客寄せパンダ系リハビリテーション科の未来は暗い

リハビリをしていないと患者からクレームが来るから、理学療法士を採用して、リハビリをしています

リハビリは利益が出るのでリハビリテーション科を立ち上げました

リハビリをしていれば、患者からの印象もいいのでイメージアップの一環でリハビリテーション科があります

などの理由でリハビリテーション科を開設している医療機関や介護事業所は多い。

このような理由で開設されたリハビリテーション科を私はこう呼ぶ。

客寄せパンダ系リハビリテーション科

つまり、増患対策としてリハビリテーションを提供するためだけに開設されたリハビリテーション科であり、組織や地域が抱える課題を解決するために開設されたものではないということだ。

このようなリハビリテーション科の特徴は以下のようなものだ。

算定単位数のノルマが厳しい
医師や看護師と連携は皆無でひたすらハンズオンでリハビリをするだけ
書類業務や雑務はリハビリ助手に任せ、セラピストのマネジメントのへの意識が希薄
特別優秀なセラピストがいるわけではなく、経営者に従属的なセラピストが多い
算定単位数に出来高制などを導入しやたら成果主義を掲げる
セラピストが好き勝手に特殊手技をしている

このようなリハビリテーション科は早晩、崩壊する。

診療報酬改定・介護報酬改定などの環境変化についていけないだけでなく、コンプライアンス違反や倫理的問題などが生じ、組織として維持できなくなり、最終的に不採算部門となり衰退していく。

客寄せパンダ系リハビリテーション科はしょせん売上目的だけの部門である。

売上目的だけのリハビリテーション科にはモチベーションの低いセラピストが充満し、モチベーションが高いセラピストはつぶされる。

では、どうすれば客寄せパンダ系リハビリテーション科から脱却できるのか?

それは、組織や地域の課題を解決し、組織や地域から信頼できる部門になることである。

そうすることで、組織貢献や地域貢献のための必要なリハビリテーション科になっていくことができる。

皆さんのリハビリテーション科は
客寄せパンダ系リハビリテーション科ですか?
組織貢献系リハビリテーション科ですか?

 

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

PT・OT・STのキャリアデザインを阻害する「イラショナル・ビリーフ」

信念とは「それが正しいと堅く信じ込んでいる心」である。

アメリカの臨床心理学者のアルバート・エリスは、信念には論理的な信念と非論理的な信念があると述べている。

非論理的な信念は英語でイラショナル・ビリーフ((irrational belief)と言う。

イラショナル・ビリーフは、悲観的思考であり、その思考は物事の結果を悲観的に捉え、心理的な落ち込みを生むものである。

つまり、「心理的な落ち込みは、物事の結果がそうさせたのではなく、イラショナル・ビリーフがそうさせたものである」という考え方である。

例えば、次のような内容は一見合理的な信念と感じるが、実はイラショナル・ビリーフである。
1)嫌われてはいけない
2)できるだけ完璧に物事は仕上げないといけない
3)困難なことが起これば、立ち向かうより避けるほうが楽である
4)人から批判されたから自分はダメな人間である

イラショナル・ビリーフには
「ねばならない信念」例:人には好かれないといけない
「悲観的信念」例:〇〇が起こったから、もう〇〇は絶望的である
「非難・自己卑下信念」例:〇〇ということが起こったから、私はダメな人間なんだ 「欲求不満低耐性信念」例:〇〇をすることは耐えられない
という4種類存在する。 29e4249217ed0aca74e7e081b73ab9b4_s このようなイラショナルビリーフは、個人差はあれば誰でも持っている。

所謂、「思い込み」や「勘違い」が自身の考えを支配し、誤った行動を誘発していると言える。

例えば、「ある患者から治療に関するクレームを言われたから、自分はセラピストとしてダメな人間なんだ」と考えたとする。

しかし、これは明らかにイラショナル・ビリーフである。

ある患者からクレームを言われたということだけで、「セラピストとしてダメ」ということは論理的におかしい。

また、一度クレームを言われた程度で、自分のことを判断することも論理的ではない。

そして、そもそもクレームを言われない人などいないので、一度のクレームで自己否定をするのも論理的ではない。

イラショナルビリーフは人生や仕事を前進させにくい。

ぜひ、自身のイラショナルビリーフに気づいていただきたい。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

いまさら聞けない介護報酬の仕組み

1.介護報酬とは
各介護サービス費用の額は、厚生労働大臣の定める基準に基づいて算定される。 厚生労働大臣が介護報酬の算定基準を定めてようとする時は、あらかじめ社会保障審議会の意見を聞かなければならないルールになっている。
サービスを提供した事業者・施設がそのサービスの対価として保険者である市町村から報酬として支払いをうけるため、介護報酬と呼ばれる。

