労働時間を増やして収入を増やす理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、介護職、医師は「残念な人」である

働く時間を増やして自分の仕事の価値を高めようとする人は沢山いる

カルテや書類の作成が遅くて、夜遅くまで働いている理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
それほど仕事が残っていないのに、細かい雑務をこなして残業代を請求する看護師
シフト管理などの書類業務が終わらないので、自宅に持ち帰って仕事をしている介護職
休みである日曜日に出勤し、軽症患者に対して病棟回診を行い休日出勤を申請する医師

これらの人は、実際に筆者が出会った人たちである

一見、責任感があり、しっかりと仕事をしている人という印象があるが、決して仕事ができる優秀な人ではないと断言する

労働時間を増やして、仕事の価値を増やしている残念な人は世の中に多い

インプットが増えれば、アウトプットが増えるのは当然であるから、別に何もすごいことはない

労働者の価値は

アウトプット÷インプット

できまる

すなわち、短時間当たりで行った仕事の量である

「収入を増やす」という事例で考えてみる

収入を増やす方法は二種類である

労働時間を増やして時間当たりの時給を稼ぐ方法

時間当たりの仕事量を増やして、様々な仕事に着手し、評価を得る方法
である

労働時間を増やして、給与を増やす方法は三つの点で問題がある。

一つ目は、労働時間には上限があること、すなわち給与の増加額も上限があるということ
二つ目は、こんな働き方していると新しいスキルが身につかないということ
三つ目は、労働時間を増やせば、他のことに取り組む時間が減り人生が吸い取られるということ

日本は、人口減少社会に直面している

医療・介護分野も人手不足が続いている

このような状況で高い評価を受ける人材は「生産性が高い人」である

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例えば、
理学療法士だけど摂食嚥下も対応できる
看護師として臨床も退院調整もできる
介護職として介護業務以外にも教育や連携業務もできる
作業療法士として、応用的動作だけでなく、基本動作も治療できる
言語聴覚士だけど、呼吸リハビリテーションも対応できる

このような人は、決して、労働時間を延長させることで自身の価値を高めることはしない

むしろ、労働時間を減らすことで短時間当たりの生産性を高める

しかし、現状は理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、介護職、医師は副収入を得るために、動労時間を延長させる傾向が強い

はっきり言って、この働き方には未来はないと言っても過言ではない

生産性を高めることを忘れると、「自分自身で自分の働き方をブラックにしている」と言える

ブラック企業もあるが
ブラックな働き方を選択している労働者も多い

 

 

 

 

「営業活動をして利用者を集めてこい!」という院長・経営者・事務長は、臨床現場が最大の営業活動であることを忘れている

2000年以降の緊縮財政により、医療・介護事業では経営環境の変化に伴い、患者や利用者獲得のための「営業活動」が活発化した。

医療の機能分化の促進、介護保険事業所の増加により、患者や利用者の争奪戦の状況が生まれ、地域連携室や事務方の職員などが地域の医療機関、介護事業所、居宅介護支援事業所に患者や利用者の獲得目的で挨拶回りに行くなどの営業行為は、もはや、ごくごく普通のことである。

しかし、そんな「営業行為」だけでは、もうどうしようもないほど現在の医療機関や介護事業所を取り巻く環境はより厳しさを増している。

地域包括ケアシステムの推進は、各医療機関や介護事業所の「実力」を白日の下にさらしている。

在院日数短縮
重度者対応
ADL改善
24時間365日対応
地域連携
自立支援
ターミナル対応
多職種連携
認知症対応
など・・様々な項目への取り組みが医療・介護事業所の必須事項になっている。

昨今ではこれらの項目に対応できない場合、患者や利用者だけでなく、連携医療機関や介護事業所から、不信に思われる。

例えば、次のような事例は「不信」を招く典型例である。

営業活動で、「〇〇の疾患であればすぐに入院対応できますので、いつでも、ご連絡ください」と言っていたが、いざ、入院の依頼をすると先方の医師の判断で入院が断られる。

自立支援を目指しているデイサービスという紹介で、デイサービスを利用したが、筋力トレーニングだけのデイサービスだった。

「365日24時間対応の訪問看護ステーションなんで、ご安心ください」と利用者に伝えていたが、実際に深夜に電話したら、オンコール担当の看護師の態度が悪かった。

「リハビリテーションを中心にしている病院です」という紹介で入院したが、土曜日、日曜日はリハビリテーションがなかった。

旧来の営業活動は、エクスターナルマーケティングといわれるもので、いわゆる、認知度を高めるための行為である。

こんな医療をしている医療機関ですよ!
こんなことに取り組んでいる介護事業所ですよ!
ということを、市場関係者に伝えることで、サービスや商品の購入を促進するものである。

