PT・OT・STは75歳まで今の働き方が可能か?

高齢化の進展が半端ない。

先進国で2000年以降に生まれた子供たちの半数以上が、105歳以上まで生き、 2060年の平均寿命が女性で90歳後半、男性で80歳後半である と予想されている。

特に、日本は救急医療とリハビリテーションが発達し、さらに、今後は健康増進分野の充実も図られていく。

そのため、長寿化は益々進むだろう。

しかし、厳しいことに年金の財源である社会保障費がひっ迫している。

そのため、生活費を維持するために多くの国民が高齢者になっても、仕事を続けなければならない状況となる。

2060年には70歳~80歳ぐらいまで働くことが常識になるだろう。

PT・OT・STの仕事は、肉体労働でもあり、感情労働でもある。

今現在、医療機関に勤めるセラピストは一日18単位の取得、訪問リハビリに勤めるセラピストは一日6件の訪問を標準化されていることが多い。 3cf1e0c9b2c432063e3c063ead201a9e_s しかし、冷静になって考えてほしい。

70歳以上でもその働き方できるだろうか?

体力的にも、感情的にもそのような働き方がいつまでできるのか?

現在のPT・OT・STのキャリアデザインは、20代から40代を対象にしているが、今後は高齢者PT・OT・STのキャリアデザインが大きな課題となる。

70歳以上になってもどのようにして働いていくのか?

別の視点で言い換えると、肉体労働や感情労働をしなくても仕事を継続していくスキルを若い頃から培っているか?と言える。

体を動かすこと・感情を抑制するスキルだけを養っていても、高齢者になった時にそのスキルは陳腐化していく。

よって、高齢者になっても社会や組織に貢献できるスキルを若いうちから考えなければならい。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

目の前の仕事を大切にできない人間は、見通しの良い未来を想像はできない

人生に明確な目標を設定して今を生きている人は全体の10%~20%ぐらいしかいない。

多くの人は、見通しの明るい未来を想像することが難しい。

職場の上司との面談では、部下に仕事や人生における目標を設定することことが多いが、目標を設定することは非常に難しい。

多くの人にとって目標設定は、非常にストレスあり、考えるだけでも混乱するような作業である。

また、一部の人は「頭のいい人や能力の高い人だけが目標を設定できるのであって、自分のような能力の低い人間は目標なんか設定できないです」と言う。

果たして、目標設定は頭のいい人、能力の高い人だけができるものなのだろうか?

答えは「No」である。

目標設定は、自身の価値観の先にしか生まれないのである。

したがって、価値観の明確化こそが目標設定において最重要である。 e269da681c340282ff5bbd7a932f5413_s 価値観を明確化させる方法として最も優れている方法は、実に簡単である。

目の前の仕事を一生懸命にすることである。

理学療法士、作業療法士、言語聴覚として一生懸命に働いていれば、「好きな仕事」にも、「嫌な仕事」にも出会うだろう。

好きな仕事、嫌いな仕事というのはあなたの価値観を反映しているものである。

価値観が明確になれば、その価値観の延長線上にある目標を設定すればよいだけである。

ただし、仕事一生懸命にしなければ、自分の価値観には気づけない。

理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 として目標を持てない人は、今の仕事に一生懸命に取り組んでほしい。

そうすれば、あなたの人生における目標が勝手にあなたに近づいてくる。

 

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
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リハビリテーション部門コンサルタント
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認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

PT・OT・STのキャリアデザインを阻害する「イラショナル・ビリーフ」

信念とは「それが正しいと堅く信じ込んでいる心」である。

アメリカの臨床心理学者のアルバート・エリスは、信念には論理的な信念と非論理的な信念があると述べている。

非論理的な信念は英語でイラショナル・ビリーフ((irrational belief)と言う。

イラショナル・ビリーフは、悲観的思考であり、その思考は物事の結果を悲観的に捉え、心理的な落ち込みを生むものである。

つまり、「心理的な落ち込みは、物事の結果がそうさせたのではなく、イラショナル・ビリーフがそうさせたものである」という考え方である。

例えば、次のような内容は一見合理的な信念と感じるが、実はイラショナル・ビリーフである。
1)嫌われてはいけない
2)できるだけ完璧に物事は仕上げないといけない
3)困難なことが起これば、立ち向かうより避けるほうが楽である
4)人から批判されたから自分はダメな人間である

イラショナル・ビリーフには
「ねばならない信念」例:人には好かれないといけない
「悲観的信念」例:〇〇が起こったから、もう〇〇は絶望的である
「非難・自己卑下信念」例:〇〇ということが起こったから、私はダメな人間なんだ 「欲求不満低耐性信念」例:〇〇をすることは耐えられない
という4種類存在する。 29e4249217ed0aca74e7e081b73ab9b4_s このようなイラショナルビリーフは、個人差はあれば誰でも持っている。