2.介護報酬の算定
介護給付単位数表に各サービス・施設などに応じて定められた単位数に、1単位の単価をかけて金額に換算する。
基本は10円であるが、地域により差が設けられている。
ただし、居宅療養管理指導、福祉用具貸与に関しては地域差がなく一律で10円となっている。 25d00b14f2311940445f6b18901e7d39_s 3.介護報酬請求の手続き
現物給付の請求では、事業者、施設、総合事業の指定事業者や受託者は、サービスを提供した月の翌月10日までに事業所や施設所在地の国民健康保険団体連合会(国保連)に明細書(レセプト)を提出しなければならない。
支払いは、請求月の翌月末に行われる。
したがって、サービス提供から二か月遅れで介護報酬が支払われることになる。

4.介護給付費審査委員会
国保連では、介護給付審査委員会を設置しており、請求された内容を公平に審査する。
この委員会は、介護給付等対象サービス担当者、市町村、公益の同数の代表からなる三者構成である。
委員は国民健康保険団体連合会が委嘱するが、サービス担当者と市町村の代表者は、それぞれの関係団体から推薦され、委員の任期は2年である。

5.介護報酬請求の時効
被保険者が保険給付を受ける権利または、事業者・施設が法定代理受領により介護報酬を受ける権利の消滅時効は2年である。
2年を超えると、被保険者が償還払いで給付を受けることや事業者が支払いを受ける権利を失うことになる。

投稿者
高木綾一

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関西医療大学保健医療学部 客員准教授

PT・OT・ST管理職は要注意!「君は将来どうしたいの?」という質問はやめておこう!

うちのセラピストは目標もなく、困っています
面談でセラピストのやりたいことを聞くのですが、ちゃんとした返事が来ません
セラピストにやりたいことが本当にあるのかどうかわかりません
など・・・で悩んでいる理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の管理職は多い。

この種の悩みは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の管理職に「セラピストとして働いている人間は、セラピストとして目標があることが当たり前である」という前提条件があるために生じる。

ここに大きな誤りがある。

筆者が学生教育に携わり、キャリアコンサルタントとして多くの人に接してきて分かったことは、「セラピスとして目標を持っている人など圧倒的に少ない」という事である。

別の言い方をすれば、「セラピストとして目標を持っている人はかなりのレアケース」であると言うことである。

なぜならば、多くの人は「セラピストになることが目標であったために、セラピストになった後の目標など真剣に考えることは少ない」からだ。

したがって、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の管理職が部下に向かって「君は将来何がしたいのだ?」「あなたの目標を教えてくれ」「やりたいことを早く見つけなさい」という指導は、何の意味も持たない。

管理職がやるべき仕事は、「セラピストの目標設定の支援」である。

つまり、目標をセラピストが自己決定できるまでの支援をすることが管理職の仕事であり、部下から「目標をヒアリングすること」は仕事ではない。

人間がキャリアにおいて目標を設定するためには「自己概念」「価値観」「キャリアアンカー」を研ぎ澄ます必要がある。

これらの研ぎ澄まし方に関しては以下の記事を参考にして欲しい。

スーパー理論「自己概念」

「人」なぜ働くのだろうか?

部下に目標ややりたいことを質問ばかりしている人は是非、目標設定の支援が管理職の仕事である事を再認識して欲しい。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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関西医療大学保健医療学部 客員准教授

PT・OT・STの転職戦略~学び重視型転職か、価値提供型転職か~

一昔前に比べ、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の転職は全く珍しいことではなくなった。

30代半ばまでに複数の職場を経験している人も少なくはない。

転職が一般的なことになっているのは
一つのところで働き続けるという価値観がなくなった
転職を斡旋するエージェント会社が多数存在している
SNSなどで他人の転職事情を知り転職に感化される機会が多い
などが原因と考えられる

ほとんどの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が転職する際に拘ってる事柄は「今の職場の給与より高い職場への転職」である。

簡単に言えば、給与を上げるために転職を考えるということである。

しかし、給与を上げることだけを目的に転職先を選んだ人がその後転職先職場でパフォーマンスが下がり、結局、退職するという事例を散見する。

実は転職には二種類の転職がある。

学び重視型転職
転職先職場から多くの知識や経験を学ぶことができ、自分自身のスキルアップが実現できる転職である。
この場合、学ぶことが主な目的であるため転職先組織に対する貢献には時間がかかるため高い給与をもらうことは難しい。

価値創出型転職
自分自身の知識や経験を転職先組織に提供し、その組織のサービスや売上げ向上に寄与する転職である。
この場合、転職先組織に対する価値提供ができるため給与に関して交渉する事も可能であり、高い給与をもらえる可能性が高い。

つまり、現状より高い給与をもらうためには価値創出型転職でなければ難しいのだ。

価値を提供できずに高い給与をもらうことになれば、当然、職場での評価は低くなり様々な面での処遇が厳しくなる。

給与を上げるために転職を行うことにはリスクがあることを認識するべきである。

転職を考えている人は自分がどちらの転職をしようとしているのかを冷静に考えてほしい。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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