「決断しないことを決断する」決断先延ばし症候群は、ただの他力本願依存症

今の職場が嫌なんです
やりたいことができなくて、仕事がしんどいです
組織が方向性を失い、何がしたいのかわからないです
だんだん、働きづらい環境になってきました

と「不満」を口にする理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が増えている。

「不満」の理由はたくさんあるだろう。
上司が仕事ができない
職場のノルマがきつい
経営者が金の亡者
職員の人間関係不信
など、リハビリテーション部門や病院・介護の組織には様々な問題がある。

よって、その環境に耐え切れず、ついつい「不満」を口にしてしまうことは理解できる。

問題はそこからである。

そういった「不満」に対して、何らかのアクションを起こすセラピストは数パーセントではないか?

「不満」に対してどうするのか?と質問すると

今後の状況を見極めます
私には何の力もありませんからどうしようもないです
うまく対応していけるよう努力します

などの回答が返ってくる。

結局、現状に満足してるじゃないの!!!と言いたい。

「不満」があってもその解消をしないということは、「実は私は現状に満足している」と言っているようなものである。

本当に「不満」なら変えてしまえばいい。 

しかし、変える行動ができないなら、「私は不満の方で満足なんです!」と言っているのと同じだ。
職場や自分の置かれた状況を判断するセラピストが増えている。
判断の結果、自分がみじめであるとか、つらいとか、不満を持っているという結果に至る。
しかし、その結果を目の前にして、特に対策は打たない。

不摂生で血糖値が高く、糖尿病のリスクが高いとわかっていても、不摂生に対する何ら対策をとらない人と同じである。

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判断すれば、次は決断である。

判断に基づいて、どのような行動をとるかという決断をしなければ、判断は徒労に終わる。

視点を変えると、なんの行動もしないという人は、「何にも行動しない」という決断をしていると言える。

「決断しないことを決断する」決断先延ばし症候群に罹患していると言える。

しかし、決断先延ばし症候群は、職場環境への依存度が高く、自分の人生を自分でコントロールできない状況を加速させ、深刻な他力本願依存症になるだろう。

仕事は、人生の大部分を占める。

その仕事が、他力本願に依存する。

こんな恐ろしいことはない。

今こそ、理学療法士・作業療法士は専門性を活かしたフロンティアスピリッツを持つべきだ

第1回 理学療法士・作業療法士需給分科会が2016年4月22日に開催された。

一般社団法人日本作業療法士協会と公益社団法人日本理学療法士会から、「作業療法士・理学療法士に関する現状」に関する資料の配布と説明が行われた。

説明においては作業療法士・理学療法士の養成校、人数、組織加入率、国家試験合格率などが報告された。

その中でも、作業療法士・理学療法士の業務に関する内容は興味深いものである(図1・図2)。

 ot図1 作業療法士の業務

 pt図2 理学療法士の疾患、障害、領域等からみた関わり

作用療法士の業務内容の対象は、「からだの障害」・「こころの障害」・「生活行為の障害」となっている。

理学療法士の業務内容の対象は、「脳血管疾患」・「運動器疾患」・「呼吸器疾患」・「脊髄損傷」・「心疾患」・「地域住民・虚弱高齢者」・「スポーツ」・「産業保健」・「特別支援学校」・「学校保健」となっている。

この図からは、作業療法士より理学療法士の方が、業務の対象範囲を広く捉えている。

理学療法士の人数が作業療法士より2倍近く多いことから、公益社団法人日本理学療法士協会の新しいマーケットの開拓への強い意識が感じられる。

しかし、産業保健、学校保健、特別支援学校などの領域は、理学療法士の業務として確立・成熟しておらず、サービス向上の余地はかなり残されている。

また、地域住民・虚弱高齢者への関わりは、今のところ行政が主体の「総合事業」が多く、民間企業によるサービスの発展も期待される。

作業療法士・理学療法士の過剰供給が懸念されている中、作業療法士・理学療法士の新たな活動の場を創出することは極めて重要である。

今後、作業療法士・理学療法士の価値を向上し、雇用を守っていくためには、一般社団法人作業療法士会や公益社団法人理学療法士会だけなく、現場で働く作業療法士、理学療法士が自らの市場を開拓していく努力が必要である。

既存の市場においても、まだまだ作業療法士・理学療法士が活躍できる場はあり、潜在市場に目を向ければさらに可能性はある。

その可能性を感じる最前線にいるのは現場の作業療法士・理学療法士である。

作業療法士・理学療法士のほとんどが公的保険を取り合う事業所で働いているため、保険外事業や新しいビジネスの創出には興味がないのが現状である。

しかし、新たな社会貢献やビジネスのヒントは最前線の現場にしかない。

今こそ、理学療法士・作業療法士は専門性を活かしたフロンティアスピリッツを持つべきである。

 

 

 

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の国家資格免許証は、「ただの紙切れ」であることを知らないセラピストの末路は悲惨である件

筆者は、仕事柄、全国の津々浦々の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士と出会う。

経営コンサルタントとして仕事をしていると、最初に偉そうな態度だったセラピストが、私が理学療法士とわかると、ころっと、態度が変わるということを度々経験する。

これと似た様な話として、以下のようなことも度々経験する。
医師には媚を売っているが、学生にはパワハラなセラピスト
介護士には上から目線で話すが、看護師には意見できないセラピスト
後輩の指導には偉そうに指導するが、目上の先輩とはディスカッションを避けるセラピスト

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士という「資格」に強く依存した生き方をすると、資格の上下関係に敏感になる。

医師は理学療法士より偉いから、意見を言わないでいよう
看護師より介護士のほうが、医療の知識が少ないから少し偉そうにしてみよう
学生は何も知らないから、俺の知識を教えてあげよう

こういった潜在意識を資格への依存度の高い理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、持っているのではないだろうか?

