リハビリ部門の採用活動において人材とのマッチングを重視していますか?

採用は人材獲得のスタート時点。

このスタート時点で最も大切なことは、「人と仕事と組織」のマッチングです。

マッチングとは
「つり合うこと」、「調和すること」
です。

組織や仕事が求めている能力、資質、姿勢、共感とその人材との適合性を評価するのがマッチングとなります。

マッチングを軽視しているリハビリ部門は、
離職率が高い
売上重視の人材育成軽視
従業員満足度が低い
運営に対する非協力な態度
陰口が多い職場
になる傾向が高いです。

マッチングには次の要素が必要です。

①獲得した人材スペックの明確化
②人材募集の方法を考える
③募集してきた人材の選考方法

①獲得した人材スペックの明確化
これについては「リハビリ部門採用戦略のキーポイント 人材スペックの明確化」をご確認ください。

②人材募集の方法を考える
組織の外部から人材に応募してもらうためには、「人材募集」という機能が重要となります。

「人材募集」の機能をどこまで高められるか?は非常に重要な要素となります。

ホームページ、SNS、ブログ、人脈、ハローワーク、優良人材紹介会社、求人誌などの「人材募集」の方法があります。

その中でも、ホームページ、SNS、ブログ、人脈に関しては企業努力によって相当なレベルの差が出る部分です。

単なる求人募集の情報を提供するだけでなく、法人の理念、ビジョン、取り組み、実績をわかりやすく伝えることができるか?が重要となります。

しかし、多くのリハビリ部門では募集人数、職種等の記載にとどまっていることが多く、募集の機能は極めて低い状態です。

③募集してきた人材の選考
応募してきた人材がどのような能力や資質を持っているか?について判定が必要となります。

その判定には、求める人材スペックが必須となります。

正確に言えば、「求める人材スペック明確でなければ選考は不可能」と言えます。

選考方法には面接、試験などがありますが、人材不足や利益優先のリハビリ部門では面接や試験は形骸化しています。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

リハビリ部門採用戦略のキーポイント 人材スペックの明確化

良い人材を採用したい、育成したいと考えているリハビリ部門は多く、弊社にも人材育成に関する多くのご相談が寄せられます。

人材育成には様々なステージがありますが最初の入り口は、募集→採用という流れになります。

実はここが大きなポイントとなります。

募集→採用においては「採用基準」が必要となりますが、多くのリハビリ部門では採用基準が不明確になっています。

少し過激な言い方になりますが、「PT・OT・STの資格を持っていてできるだけ早く勤務してくれる人」ならだれでもいいと思っているリハビリ部門が多いのではないでしょうか?

このような採用方法で、良い人材が入職することを期待すること自体が誤った判断です。

募集や採用にあたっては、「人材スペックの明確化」が重要となります。

採用に当たり
①自社の戦略遂行に寄与する能力レベル
②雇用形態(短期・長期・スポット)
③自社が求める価値観
④リーダーシップへの意欲
⑤特殊能力
などを明確にしたうえで募集や採用活動を実施することが重要です。

特に人材不足においては
資格さえもっていれば誰でも良い
人柄が問題なければ採用
人を選んでる場合ではないから募集してきた人は採用する
という現象が横行し、その結果、組織全体の能力を低下させます。

人材スペックを明確にしない場合、とくに上記の「誰でも採用する」現象が生じることでしょう。

また、人柄がよい、会話が普通に出来たなどが良く採用の理由として上がりますが、「コミュニケーションが可能である」というのは最低限の人材スペックですのでそれが決め手となる採用は非常にレベルが低いと言わざる得ません。

人材スペックを明確にすることによって、採用決定者の主観的な判断に頼らず、採用することも可能となります。

人材採用を
数を打てば当たる
直感の名人芸
で行っている場合、良い人材の入職や育成はギャンブルに近い行為と言えます。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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関西医療大学保健医療学部 客員准教授

 

 

感染対策や利用者状況変化に強い介護事業の在り方

地域包括ケアシステムが導入されて久しい。

地域包括ケアシステムの基本理念の一つとして「最後まで住んでいる地域で生きる」というものがある。

そのため、利用者を取り囲む事業者は利用者の状況が急性増悪や感染症などで変化した場合、事業者間で連携し、利用者の不利益が最小限になるように努力しなければならない。

そのため、医療や介護においては地域連携という概念の浸透が急速に浸透した。

しかし、新型コロナウイルスが蔓延してからは新しい形の介護事業を必要となってきた。

それは、一つの企業体が多機能な事業所をいくつも経営する多機能拠点集中サービスである。

多機能の拠点があるために、利用者の急性増悪や感染症に罹患した場合、適切なサービスに変更を行うことができる。

例えば、通所介護で感染症に罹患した患者が生じた場合、速やかに訪問看護や訪問介護のサービスに変更し、利用者の状態安定化と通所介護での感染予防を図ることができる。

また、介護、看護、リハビリ職種への人材不足への対応策としても有効である。

職員の急な休みやシフト変更などが生じた場合、他の事業所からの人材の支援を受けることができる。

ただし、この方法を実施するためには次のような要件が必要である。

1)複数の事業所を運営できる資金が確保されている
2)複数の事業所のマネジメントができる人材が確保されている
3)同一グループとして利用者を支援するという理念が浸透している

