PT・OT・STのキャリア~資格や学位の取得を通じて得た知識を何に役立てるのか~

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が他の資格や学位の取得を目指すことが一般的なことになっている。

特に理学療法士・作業療法士の過剰供給という話題が世間に出てからは、自身のキャリアアップのために資格や学位の取得を目指す人が急にふえている。

しかし、残念なことにその資格や学位を取得することがゴールになっており、取得後のキャリアプランが計画できていない人が圧倒的多数である。

特に、近年、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の大学院への進学が増加している。

学術的な研鑽を積み、理学療法・作業療法・言語聴覚療法の学位を取得することで、自身の専門性を高めることが目的と考えられる。

だが、修士や博士の学位を取得しただけで人生や仕事は変わらないのが現実である。

修士や博士と言うのは、一定の知識を持っていることを証明しているだけにすぎず、それを活かすも殺すもその人のキャリアプラン次第である。

修士や博士を取得しただけで、給料が上がる、昇進に優位になる、転職がしやすい、社会から注目されるというのはすべて幻想である。 7df36022a469e3b1c9cf83b310bbfd08_s それでは、どうすれば組織や社会から評価されるのだろうか?

資格や学位の取得を通じて獲得した知識を組織や社会の問題解決のために役立てる行動やその結果に対して、組織や社会は評価を与えるのである。

つまり、具体的な問題解決のために資格や学位は存在しているのである。

ましてや、1000を超える資格が日本にはある中で、複数の資格を持つ人自体も全く珍しい存在ではない。

解を恐れずに言えば、資格自体に価値はない時代に突入している。

経済環境や少子高齢化が進む日本では、具体的に問題を解決できる人材が評価される。

資格や学位を取得すれば、キャリアがアップする。

この考えは早急に捨てるほうが良い。

逆に言えば、資格や学位の取得などしなくても、組織や社会の課題を解決できる人物になれば組織や社会からの評価は得られる。

あなたは、何のために資格や学位を取得するのか?

今一度、考えて診てほしい。

執筆者
高木綾一 セミナー講師 株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術)(経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

起業という働き方 どういう事業をおこすか どう決める?

起業をする場合、まず悩むのはどのような事業を起こすのか?ということである。

事業内容を考える場合に、まず、最初に考えるべきことは「事業ドメイン」である。

日本語では、「事業の範囲」となる。

事業ドメインでは次の3つの内容について検討しなければならない。

提供をしたい人=顧客軸

何を提供したいか=機能軸

どうやって提供するか=製品・技術軸

簡単に言えば、誰に何をどうやって?

例えば、健康増進サービスにおける事業ドメインは次のようなものになる。

提供をしたい人=虚弱高齢者あるいは健康増進志向のある高齢者

何を提供したいか=運動、食事、ライフスタイルなどの指導や地域コミュニティーの紹介や仲介

どうやって提供するか=ご自宅に健康増進分野に長けたセラピストが訪問することやSNSを利用して提供する 事業ドメイン事業ドメインの概念図

事業ドメインを明確に定めることで、経営資源の非効率化や事業に関係の薄い分野への進出の抑止が可能となる。

事業ドメインが明確に定めることができなければ、本業が曖昧になる。

自社の経営資源や経営者の意識を本業に傾注させるために事業ドメインを定めることが重要である。

執筆者
高木綾一 セミナー講師 株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術)(経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

