給料は上がるんじゃない、自分で上げるんだよ

医療・介護職の中でも、セラピスト、介護士、事務方の給料はとりわけ低い。

現状は手取り15万~30万円の人がほとんどではないだろうか?

給料は誰が上げるのか?
それは国か?
院長か?
施設長か?
行政か?

ちがう、自分だ。

自分で給料を上げるんだ。

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小学校、中学校の時に野球やサッカー、武道でレギュラーメンバーに選ばれるのはどうした?

何の努力もなしに選ばれたか?

何の努力もせずになれた人は親のコネを使える特別な奴だけ!

レギュラーになるために、チームが求めるポジションを分析し、そのポジションに必要な心技体を磨いたろ?

なんで、介護福祉士やヘルパー、理学療法士、作業療法士になったとたんに、給料が上がらないと愚痴を言うのだ?

給料は上がらないのではなく、上げるものなんだよ!!!!

 

2025年問題のカギを握るハイブリッド医療・介護従事者

2025年までの診療報酬・介護報酬改定のトレンドは間違いなく在宅復帰・在宅シフトである。

在宅復帰後の生活を困難にする要因は、病状の急変と急激なADLの低下に起因する家族介護負担増加である。

すなわち、在宅復帰後においては病状およびADLの維持・向上に関して全力の対応が必要である。

回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟では医師、看護師、セラピスト、薬剤師、管理栄養士、臨床心理士などの多職種が同一のエリアで仕事をしており、物理的にも心理的にも職員間の距離が近い。

そのため、情報の入手やナレッジの共有がしやすく、個別ケア、リハビリテーションのプログラムの立案が多くの情報や知識に基づき得られやすい。

そのため、精度の高い個別ケア、リハビリテーションが提供されやすい。

しかしながら、在宅医療や介護のサービスにおいては大きな問題が存在する。

1.リアルタイムの情報が得られにくい仕事環境である点
2.他事業所の主治医、看護師、セラピストが担当患者にかかわっている点
3.ケアやリハビリテーションに関して共通の理念を有していない事業所間においてサービスを行っている点
4.そもそも急性期、回復期リハ病棟から十分な情報が得られにくい点などがあり、個別ケア、リハビリテーションの立案が阻害されやすい

2025年に向けて大多数の患者は在宅で生活し、状況が悪化した場合のみ病院や診療所を利用する仕組みの構築が現在進行している。

しかし、在宅生活を支える在宅医療を取り巻く状況はハード面だけでなく、ソフト面の開発も遅れていると言わざる得ない。

病院や介護施設においてもチーム医療・介護は大きな課題であり、ましては物理的、心理的な距離も離れている在宅医療においてチーム医療・介護をするのはより一層難しい。

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この問題を解決する一つの方法がある。

それは「自分の専門性を確立した上で少しでも他職種、領域の知識・技術を有すること」である。

すなわち、ハイブリッド型医療・介護従事者の育成であり、投資である。

そうすることで、チーム医療やチーム介護に生じる時間的コスト・心理的コスト・経営努力などが削減でき、チーム医療・介護の発展に寄与する。

ここで一点重要なのは「専門性の確立が前提としたうえでのハイブリッド医療・介護人」であるという点である。

自身の専門性が確立していない場合に多領域の知識を有していても、自身の専門性と多領域の知識や技術を有機的に結合させることができず結局、十分なサービスのアウトプットができない可能性が高い。

脳卒中リハビリテーションを得意とするセラピストが薬剤の知識を活かすことができれば、脳卒中の症状と薬剤の副作用(たとえば向精神薬などの動悸や高揚感)などを判別するができ、リスク管理が可能となる。

ポジティブに診療報酬・介護報酬の改定を考えると、医療・介護従事者のキャリアには無限大の可能性がある時代になったとも言える。

 

 

 

 

 

これからの医療・介護従事者に必要な社会課題解決の視点

現在の医療・介護従事者の仕事内容は、法律で定められた資格の業務範囲で定められる。

つまり、整形外科医師なら整形外科の診断と治療、作業療法士なら作業療法、看護師なら看護ケア、薬剤師なら調剤や薬の監査などである。

医療・介護従事者や組織も法律による縛りにより、資格が定めた範囲以外の業務は行うことを想定していない。

先般、神奈川県で開催されたとあるリハビリテーション学会に参加したところ、以前と比較して企業ブースや演題発表の内容が変質していた。

10年前にはなかったコンセプトの医療機器や福祉機器、演題発表が数多く存在していた。
特に演題内容は地域連携、看護連携、介護士連携、教育の在り方、職域拡大、摂食嚥下、福祉機器、ロボットなどが多かった。
しかし、一方で脳科学、細胞学、神経生理学などのより深い医学モデルの内容も盛んに発表されている。

学会発表や研究開発はすべて社会問題の解決、国民の幸せにつながらなければならない。
つまり、学会発表や研究開発の分野が幅広くなろうと、医学モデルの深いものになろうとも、それが社会課題の解決、国民の生活に役に立つのかどうか重要である。
医療従事者や研究者の自己満足での発表であればその発表は決して社会課題の解決には結びつかない。

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「社会課題を解決する」活動は2025年以降の仕事の在り方として常識になると言われている。

今の医療・介護従事者は社会問題の解決に向けた仕事しているのか?

