医療・介護業界における環境変化を踏まえた“働き方の選択と決断”の重要性

近年、医療・介護業界において働き方の選択肢が増えてきている。

国内においては、医療機関や介護施設の機能分担が進み、各施設に求められる役割や能力もより明確となってきた。

これまで以上に企業努力を重ねなければ、競争激化する国内市場において生き残ることは難しい状況である。

高齢者人口が増加している一方で、医療・介護事業所の数も右肩上がりに増えており、差別化を図れない事業所はレッドオーシャンの中で熾烈な争いに巻き込まれることを覚悟しなければならない。

一方で、日本の医療や介護サービスを海外に輸出する動きも始まっている。

これは国益の観点からも重要なことである。

しかし、現状の医療・介護従事者がその流れに乗ることは簡単ではない。

語学力の不足はもちろんのこと、保守的な国内市場の中で育った人材が、海外事業に参画するには高いハードルが存在する。

医療や介護の知識・技術に加え、語学力やビジネススキルを含めた総合力を磨くことが不可欠である。

地域包括ケアシステムは、すでに多くの地域で完成形に近づきつつあり、各職種の役割や成功モデルも明確化されてきている。

もはや構築の段階は過ぎ、いかに地域ごとに持続させ、発展させていくかが問われる時代となった。

同時に、少子高齢化の加速、労働人口の減少、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展といった社会背景は、医療・介護従事者に対して新たな働き方を選び取る力を強く求めている。

専門性の追求に加え、複数の役割を担う柔軟性、多様なスキルを組み合わせて発揮する力が不可欠となっている。

現状を見極め、ただ「判断」するだけでは不十分である。

情報を集めて比較検討し、無難な結論にとどまることは、むしろ危険である。

今は、自らの人生とキャリアをどのように築くのかを「決断」し、行動に移せるか否かが問われる時代である。

思考停止に陥ることなく、自ら選び、自ら動く者だけが未来を切り拓くことができる。

読者諸氏は、すでに決断しているだろうか。

それとも、未だ判断の域にとどまっているだろうか。

あるいは、現状に甘んじ、立ち止まってはいないだろうか。

変化は待ってはくれない。

時代は、決断し、挑戦し続ける者にのみ味方するのである。

筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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