資格は資格である。

資格以上のものではない。

ある業務を行うためのパスポートであり、パスポートとしての「紙切れ」である。

そんな「紙切れ」に依存して仕事をしているセラピストは、「人としての価値向上」を意識することはない。

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理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の過剰供給からの大幅な賃金カット、有効求人倍率の低下、養成校の閉鎖、他資格との統合が、現実的なものとなった時に、「人としての価値向上」に取り組んでいないセラピストは、一気に凋落する。

「資格はただの紙切れ」であり、その人の価値を示すものではないことを自覚してるセラピストは、自分への価値にこだわる事ができる。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の人数が大幅に増え、資格としてのプレミアが低下していけば行くほど、「人としての価値」に市場が注目するようになる。

資格をもった人間の全員が、「仕事ができる人間」でないことは明確である。

「資格はただの紙切れ」であるという事実を認識することが、これからの時代でも生き残るための出発点となる。

重症患者・利用者向けのリハビリテーション技術の普及が必要な件

地域包括ケアシステムの中心をなす考え方は、「在宅シフト」である。

現在、急性期病床、回復期病床、療養病床のすべてから、患者の在宅シフトが進んでいる。

入院医療から在宅医療へのシフトは、軽症患者から重症患者まで含まれる。

従来なら入院医療で対応していた患者が、在宅医療を受けながら在宅で生活することが一般的になっている。

2015年度介護報酬改定においても、「中重度者」への在宅サービスの評価が行われた。

特に、在宅や施設における看取りは強く推進されており、死亡前4日以上30日以下の加算が80単位から144単位まで引き上げられており、在宅での終末期対応が強く求められている。

団塊ジュニアが死亡する2050年前後までは、医療の在宅シフトが加速し、重症患者が在宅で生活することが当たり前になる。

そのような状況においては、「ADLやIADLを改善するリハビリテーション」だけでな「全身状態や終末期QOLを改善させるリハビリテーション」が益々重要となってくる。

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しかし、現在の学校教育、臨床教育、卒後教育では「重症患者向けリハビリテーション技術」は十分に網羅されていない。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が持っている知識と経験をより、重症患者向けリハビリテーションサービスへ転換させていけば、リハビリテーション専門職の必要性も高まり、過剰供給も緩和される。

褥瘡・シーティング・認知症・呼吸循環・疼痛・可動域制限・誤嚥性肺炎・トランスファーなどまだまだ、セラピストには未開拓な分野がある。

未開拓な分野は、ピンチであり、チャンスである。

在宅シフトという市場の流れを十分に捉えた上で、セラピストは技術取得に臨む必要がある。

必要なリハビリテーション技術は医療機関・介護事業所ごとに違うのに、リハビリテーション技術に偏向的なセラピストが多い件

筋力強化練習・関節可動域練習・基本動作練習・応用的動作練習・感覚入力練習・物理療法などの標準的なリハビリテーション技術は、どのような分野でも求められる。

よって、セラピストはこれらの標準的なリハビリテーション技術を優先的に学び、技術取得を行わなければならない。

しかし、近年のリハビリテーション提供体制の変革により、リハビリテーション機能が分化しており、分化された分野では、求められるリハビリテーション技術がそれぞれ異なる。

それぞれの分野では先述した標準的なリハビリテーション技術に加え、下記のようなリハビリテーション技術が求められている。

急性期:早期離床・リスク管理・早期歩行・早期摂食嚥下
回復期:在宅復帰等の環境適応・住宅改修・装具療法・摂食嚥下・患者教育
生活期:(軽症):介護予防・引きこもり防止・活動と参加の促進
生活期(重症):トランスファー・認知症・終末期・褥瘡・栄養・呼吸

しかし、筆者が多くの医療機関や介護事業所をコンサルティングをしていると、勤めている医療機関や介護事業所の機能とは親和性の低いリハビリテーション技術を学んでいるセラピストが多いことに驚く。

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もちろん、セラピスト本人にも責任はあるが、組織によるリハビリテーション技術のマネジメントが行われていないことも問題である。

重症患者が多い訪問看護ステーションに勤務しているセラピストが、最新の急性期リハビリテーション技術を学んだとする。

しかし、現場では、摂食・嚥下、呼吸リハビリ、トランスファーなどの技術が求められている。

このような必要とされる技術と実際にセラピストが学んでいる技術のミスマッチは、よく散見される。

本来はマネジメントによりこのようなミスマッチが起こらないようにしなければならない。

また、セラピストは、自分の興味本位ではなく、自分が勤めている分野のマーケット本位で必要とされる技術を学ぶことが、キャリアを構築する上では重要である。

勤め先で必要とされる技術を磨けば、多くの患者や利用者のQOLが向上し、セラピストとしての評価も高まる。

また、事業所としても高いリハビリテーションを提供することができれば、周囲の評判が上がり、事業所の収益増化にも寄与する。

今の時代のセラピストは、リハビリテーション技術を学べる機会は多い。

インターネットを用いた学習やセミナーを受講する機会にかなり恵まれている。

しかし、そこに投資できる時間とお金は有限である。

したがって、冷静に、投資先を考え、学習に見合った効果を考えなければならない。

リハビリテーション技術に偏向的になっているセラピストは、大切な時間とお金を損失している可能性が高い。