人材育成に終始しており、長期的な人材育成を全く行っていないリハビリ部門も多い。

それでは、なぜ、短期的な人材育成には取り組むが、長期的な人材育成は疎かになるのか?

それは、長期的にどのような人材がリハビリ部門にとって必要なのかを明確にすることができないからである。

その原因は、リハビリ部門が中長期的な事業領域を明確にしておらず、どのような戦略を打ち出すかを決めていないことである。

簡単に言えば、「リハビリ部門が目指すべき方向性がわからないため、どんな人を育てればよいのかわからない」ということである。

長期的な人材育成を疎かにして、短期的な人材育成のみを実施している場合、日々の業務はなんとか回るようになるが、診療報酬改定・介護報酬改定や新規事業などの大きな環境変化に対応できない事態に陥ることが多い。

環境変化に対応できる人材が不足していることがその主な原因である。

そして、環境変化に対応できない場合、利用者や収益の減少やコンプライアンス違反など経営に大きな影響を与えることが多い。

リハビリテーション分野の費用が国が医療費/介護費に占める割合が急増している。

そのため、リハビリテーション分野では様々な環境変化がまだまだ生じる。

皆さんのリハビリ部門では長期的な人材育成に取り組めているだろうか?

「今さえよければ良い視点」の短期的な人材育成では、今後の環境変化を乗り越えるのは困難だろう。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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リハビリテーション部門コンサルタント
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関西医療大学保健医療学部 客員准教授

理学療法士/作業療法士/言語聴覚士のリクルーティングのポイント 「情報開示」

リクルーティング活動は「求人募集の結果、医療機関や介護事業所が求めるスペックに適した人材が数多く応募してくること」が重要となる。

求人募集の結果、応募人数が少ないと人材を選択することが出来ず、応募者をそのまま採用する展開になってしまう。

よって、リクルーティング活動は「組織が求めるスペックの応募者を効率的に集める」という結果にこだわるべきである。

リクルーティング活動の最重要ポイントは情報開示である。

情報開示は医療機関や介護事業所の理念、ビジョン、業務内容等の情報を開示することであるが、医療機関や介護事業所の良いところ、悪いところをすべて伝える姿勢が重要である。

つまり、綺麗ごとばかりを伝えるのではなく、組織の現実的な側面を伝えることが重要となる。

全てを伝える情報開示は以下のような効果をもたらすと考えられている。

①入社後の仕事内容が明確となり、過剰な期待が軽減され、リアリティショックを軽減することができる。

②組織のリアルな実情を知った上での入職であるため、入職に対するコミットメントが高まる。

③仕事に対する価値観を深めることができる。

つまり、生々しい組織の実態を求人者に伝えることによって、求人者は自己選択を真剣に考えるようになる。

その結果、応募者間のばらつきも減り、採用プロセスが効率化することになる。

多くの医療機関や介護事業所における理学療法士/作業療法士/言語聴覚士の求人募集では「研修会の有無」「昇給システムの有無」「理念やビジョン」「業務内容」などの表面的な情報が開示されていることが多いが、これだけでは全く組織の実態が見えてこない。

リクルーティング活動においては就職説明会やホームページの掲載において本当の組織の姿を伝えることが効率的な人材応募につながることを理解していただきたい。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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