介護事業所・医療機関あるある 〇〇なサービスをしたいがする人がいない症候群

医療機関・介護事業所の経営は年々厳しさを増している。

高齢者人口は増えているが、国の財政的な問題により診療報酬・悔悟報酬の算定ルールはより厳しくなっている。

そのため、一昔前の「経営感覚」で経営を行っていると、気づいたときには収益が大幅ダウンとなり、倒産の危機が訪れるということも少なくない。

そのため、危機感を持つ経営者は自社の経営を変革させようとして様々なサービスイノベーションに取り組もうとする。

筆者がコンサルタントとして出会ってきた経営者が考えるサービスイノベーションは次のようなものが多い。

クリニック
疾患別リハビリテーションの導入
通所リハビリ・訪問リハビリなどの介護保険リハビリの導入
在宅医療の導入

老人保健施設
在宅復帰への取り組み
重度化対応への取り組み
看取り対応への取り組み

通所介護
個別機能訓練加算ⅠとⅡの算定内容の充実
重度者ケアの導入
リハビリ内容の充実

急性期病院
認知症の対応
手術症例の増加
救急外来の強化
在宅医療機関との連携強化

訪問看護
24時間対応の強化
看取り件数の増加

確かにこれらのサービスイノベーションを実現することができれば、地域の利用者やケアマネジャーなどのステークホルダーより信頼が高まり、利用者数の増加が見込める。

しかし、多くの医療機関・介護事業所は「サービスイノベーションを担える人材がいない」と言うボトルネックを解消することができない。

つまり、経営者はサービスイノベーションの中身は思いつくが、サービスイノベーションを担える人材を採用し、育成することができていないという現状が多いと言える。

これからの時代は65歳以下の人口が減少する社会となる。

つまり、労働者が劇的に減少するという事である。

このような中では「採用」「育成」という技術を持たない医療機関・介護事業所は、結局のところサービスイノベーションを実現できずにいるだろう。

「〇〇なサービスをしたいがする人がいない症候群」にならないように読者の事業所においては人事部門の強化に努めていただきたい。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
茂澤メディカルクリニック
たでいけ至福の園
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学 客員准教授

 

ハンバーガーショップを起業するものは企業家と言えるか?

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が起業する事例が増えているが、起業すれば全員が「企業家」になれるのだろうか?

そもそも「企業家」とは何か?

ピーター・ドラッカー曰く、「企業家」とは、「真の企業家は経営管理のという技術を用いて社会のイノベーションを実現する者」である。

ハンバーガーショップの起業家の事例を用いて説明する。

結論から言えば、ハンバーガーショップを起業する者は企業家とは言えない。

ハンバーガーショップを起業することで、当事者は食事を提供するというサービスは行っているが、これだけでは、企業家と呼ぶことはできない。

しかし、同じハンバーガーショップでもマクドナルドは企業家と呼ぶにふさわしい。

マクドナルドでは、顧客の満足を満たすための商品を決定し、その商品を安定的に生産するための生産工程を確立させている。

生産から顧客への販売のプロセスにおいては、サービスの早さ、清潔性、接遇などに配慮している。

また、それらを実現するための、人材育成や給与体系を整備している。

このような総合的な取り組みを行うことで、利益の最大化を実現している。

マクドナルドは画期的な商品やサービスを発明しているわけでないが、利益を最大化するための経営管理と言う技術を有している。

したがって、ハンバーガーショップを開設するだけでは、企業家の要件を満たすことはできない。

経営管理という技術を軸にした事業を展開することが企業家の条件だからである。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が起業しても、果たして「企業家」になれるだろうか?

通所介護
訪問看護
ネットショップ
予防事業
自費リハビリ
コンサルタント
などは誰でも起業できる。

起業家になれても企業家になれる人は一握りである。

起業家なら、企業家になれる努力を怠ってはならない。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
茂澤メディカルクリニック
たでいけ至福の園
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学 客員准教授

 

 

リーダーシップは信頼性に宿る

筆者はクライアントより「部下のリーダーシップが乏しい」「管理職が現場スタッフを引っ張っていくことができない」というリーダーシップに関する相談を受けることが多い。

リーダーシップに関する理論は様々な報告がなされている。

リーダーシップは性格的素因の影響を受ける。
リーダーシップの影響を与える相手によってリーダーシップの内容は異なる。
現場のスタッフを支える貢献型のリーダーシップが効果的である。
など様々なリーダーシップ理論が存在している。

