PT・OT・STのキャリアデザイン 過去の経験を未来へ活かそう

キャリアデザインやキャリアアップについて考える場合、「未来のこと」を一生懸命に計画する方が多いのではないかだろうか?

近い将来、〇〇な資格を取りたい。
次の職場は、〇〇ができることに行きたい。
大学院に行って、〇〇について勉強したい。
など未来について考えることがキャリアデザインであると考えている人は多い。

実は、キャリアを考える上で重要となるのは未来のことより、「過去のこと」である。

自分の価値観や自己概念をより反映したキャリアを開発できる人の特徴は 「過去のこと」に対する向き合い方が非常に上手であるということである。

「過去のこと」に向き合うことが上手という方は以下の2つについてしっかりと対応ができる。

1)過去から現在まで、人生や仕事において自分が置かれている状況を明確に把握している
2)過去から現在までの状況に対して、感情だけでなく、その状況に対して意味づけをしている

例えば、 「病院で嫌な仕事を与えられ、仕事を辞めたいと考えている。しかし、年齢も47歳で、今から転職するかどうか悩んでいる」 というキャリア上の悩みをセラピストが持っていたとする。

このような場合に、
1)今の病院で働いてきた中で、獲得してきた知識、経験、技術を整理する 2)嫌な仕事を与えられたことに対してどのような気持ちになっているのかを整理する
3)年齢が47歳が自分にとってどのような意味を持つのかを整理する
4)今から転職することで具体的にどのような不安があるのかを整理する 5)1)~4)の内容を統合した上で、自分は何に悩んでいて、そしてどの様にしたいのかを考える。

これらの一連の思考が、発展的で主体的なキャリア開発には欠かせない。 120889 キャリアを考えるうえで重要なのは 「経験の再現」と「意味の出現」の繰り返し である。

過去の経験をしっかりと振り返り、 それに対して、どのような感情や気持ちを持っているのか。

それを踏まえて、自分は将来どうしていきたいという気持ちを持っているのか?

この繰り返しをすることで、自己概念を反映したキャリアを選択することができるようになる。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

リハビリテーション部門の改革は価値観の統一が肝である

リハビリテーション部門の戦略を見直します
リハビリテーション部門に人事考課制度を導入します
リハビリテーション部門の組織図を見直しました

などの話を理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の責任者より聞くことが多い。

しかし、
リハビリテーション部門の理念やビジョンを見直しました
リハビリテーション部門のリハビリテーション技術に関する方針を定めました
などの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の価値観を見直した話はほとんど聞かない。

しかし、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の価値観を変えずに、戦略・制度・組織を変化させたとしてもその実効性は乏しい。

価値観は組織力の源泉である。

価値観は全ての従業員の行動を制御するものであり、価値観の変更なくして戦略・制度・組織の変更には何の意味も持たない。

価値観に基づく、戦略・制度・組織を設計しなければ、すぐにそれらは形骸化する。

別の言い方をすれば、戦略・制度・組織は価値観(理念・ビジョン)を実現するために存在するのである。

戦略・制度・組織は管理者の一存で決めやすいものである。

これらは書類の上で、構築でいることから、ついつい戦略・制度・組織をいじってみたくなる。

一方で、価値観の設定や普及は非常に労力のかかるものである。

この数年間で何度も戦略・制度・組織をいじっているリハビリテーション部門は注意である。

価値観の浸透なき、戦略・制度・組織の変更はなんの意味がないことを知って欲しい。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

多職種からリスペクトされるセラピストじゃなきゃ、多職種連携の雲行きは怪しい件

うちの理学療法士は介護職から尊敬されていないのです。

作業療法士に福祉用具の検討をお願いしたのですが返事がなく困っています。

トランスファーが介護職よりできないセラピストが多くて呆れます(下図)。

これらは、私が実際にクライアント先で聞いた話である。

そして、これらの状況にあるセラピストの特徴は、多職種連携が全くできていないことである。

セラピストが多職種に影響力を発揮することが出来ないため、看護職や介護職がセラピストの助言や介入を軽視する傾向が強い。

つまり、セラピストに対する信頼がないため、セラピストの意見が重視されないのである。

無断転載禁止

多職種連携とは、双方の信頼が基盤となる。

信頼できない人の意見や指示を遵守することは難しい。

それは、医師、看護師、介護職、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士でも同様で、信頼関係の基盤があるからこそ、利他の精神で相互貢献ができる。

