地域包括医療病棟が果たす地域医療のハブ機能

令和6年度(2024年度)の診療報酬改定において、急性期医療の適切な体制整備を推進する観点から、総合入院体制加算の要件および評価が見直された。

これにより、急性期医療機能のさらなる強化とともに、真に急性期対応が必要な患者が確実に受け入れられる体制が構築されつつある。

国は「本物の急性期病院」を形成し、救急医療を専門に担い、地域医療の中核としての役割を果たすことを目指している。

その一方で、急性期病床の過剰な滞在を防ぐ仕組みも強化された。

急性期病床に本来必要ない患者が長期滞在することで、必要な患者の受け入れが妨げられることを防ぐためである。

その調整役として注目されているのが、地域包括ケア病棟および地域包括医療病棟である。

地域包括医療病棟は、地域における急性期医療から在宅医療への橋渡し機能を担う中間的な病棟として機能しており、急性期後だけでなく、在宅や施設からの緊急入院を含めた「地域の受け皿」としての役割が求められている。

さらに今回の改定では、地域包括医療病棟における「軽度者受け入れ」「365日リハビリ提供」「退院調整」の体制強化が明確に打ち出されている。

軽度者受け入れについては、急性期病棟からの転棟だけでなく、在宅・施設からの緊急入院を積極的に担い、地域の安心を支える役割が強化された。

365日リハビリ提供体制により、土日祝日を含め継続的にリハビリテーションを実施することで、患者の早期機能回復と退院促進を目指している。

また、多職種によるきめ細かな退院調整も評価の対象となっており、専従の退院支援担当者や社会福祉士を中心とした地域連携を通じて、在宅復帰・社会復帰に向けた支援が行われている。

特に病棟マネジメントにおいては
①入退院支援体制の整備
②多職種連携の質的向上
③休日を含めたリハビリ提供計画の最適化
④在宅復帰率や在宅支援の指標管理
⑤家族支援の体制整備
⑥退院後生活を見据えたリハビリ部門との継続的連携
が重要な管理項目として求められている。

筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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