PT・OT・STが知っておきたいサービス担当者会議の基礎知識

居宅サービス計画書は、保健、医療、福祉などの分野の専門職が導き出した方針に基づいて作成しなければならない。

そのため、介護支援専門員は、サービス担当者会議を開催する必要がある。

会議の参加者は
利用者
家族
医師
看護師
ホームヘルパー
理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
介護支援専門員
である。

各専門職から意見を求め、居宅サービス計画書の原案作成の材料とする。

サービス担当者会議を開催するタイミングは
居宅サービス計画書の新規作成時
居宅サービス計画書の内容変更時

利用者の要介護認定の更新や変更時 である。

サービス担当者会議では、利用者や家族の個人情報を用いる場合は、利用者、家族それぞれから、情報開示の同意を得ておく必要がある。

サービス担当者会議では各事業者によるサービスの実施日や時間帯まで検討することになるため、参加者はサービスの提供可能な日時などを把握しておく必要もある。

サービス担当者会議で話された記録文書は、帳票として介護支援専門員は管理・保管しなければならない(下図)。 zu4

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
茂澤メディカルクリニック
たでいけ至福の園
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学 客員准教授

現場でよく聞かれる医療行為との線引き

在宅シフトの影響で、中重症患者が在宅で療養することが多くなっている。

そのため、訪問介護における身体介護への需要が高まっている。

身体介護とは
1.利用者の身体に直接接触して行う介助サービス
2.利用者のADLや意欲向上のために利用者とともに行う自立支援のサービス
3.専門的知識・技術をもって行う利用者の日常生活上・社会生活上のサービス
である。

この身体介護において、よく取り上げられるのは「医療行為との線引き」である。

身体介護では、医療行為はしてはいけない。

したがって、どこまで医療行為であるかの認識を、介護士、看護師、セラピスト、家族、患者は知っておく必要がある。

以下に、原則として医療行為ではないものを記載する。

1.水銀体温計・電子体温計による腋下の体温測定、耳式電子体温計による外耳道での体温測定

2.自動血圧測定器による血圧測定

3.新生児以外で入院治療の不要な者へのパルスオキシメータ装着

4.軽微な切り傷、擦り傷、やけど等について専門的な判断や技術を必要としない処置(汚物で汚れたガーゼの交換を含む)

5.軟膏の塗布(褥瘡の処置を除く)

6.湿布の貼付

7.点眼薬の点眼

8.一包化された内服薬内服(舌下錠の使用も含む)

9.座薬の挿入

10.鼻腔粘膜への薬剤噴射の介助 4b3bfe17a507fa116303ef69b178d844_s なお、介護福祉士や介護職員は一定の研修を受ければ、一定の条件下で痰の吸引や経管栄養の行為が可能である。

一定の研修とは、以下のものとなっており、様々な関連団体が開催している。

第1号研修・第2号研修(不特定の者対象の研修)
複数の利用者に喀痰吸引等を実施する場合に要する研修

第3号研修(特定の者対象の研修)
在宅の重度障害者に対する喀痰吸引等のように、個別性の高い特定の対象者に対して特定の介護職員が喀痰吸引等を実施する場合に要する研修

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
茂澤メディカルクリニック
たでいけ至福の園
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学 客員准教授