所謂、「思い込み」や「勘違い」が自身の考えを支配し、誤った行動を誘発していると言える。

例えば、「ある患者から治療に関するクレームを言われたから、自分はセラピストとしてダメな人間なんだ」と考えたとする。

しかし、これは明らかにイラショナル・ビリーフである。

ある患者からクレームを言われたということだけで、「セラピストとしてダメ」ということは論理的におかしい。

また、一度クレームを言われた程度で、自分のことを判断することも論理的ではない。

そして、そもそもクレームを言われない人などいないので、一度のクレームで自己否定をするのも論理的ではない。

イラショナルビリーフは人生や仕事を前進させにくい。

ぜひ、自身のイラショナルビリーフに気づいていただきたい。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
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理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

PT・OT・STの転職戦略~学び重視型転職か、価値提供型転職か~

一昔前に比べ、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の転職は全く珍しいことではなくなった。

30代半ばまでに複数の職場を経験している人も少なくはない。

転職が一般的なことになっているのは
一つのところで働き続けるという価値観がなくなった
転職を斡旋するエージェント会社が多数存在している
SNSなどで他人の転職事情を知り転職に感化される機会が多い
などが原因と考えられる

ほとんどの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が転職する際に拘ってる事柄は「今の職場の給与より高い職場への転職」である。

簡単に言えば、給与を上げるために転職を考えるということである。

しかし、給与を上げることだけを目的に転職先を選んだ人がその後転職先職場でパフォーマンスが下がり、結局、退職するという事例を散見する。

実は転職には二種類の転職がある。

学び重視型転職
転職先職場から多くの知識や経験を学ぶことができ、自分自身のスキルアップが実現できる転職である。
この場合、学ぶことが主な目的であるため転職先組織に対する貢献には時間がかかるため高い給与をもらうことは難しい。

価値創出型転職
自分自身の知識や経験を転職先組織に提供し、その組織のサービスや売上げ向上に寄与する転職である。
この場合、転職先組織に対する価値提供ができるため給与に関して交渉する事も可能であり、高い給与をもらえる可能性が高い。

つまり、現状より高い給与をもらうためには価値創出型転職でなければ難しいのだ。

価値を提供できずに高い給与をもらうことになれば、当然、職場での評価は低くなり様々な面での処遇が厳しくなる。

給与を上げるために転職を行うことにはリスクがあることを認識するべきである。

転職を考えている人は自分がどちらの転職をしようとしているのかを冷静に考えてほしい。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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関西医療大学保健医療学部 客員准教授

セラピストの働き方のヒント ソーシャルワーク

ソーシャルワークとは 「生活をする上で何らかの困難を抱えている人の多様なニーズを把握して、社会資源を活用し、援助する専門的な対人援助技術」 である。

ソーシャルワークの対象は、ミクロ・メゾ・マクロに分かれる。

ミクロ・ソーシャルワーク
個人面接を通して、課題やニーズを把握し、適切なサービスを調整し、提供する。
主な手法は面接となる。
面接を通じて、課題とニーズをとらえ、利用者が自分自身の課題を明確に把握し、課題解決に向けて自己決定できるように支援していく。
受容的・非審判的な態度・秘密保持・人権尊重・援助計画作成能力が求められる。
例:カウンセリング・面談・個別リハビリテーション

メゾ・ソーシャルワーク
集団や組織の構成メンバーに対して支援を提供する。 メンバー同士が相互関係を発展させ、課題解決に向けて支援する。
集団への強制をなくすために、「離脱できる自由の保障」が重要である。
他のメンバーと接することで、自分を客観的に見るようになり、自身の問題に気づくことや他者への共感により孤立状態から脱却できる。
また、集団にいると役割や多様な交流が発生し、社会の一員としての活性化につながる。
例:通所介護・通所リハビリ・患者の会・地域グループ

マクロ・ソーシャルワーク
地域社会を対象として、生活をするうえで困難を抱えている人の背景にある社会問題に着目し、個人を支援していく。
社会に対するサービス供給側の課題も考え、地域社会全体に働き掛けていくことになる。
例:NPO・社会福祉協議会・行政・一般社団法人・株式会社 193119 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の職域拡大やキャリアデザインを考えるうえでも、ソーシャルワークの視点は有用である。

自身の持っている知識や経験をどのような場で提供し、社会の役に立てていくのか?

そして、どのようにして収入を得ていくのか?

これらについて、ソーシャルワークのモデルを用いて、考えるとヒントが得られるかもしれない。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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