エクスターナルマーケティングは
競合が少ない
市場が成熟していない
相手に知識がない
場合に有効である。

しかし、昨今の医療・介護情勢については、医療・介護分野の関係者だけでなく、多くの国民もインターネットなどのメディアを通じて知っていることが多い。

そのため、認知度を高める程度では、サービスや商品の購入が起こりにくい。

そこで、重要なのがインターナルマーケティングである。

このマーケティングは
社員に自社のサービスや商品の価値を教育し、日常的な活動において顧客の期待を裏切らないようにする
ことである。

言い換えると、「自社が謳っているサービスや商品の質を常に順守する」ということである。

よい噂を聞いたので、実際に利用したが、期待していたサービスを下回ったことはないだろうか?

このような場合、もう一度そのサービスを利用したいと思わない。

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医療・介護分野では、患者・利用者の獲得目的の営業は、エクスターナルマーケティングのような活動だけでは、もう、効果を出すことはできない。

利用者や入院稼働率が低下した場合、多くの経営者や院長は「外部の事業所に営業に行ってこい!!!」と言う。

しかし、この発言は本末転倒であることが多い。

そもそも利用者や患者が減っている理由は何だろうか?
なぜ、利用者や患者が離れて行っているのだろうか?

ほとんどの人は
臨床現場が、「インターナルマーケティングというマーケティングの最前線であること」を理解していない。

今一度、臨床現場におけるマーケティングを見直すべきである。

診療報酬・介護報酬低額化時代 勝ち残るために必要なのはネットワークである

ネットワークとは
連絡を保って網状になっている構成体
のことである。

ビジネスの世界では、一度ネットワークを構築することができれば必ず一定数の販売は確保できるという原則がある。

わかりやすい例は、「Google」である。

Googleはchrome、Gmail、Google calendar、Google Street View、androidなどのITテクノロジーを駆使して、全世界におびただしい数のエンドユーザーを確保している。

そのGoogleが、今後、どような商品を発売しようとも、必ず一定数は売れる。

なぜならば、Googleとエンドユーザーは強くネットワークにより結ばれているからだ。

また、様々なネットワークを持つことでGoogleは自らの技術を活かした商品を発売することができる。

例えば、Googleは現在、自動運転ができる車を開発している。

その技術の裏には、Google Street View、androidが活用されている。

このように、エンドユーザーと強く結くことができるネットワークを数多くもつことで、市場に対しては「破壊的な力」を持つこと可能となる。

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診療報酬・介護報酬が低減化していく中、医療機関や介護事業所は、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護福祉士の雇用者数を増やして、できるだけ一人当たりの売り上げを確保しようとする。

つまり、薄利多売作戦である。

しかし、この薄利多売作戦がうまくいくためには、患者や利用者が常に一定数確保できるという前提条件が満たされる必要がある。

すなわち、患者や利用者を確保することができるネットワークの構築がこれからの時代では重要である。

2000年以降の緊縮財政政策により、社会保障分野の費用は削減された。

2000年以降、医療・介護分野では「営業が重要だ!」と言う経営者が増え、多くの医療機関や介護事業所は営業活動を行っている。

しかし、その営業活動は
パンフレットを配る
事業所へ挨拶周り
電話を掛ける
営業のFAXを送付する
という程度のものであり、認知度向上程度の効果しか期待できないものがほとんどである。

これからの時代において、患者、利用者を確保していくために必要なのは、ネットワークの構築である。

そして、地域包括ケアシステムは、まさにネットワークの構築を求めている。

特に、リハビリテーション分野や重症者対応に関してはネットワークの構築が重要である。

なぜならば、リハビリテーション分野と重症者対応は理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、医師のサービスの差が最も目立ちやすいものであるため、エンドユーザーであるケアマネージャー、患者、利用者、家族は質の高いサービスを得ることができるネットワークへの関与を希望するからである。

皆さんが勤めている医療機関・介護事業所は、ターゲットしている患者や利用者に対してネットワークの構築ができているか?