社会学者のレビンは人が人に影響を与える要因の一つに専門勢力と言うもの挙げている。

専門勢力(Expert Power)
影響の送り手が持つ当該の分野の実際の知識量や、その知識量について受け手が持つ認識によって決まる勢力

つまり、相手に専門性が低い場合、他者はその人から影響を受けないということである。

セラピストがリハビリテーションにおける多職種連携を促進したい場合は、セラピストが多職種にリスペクトされるほどの専門性を持つことは重要である。

トランスファーが出来ない
福祉用具の助言ができない
ADLの評価ができない
等は多職種から馬鹿にされることである。

まずは、最低限の専門性を確保し、周囲との信頼関係を構築すること。

それが多職種連携の基盤となる。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

イラスト提供
福山真樹

理学療法士×イラストレーター
医療・介護等の現場を、医療職種の胸の内まで分かりやすくイラストで伝える。
臨床で勤務する理学療法士だからこそ描ける作品を医療関係者等へ提供し、書籍・学会・福祉機器紹介PV等、様々な場面で用いられている。
問い合わせ先
ホームページ https://fukunoe.com/
Facebook https://www.facebook.com/Masaki.Fukuyama.PT
メール  big.tree.of.truth@gmail.com
Twitter  https://twitter.com/PT_Fukuyama
Instagram https://www.instagram.com/masaki.fukuyama

仕事は自分自身を表現するツールである

今の仕事がしんどい 今の仕事を辞めたい
今の職場が嫌だ 今の上司が嫌いだ

こんなことをつぶやきながら働き続けている理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は多い。

まるで、奴隷のように働いている。

言い換えれば、やりたくもない仕事に人生を支配されているのだ。

このような状況の人は180度、仕事に対する考え方を変えたほうが良い。

仕事は自分自身を表すツールであり、あくまでも人生を豊かにする道具である。 57f5f454e9aa0cbe2f855994e6a2d530_s

仕事が人生を支配するのではなく、人生が仕事を支配しなければならない。

そのためには、自分らしい人生を歩むことが最重要課題となる。

人生においては自分の興味・能力・価値観を理解することが重要であり、それらを満たす職業や職場にたどり着くことが求められる

・自分はどんな仕事をしたいのか
・自分はどんな仕事ができるのか
・自分は仕事において何を大事にしたいのか

これらのことを大切に日々の人生を歩まなければ、不満に満ち溢れた仕事をやり続けることになる。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士という資格は人生のツールでしかない。

自分自身がどのような人生を歩みたいかを決め、これらの資格を用いて人生をデザインすることが重要だ。

市場の労働環境や社会情勢の変化が激しい現代において、自分自身の人生を深く考えなければ、環境の奴隷となることは間違いない。

自分自身の気持ちや考えを抑えつけて、ひたすら働く。

こんな働き方はいつまでも続くものではない。

あなたの仕事はあなた自身の思いや考えを表現できていますか?

今一度考えてほしい。

執筆者
高木綾一 セミナー講師 株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)(経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

セラピストが起業をしない理由

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の起業率は非常に低い。

日本人の起業率は4%から6%と言われている。

これはヨーロッパやアメリカが10%前後であることを考えると日本の起業率は非常に低い。

そして、ある報告によると日本の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の起業率は0.1%である。

日本ではセラピストの起業は全く一般的なものでないと言える。

なぜ、セラピストの起業が少ないのか? こ

れに関しては次のような理由が考えられる。

理由①
セラピストはそもそもの起業に関連する職業的自己概念を持ち合わせていない。
つまり、起業に関する価値観が薄いため、起業志望者そのものが少ない。

理由②
セラピストへの起業支援の環境が整っておらず、起業への心理的ハードルが高いため、起業に対するインセンティブが少ない。
職能団体や養成校でも起業に関する講座は圧倒的に少ない。
そのため、希望志望者であってもどのように起業をして良いのかわからず、起業を諦めてしまう。 change 地域包括ケアシステムでは、自助と互助の促進が行われているが、これらの分野の活性化にはセラピストの起業が必須である。

リハビリテーション関連分野でセラピストが起業しなければ、自助と互助の分野が他企業や他職種に奪われてしまうだろう。

したがって、早急にセラピストの起業を促進する必要がある。

執筆者
高木綾一 セミナー講師 株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)(経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授