例えば、何度も自宅で転倒や肺炎を再発し、入退院を繰り返す老人がいる。

これに対して入院中に抗生剤の投与と座位保持獲得のリハビリテーションという部分最適のみのアプローチがどれほど意味があるのだろうか?

このような事例に対してどう対応をするべきか?

社会課題を考える医療・介護従事者。

これが今後のキーワードだ。

 

リハビリテーションの視点で取り組める事業はまだまだある

リハビリテーションの対象者は障害や生活上の課題をもつ人である。

しかし、患者、利用者だけでなくその人の家族や関係者も問題を抱えている。

家族一人が病気や障害を有する状態になることは、家族内にあった既存のシステムが崩壊する。

既存システムの崩壊としては以下のものが挙げられる。
一家の大黒柱が病気になり収入が減った
遠方に住む両親が病気になりどうして良いかわからない
旦那が障害を有したことで妻の生活範囲が著しく狭くなった
若い夫婦の配偶者一人が病気になり、SEXができなくなった
祖父が病気になり面倒を見る人をなかなか決まらない
相続問題が発生した
身寄りがない
などの様々な問題が生じる。

リハビリテーション現場の周りには多くの問題があるが、それらの諸問題に対して既存の医療福祉システムは十分に機能していない。

また、それらを解決する民間サービスもまだまだ乏しい。

上記の問題に対して、何の手を打つこともなく経過し、深刻な事態に発展してから、周りのサポートが入ることが多い。

当然、深刻な状態になればなるほどの解決は非常に難しい。

また、現在の地域包括ケアシステムは高齢者が抱える問題には焦点を当てているものの、様々な社会課題に対して焦点を当てているわけではない。

リハビリテーションは心身機能・活動・参加に対して問題解決型のサービスを提供するものである。

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スポーツ選手・肉体労働者・健康増進・発達障害・福祉用具・靴・衣服・車いす・自動車・街づくりなどの分野でも当然、リハビリテーションは効果を発揮する。

そういう視点で考えれば、もっと多様な支援サービスが生み出されても良いと言える。

まだまだ、リハビリテーションの視点で取り組める事業はある。

決して、リハビリテーションのサービスの幅を縮めることなく、リハビリテーション関係者は市場を広げていくべきである。

現状、多くのセラピストは病院の治療ベッド半径50cmから離れることができてない。

そのような姿勢では、リハビリテーションの市場が広がっていくことはない。

障害を有する人、高齢者に限らず、様々な分野にリハビリテーションを活かしていく視点が、新たなリハビリテーション関連市場を切り開く。

多くの医療・介護従事者が知らないこと

とんでもないことが起こっている。

医療・介護・年金の社会保障費はとんでもない額に膨れており、国が国民から借りている「借金」が巨額化している。

それでも日本は、医療にフリーアクセスを認めてきた。

日本国民の国民性や選挙制度を考えると、医療のフリーアクセスを死守せざる得なかった歴史もある。

しかし、平成26年・平成28年度診療報酬改定により地域包括診療料、地域包括ケア病棟、そして病床機能報告制度などの新たな国策の導入によりフリーアクセス感が消えつつある。

直近の診療報酬改定は、「地域の医療機関や薬局は地域の患者を掴んで放すな!」というメッセージを含んでおり、患者の自由な受診行動を制限する流れが強化されている。

また、介護保険は元来、混合介護が認められている。

すなわち、自費を出せば追加の介護サービスを受けられる。

国は医療保険より先に、混合介護を早くから解禁しており、介護保険領域において民間企業のために、参入障壁を低くし、多様サービスを認めている。

その流れを受けて、現在、大手企業が続々と介護、医療、予防分野に参入している。

医療・介護業界は熾烈な競争が急激に進んでる。

しかし、どうも多くの医療・介護従事者はこの事態を理解できていない。

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海外からの医療の参入、海外への医療介護の輸出、ロボット技術、外国人労働者の参入・医療介護の都道府県自治体によパフォーマンス管理・・・・

まだまだ、生じる医療・介護の激震

これからの変化に適応しないとどうなるか。

江戸時代から明治時代にかけて、「籠屋」という職業は消えた。

この意味を、真に理解する日が近づいている。