その中でも、今回は信頼蓄積理論を紹介したい。

信頼蓄積理論とはエリック・ホランダーが提唱したもので「リーダーシップとは生まれ持った資質ではなく、日常的な信頼の蓄積により決まる」という理論である。

つまり、リーダーが過去、どんな言動をしてきたのかという過去の信頼の蓄積がリーダーシップに影響を与えるということである。

信頼されているリーダーだからこそ、部下はリーダーに従って、モチベーションを高く保ち、行動することができるが、信頼されていなければ、部下はリーダーに魅力を感じることはなく、リーダーに貢献する意欲が低下する。

実は、常日頃から上司は部下から「この人は信頼できるかどうか?」と評価を受けており、部下の評価が高ければ信頼度が高まり、上司は部下にリーダーシップを発揮することができるのである。

上司が部下より信頼を得るためには
嘘をつかない
発言と行動が一致している
感情的ではない
誠実に物事に取り組む
一貫性がある
約束を守る
という人間として当たり前のことができるかどうかである。

リーダーシップに悩んでいる管理職の方
部下が自分の指示に従わないことに悩んでいる方
職員が何かと非協力的で困っている方
は一度、ご自身の信頼性について考えてみることが大切である。

 

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
茂澤メディカルクリニック
たでいけ至福の園
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学 客員准教授

 

ワークシフトセミナールームを閉鎖いたしました

株式会社Work Shift代表取締役の高木綾一でございます。

2020年5月末を持ちまして、株式会社Work Shiftが保有するワークシフトセミナールームを閉鎖する決断に至りました。

新型コロナウイルスによりオフラインの研修が当面は困難と考えられ、会社を守るためにセミナールームを閉鎖することいたしました。

新型コロナウイルスが社会に容認される時期になれば、再び、オフラインセミナーを開催したいと思います。

オフラインセミナーは医療・福祉従事者にとって必ず必要な教育インフラと信じてやみません。

必ずや再開をいたしますので、その折には何卒よろしくお願いいたします。

2020年5月21日 セミナー会場の備品の引っ越し作業での写真
みなさん、本当にお世話になりました
また、会う日まで

テレワークとテクノロジードリブンの社会は決して華やかな世界ではない件

新型コロナウイルスによるテレワークの推進やテクノロジーの進展により、社会構造は大きく変わろうとしている。

テレワークとは何か?

情報通信技術を活用し時間や場所の制約を受けずに働くこと
「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語であり、日本では在宅勤務、リモートワークと呼ばれることが多い。

テレワークでは、人と人が顔を合わせることが少ないため、アナログなコミュケーションが乏しくなり、ITなどを利用したデジタル情報に基づくコミュニケーションが多くなる。

そのため、人間性の評価より、仕事の成果を評価する局面が増えていく。

同じ職場であれば、人当たり、優しさ、チームワークなど様々な人の情意面を感じることができるが、テレワークだとデジタル情報の交換が中心であるため情意面の情報が乏しくなる。

そうなると、人の評価は「成果」が中心とならざるを得ない。

また、AI、アプリ、ロボットなどのテクノロジーが進展すれば人間の仕事内容はより高度化が求められるようになる。

単純作業はテクノロジーが担い、より創造的で生産的な仕事を人間が担うことが期待されるようになる。

身近な事例を挙げると、Google社が提供しているGoogleフォームがある。

Googleフォームを用いれば、顧客が入力した様々なデータを簡単にデータ化し、グラフも作成してくれる。

つまり、人間が手作業でする手間を省いてくれているのだ。

テクノロジーが発展すればするほど単純作業から人間が解放されるが、その反面、人間の知識、技術、創造性の向上が必須となる。

オンラインや在宅勤務の進展が進めば進むほど、人間は高度化されたスキルが求められる上に、さらに、成果で判断されることになる。

このような状況にうまく適応できる人にとっては、テレワークやテクノロジードリブンの社会は幸せかもしれないが、適応できない人にとってはストレスが増加するだろう。

医療や介護でも在宅勤務やオンラインによる業務が増加していることが好ましいと思われがちだが、決してそうではない面もあることを認識するべきである。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
茂澤メディカルクリニック
たでいけ至福の園
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学 客員准教授