 

 

 

質の悪い理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が全く淘汰されない業界は異常である

理学療法士 12,000人以上
作業療法士 5,000人以上
言語聴覚士 1,500人以上

合計18,500人のセラピストが毎年、誕生している。

今から、10年間で185,000人、20年間で370,000人が今より増加することになる。

大阪府医療計画、日本経済新聞で理学療法士の過剰供給が指摘され、厚生労働省では理学療法士・作業療法士の需給調整関する議論が始まっている。

地域包括ケアシステムは、医療の在宅シフトを進め、病床を削減し、在宅の軽度者に対するリハビリテーションは、自助・互助の概念により人件費をかけない方法が推進されている。

高齢者数のピークは2043年であり、その後は全世代に渡り未曽有の人口減少に突入する。

どう考えても、日本では理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の働く場所は少なくなる。

職域拡大が叫ばれているが、そもそも国家財政難時代の医療保険・介護保険分野における職域拡大にも限界がある。

民間ビジネスをするしても、人口が減少していくのだから市場はどんどん縮小していく。

しかも、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の資格は業務独占をしていないため、お互いの仕事を奪い合う関係にある。

所謂、雇用の共食いがあり得るのだ。

実際、
理学療法士で摂食嚥下リハビリテーションの専門家
作業療法士で歩行を含めた基本動作の専門家
言語聴覚士で食事動作の専門家
など、専門性を超えたハイブリッド型セラピストが世の中は沢山誕生している。

セラピストの過剰供給
国家財政難
市場の縮小
雇用の共食い
の四重苦により、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の雇用の場は必ず減少する。

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筆者が知っている医師は、2000年当初からセラピストを大量雇用して医療事業を大成功に導いた。

ある日、筆者がその医師に対して「これだけセラピストを採用していて、2030年頃に一気にセラピストの需要がなくなったり、リハビリテーションの診療報酬が一気に下がったらどうするのですか?」と質問した。

医師の回答は
「全員、リストラしかないでしょ」
とのことだった。

この話を聞いて、
なんて医師だ!ひどい奴だ!
と思う人もいれば、
このようなことを想定して、絶対に勝ち残れる圧倒的実力をつけるんだ!
と思う人もいる。

どちらのほうが、セラピストとして健全であるかは言うまでもない。

ラーメン屋も
アパレル関係も
歯科医院も
コンビニも
牛丼屋も
全部、過剰供給である。

しっかりと、マーケティングを行い、実力をつけた企業だけが生き残るだけである。

資本主義の日本で、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士だけ、「雇用を守ってください!」というのは厚かましい話である。

理学療法・作業療法・言語聴覚療法のエンドユーザー患者や利用者の立場になれば、「良質な理学療法・作業療法・言語聴覚療法を受けたい!質の悪いセラピストは淘汰をしてほしい」というのは、至極、当たり前の話である。

むしろ、質の悪い理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が淘汰されるという自浄作用をセラピストは有するべきである。

質の悪いセラピストすら淘汰できないセラピスト業界に未来はない。

 

 

 

 

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の「ステータスが欲しい・欲しい病」は自滅一直線

多くの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等の医療や介護従事者はキャリアについて、「キャリア・アップ」という言葉を使うことが多い。

「キャリア・アップ」という言葉には、アップ、すなわち上昇という言葉が使われているため、当然、その逆の「キャリア・ダウン」も存在する。

この「キャリア・アップ」という言葉は、「外的キャリア」を意識しているときに使われやすい。

外的キャリア
職業、職種、役割り、身分、学歴などで客観的に確認できるもの

外的キャリアは、客観的に確認することができ、かつ、キャリアの上下が伴うものである。

しかし、外的キャリアは自身の興味・関心・価値観などの自己概念を反映していないことも多い。

セラピストが、呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士などを取得しても、その後、臨床で活かすことや追及しないことがなんと多いことか・・・・・。

結局のところ、ただのステータスが欲しかっただけである。

本当のキャリア・デザインは「内的キャリア」であるという教育が日本では大いに不足している。

したがって、そもそも理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の資格を取得したこと事態が、ステータスを求めた結果の行動である可能性も高い。
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内的キャリアは、本人の興味・関心・価値観を示すものであり、内的キャリアを満たさなければ、生き甲斐ややり甲斐を感じることは難しい。

多くの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は養成校学校から医療機関・介護事業所に就職する時に、「内的キャリア」を考えたことが無く、「外的キャリア」だけで目標を定めようとする。

つまり、医療機関や事業所の名前、給与、ブランドイメージが重視される。

さらに、就職してからの医療機関や介護事業所でキャリア・デザインに関する教育がないので、「内的キャリア」を考えることなく、中堅セラピストになってしまう。

想像してほしい。

特にやりたいことがない中堅セラピストがどれほど、組織にとってお荷物になっていくか。

ステータスにはアップもダウンもある。

しかし、あなたの興味・関心・価値観にはアップもダウンもない。

あなたの周りに「ステータスが欲しい・欲しい病」になっている人はいないだろうか?

そういう人とは距離を取っていただき、自身の興味・関心・価値観に向き合って、仕事をしてほしい。