これらの要件を満たすことなく、多角経営に踏み切るのはハイリスクである。

資金力のある法人が多角経営に踏み切ったがその数年後に廃業に至ったと言う事例は多い。

廃業の原因は、マネジメントができる人材不足、理念の非浸透である。

一方で新型コロナウイルスのような新興感染症はいつ生じるかわからない。

そのために、多角経営を見据えることが重要な時代になったと言える。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
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修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

通所介護の無料体験は実はアウトな件

通所介護の利用を検討するにあたり、介護支援専門員や家族より「無料で体験できませんか?」、「お試し利用できますか?」などを依頼されることが多い。

私の知りうる範囲では、ほとんどの事業所が無料で料金を徴収せずに、通所介護の体験利用を実施していることが多い。

しかし、お試し利用や無料体験は、実際の利用者と相違ない料金を徴収することが多くの自治体での原則とされている。

某市の規定
体験利用の位置づけについて指定通所介護事業所における無料もしくは低額でのサービス提供は、利用者間の公平性の観点等から適正とはいえず、体験利用と称して、指定通所介護と同様のサービスを提供する場合には、利用者からその費用の10割の支払いを受ける必要があります。

しかし、実際は多くの事業所において介護支援専門員や家族の要請に応じて、無料でサービスを提供していることが多く、厳密には実施指導における指導対象となる可能性がある。

適正にお試し利用を実施するためには、有償の保険外サービスとして実施する必要がる。

介護保険サービスと同等の料金を自己負担してもらうことで保険外サービスとして認められる。

また、某市では次のように保険外サービスの規定を設けており、全国各地でも同様の措置が取られている。

1)介護保険のサービス提供に支障が生じないこと。
2)介護保険利用者を優先すること(保険外サービスの利用者がいることにより、介護保険利用者の利用を拒否しないこと。)。
3)定通所介護等において必要となる人員に加えて、余剰人員を1人以上確保すること。この場合、保険外サービスに従事している時間は、指定通所介護等における勤務時間には算入不可であること。
4)指定通所介護等の利用者と保険外サービスの利用者の合計数が、指定通所介護事業所等の定員を超過しないこと。
5)指定通所介護事業所等の職員以外が保険外サービスを提供する場合には、利用者の安全確保の観点から、当該提供主体との間で、事故発生時における対応方法を明確にすること。
6)提供した保険外サービスに関する利用者等からの苦情に対応するため、苦情受付窓口の設置等必要な措置を講じること。
7)なお、指定通所介護事業所等において既に苦情受付窓口の設置等必要な措置を講じている場合、当該措置を保険外サービスに活用することも可。
8)指定通所介護事業者等は、利用者に対して特定の事業者によるサービスを利用させることの対償として、当該事業者から金品その他の財産上の収益を収受してはならないこと。

ここで最大の問題は、「余剰人員の確保」である。

人員確保が難しい通所介護では非常にハードルの高い要件であると言える。

無料体験やお試し利用を実施している通所介護においては、管轄自治体の行政資料を確認し、実施指導の対象になる行為がないかの確認をするべきである。

違法行為をしている場合は、外部のステークホルダーだけなく、従業員にも不信を抱かせてしまう可能性があり、通所介護の運営が阻害される可能性がある。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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関西医療大学保健医療学部 客員准教授

 

 

2021年度介護報酬改定を振り返る 訪問リハビリ編

訪問リハビリテーションの基本報酬は15単位増え、307単位/回となった。

この単位の増加はリハビリテーションマネジメント加算Ⅰの基本報酬への包括化の影響が大きい。

通所リハビリと同様にリハビリテーションマネジメント加算Ⅰが基本報酬に包括化されたことにより、基本サービスのブラッシュアップが必要な状況となった。

今回、訪問リハビリにさらに影響を与えたのは「診療未実施減算」である。

これまでは減算が20単位/回であったが、2021年度介護報酬改定により50単位/回にさらに引き下げられた。

診療未実施減算の算定率は15%-20%程度であったため、単位の減額による悪影響を受ける事業所が多い。

リハビリテーションマネジメント加算Ⅰの基本報酬への包括化
診療未実施加算の大幅減額
は訪問リハビリにおける医師の関りが乏しいことに対するペナルティーの意味合いが強い。

訪問リハビリを行っている診療所等は小規模の事業所が多く経営資源が乏しいため、事業所の医師のリハビリ会議や患者への説明や事業所全体のマネジメントを行う職員の育成が難しいため、今回の改定への対応が難しい事業所が多い。

また、今回、退院・退所から3か月以内に限り、週12回までの訪問リハビリの利用が可能となる規制緩和が行われた。

これは、在宅回復期としての機能を訪問リハビリに持たせようとするものであるが、患者の金銭的な負担や利用限度額の関係から週12回の利用をする利用者は少ないと考えられる。

12回利用の制度が新設されたことにより、既存の短期集中リハビリテーションの意味合いも薄れており、次回の改定では短期集中リハビリテーションの見直しも見直しが行われる可能性が高い。

さらに、訪問看護と訪問リハビリの機能分化も次回改定では加速する。

訪問看護や訪問リハビリにおけるリハビリテーションのサービスはアウトカムや利用者属性に関して明確になっていくと予測される。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
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関西医療大学保健医療学部 客員准教授