起業という働き方 圧倒的な強みーコアコンピタンスに拘れ

成功している起業家は、コアコンピタンスを持っていることが多い。

コアコンピタンスは他者をしのぐ圧倒的な強みのことである。

コアコンピタンスは次の条件を満たすものである。

模倣可能性
技術や特性が他者に簡単に真似できるものであるか?
模倣可能性が低いほうが、ライバルを少なくすることができるため大きな競争優位性を得ることができる。

移動可能性
一つの分野だけではなく、多くの分野に応用ができ、幅広く活用できるものか?
移動可能性が高いほど、汎用性があるになり市場が広がる。

代替可能性
その強みが簡単に他の方法で置き換える事の出来ない唯一無二の存在であるか?
代替可能性が高いほど、独占的なシェアを獲得することができる。

希少性
その技術や特性が珍しいものであり、希少価値が存在するか?
希少性が高ければ市場において圧倒的な競争優位性を持つことが可能である。

耐久性
その強みが長期に渡って競争優位性を維持する事が出来るかどうか?
耐久度が高いほど、長期間にわたり競争優位性を担保できる。 550543 例えば、リハビリテーションの分野では次のようなコアコンピタンスが考えられる。
動作分析と家屋評価に長けた理学療法士
糖尿病や心不全などの内科疾患とフットケアに長けた理学療法士

シーティングと嚥下に長けた言語聴覚士
ADL評価と福祉用具に長けた作業療法士

これらはコアコンピタンスのいくつかの要件を満たしている。

少なくとも
一日18単位がんばれます!
訪問リハビリ6件回ります!
整形外科が好きです!
などは、コアコンピタンスにはなりえない。

起業をする場合は、ぜひとも、コアコンピタンスに意識を向けてほしい。

執筆者
高木綾一 セミナー講師 株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術)(経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

 

不完全さと不確実性を喜んで受け入れることでキャリアは前進する

自分のキャリアや生き方の選択を決定できない人は多い。

できるだけ正しい決定を行いたい
リスクの低い道を進みたい
できるだけ多くの情報を得て決定したい
などを理由に、キャリアの選択を躊躇している人は多い。

しかし、この世の中には完全に合理的な意思決定などは存在しない。

世の中の全ての情報を集めることはできない。

また、集めた情報の客観性の担保も完全ではない。

さらに、情報自体も時間の経過とともに変質していく。

したがって、完全に合理的な意思決定などはこの世に存在しないし、意思決定とは一定に不完全さを含んでしまうものである。

だからこそ、不完全や不確実さを過剰に恐れるのではなく、むしろ、それを楽しむぐらいの気持ちが必要である。

もし、決定した事柄が、悪い方向に進んでいくのであれば、その決定を覆しても別に構わない。

すべての決定を完全な最終決定にする必要もない。

そもそも、人間は成功より失敗から学ぶことの方が多い。

成功の連続を望むと言うのは不可能である。

失敗をするから、成功があるのだ。

したがって、失敗をすることを喜ばなければならない。

キャリアの決断を先延ばしにすれば、失敗する権利も失うことになる。

失敗をしないのだから、成長するチャンスも失う。

キャリアの選択においては、完璧主義者にならない方が良いのは確実である。

執筆者 高木綾一 セミナー講師 株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術)(経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

3年前の自分は今の自分をどう評価するか?

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の資格取得が目標であった学生時代は、資格取得のために一生懸命勉強し、日々が充実していた。

しかし、資格を取って働きだすと仕事ができる喜びに溢れていたが、徐々に仕事がマンネリ化し、仕事内容にワクワクしなくなる・・・

こんな気持ちになっているセラピストは多いのではないだろうか?

資格を取得してしまえば、もう目標は達成されている。

そのため、働いてから目標を失っているセラピストは多い。

今の働き方や仕事内容に不満や不安をなんとなく感じている人は、次のように自分に問いかけてほしい。

change「三年前の自分は今の自分をどう評価するか?」

この答えに対して、肯定的な回答が導き出せない人は今すぐ、自分の働き方や仕事内容の変更を考えたほうが良い。

過去の自分が今の自分を認めないのは、主体的にキャリア・デザインを行っていない証拠である。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の働き方は大きく変わっている。

医療から介護への流れ
自助・互助サービスの拡大
質の高い教育やマネジメント
などの時代の大きな変化はセラピストにとってこの上ないチャンスである。

この大きなチャンスを傍観者として過ごすか否かはすべてはキャリア・デザインの実践のかかっている。

過去の自分と会話し、今の自分を突き動かす。

あなたの過去の自分は今の自分を認めてくれますか?

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
茂澤メディカルクリニック
たでいけ至福の園
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学 客員准教授