今後の診療報酬改定・介護報酬改定に関するトレンドを箇条書きにした

2020年度診療報酬改定、2021年度介護報酬改定におけるトレンドや今後のヘルスケアビジネスの方向性を箇条書きにしました。

  • 急性期病棟  在宅(自宅)への移行率
    入退院支援加算・退院前訪問指導料・退院時共同指導料など急性期病院と在宅サービスの連携を強化する動きにより急性期から在宅(自宅)への復帰が推進される
  • 回復期リハビリ病棟 包括化&在宅支援
    7単位以上のレセプト請求が返戻・査定されていることやFIM実績指数を満たさないことによる単位数の包括化の流れから今後、回復リハビリ病棟そのものの包括化が検討される。
  • 老人保健施設 超強化型を超える施設基準
    現在、5類型の老人保健施設の下位レベルである「その他」「基本型」が廃止され在宅復帰が標準化される可能性が高い。
  • 疾患別リハビリ  施設基準に応じた算定基準日数
    リハビリテーション医療費の削減策として、脳血管及び運動器リハビリの算定制限が検討される。例:施設基準に応じた算定日数の設定・外来リハアウトカムの検討
  • 通所リハビリ  在宅回復期に応じた報酬&利用日数
    リハマネ加算Ⅱ以上や社会参加支援加算の算定内容に応じたアウトカム評価や短期集中リハビリの新類型などが検討され、通所リハビリの在宅回復期としての役割が期待される
  • 訪問看護  重度化対応の評価推進
    理学療法士等の訪問を中心とする事業所へのペナルティー(加算不可等)が生じ、訪問看護の重度化路線が強化される。
    一方、機能強化型訪問看護は条件緩和され、重度化への取り組みを促す。
  • 通所介護  ADL改善&栄養改善&重度化対応
    要介護者の最後の砦としての機能が期待される。具体的にはADLと栄養状態を維持向上させ、特別養護老人ホーム等への入所を抑制することが期待される。
    重度者対応型の通所介護が評価される傾向が強くなり、リハビリ特化型通所介護は斜陽となるため、経営上の対応が必要となる。
  • 外来リハビリ  外来リハアウトカム
    入院医療だけにアウトカムがあることが不公平であるとの意見があり、外来リハのアウトカムが検討されているが実施をするのは限定的になる可能性が高い。
  • 公的災害保険  地震・台風等の甚大な災害時の保険
    災害が多い日本において被災後の生活支援のために医療的・社会的リハビリテーションが必要であり、今後公的災害保険が検討される可能性がある。
  • 混合介護  介護保険サービス時に他のサービス実施
    介護保険サービス中に介護保険外サービスを提供することが解禁される可能性がある。東京都豊島区における混合介護モデル事業も大きな問題ないと言われている。ただし、混合サービスの導入においては介護支援専門員のマネジメントが必要とされる可能性が高い。
  • 保険外リハビリ  完全自費のリハビリテーションサービス
    地域包括ケアシステムでは、民間のサービスの活用も促しておりリハビリテーションも例外ではない。健康増進、疾患予防という観点では自費サービスは法律上問題ないため、今後も自費リハビリテーション市場は拡大していく。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

2019年12月16日付介護保険制度の見直しに関する意見(素案)について 今後の介護サービス基盤の整備

介護保険制度の見直しに関する意見(素案)の「今後の介護サービス基盤の整備」を見てみよう。

上段 文書中の文書
下段 高木綾一の分析・解釈

認知症など利用者の状態に応じてそれぞれの役割や機能を果たしながら、また、関係サービスとの連携を強化しながら取り組むことが必要である
⇒特別養護老人ホームの入所条件 要介護度3以上のように、今後は各施設により明確な入所条件が設定される可能性が示唆される。特に老人保健施設は混在した利用者が同一施設で生活をしていることからサービスの分散化があるため、入居対象者の選定が検討される可能性がある。

介護サービス基盤整備については、地域特性を踏まえながら適切に進めていくことが必要である。地方部では人口減少も見据えた効率的な施設・サービス整備が必要である。既存施設の活用が重要であり・・職員の兼務等の在り方について検討が必要である。
⇒地方での施設系は新規設立は許認可が下りることは難しくなる。介護報酬上の人員配置要件も都市部と地方部では異なり、地方特有の介護報酬体系が設定される可能性が高い。

「介護離職ゼロ」に向けて、介護施設の整備を進めるとともに、在宅支援サービスの充実を図り、在宅限界を高めていくことが必要である。
⇒日本国内における労働力不足が今後懸念される。労働力不足の原因として介護離職がある。そのため、在宅支援サービスの拡充を図る。その代表例が小規模多機能型居宅介護や老人保健施設などの活用である。地域の中で利用者がタイミングよく使用できる介護サービスの構築が在宅限界を高めるからである。ショートステイ、お泊りと通いの組み合わせ使用などの規制緩和が検討されると思われる。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
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認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
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修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

2019年12月16日付介護保険制度の見直しに関する意見(素案)について 介護予防について

介護保険制度の見直しに関する意見(素案)の「介護予防・健康づくりの推進」を見てみよう。

上段 文書中の文書
下段 高木綾一の分析・解釈

機能回復訓練などの高齢者本人へのアプローチではなく、地域づくりなどの本人を取り巻く環境へのアプローチを含めたバランスの取れた取り組みを行うため総合事業の中に「一般介護予防事業」が創設された。
→国は高齢者の活動・参加を促す環境整備に対して問題意識を高く持っている。今後、要支援・要介護者ではなく地域住民全体が集う場所が推進されていく可能性が高い。

「全世代型社会保障」を実現していくためには、高齢者をはじめとする意欲のある方々が社会で役割を持って活躍できるよう、多様な就労・社会参加ができる環境整備を進める ことが 必要 である
→労働力低下を補填するために高齢者の労働を推奨している。定年は延長され、就労そのものが参加としての位置づけになってくる。そのためには、疾患予防や廃用症候群の予防が極めて重要であることから理学療法士・作業療法士・言語聴覚士には予防領域での活躍のフィールドが広がっていくことが示唆される。

以上のように、介護予防は新しいステージに移行している。

一般高齢者の健康増進および就労支援のための疾病予防へに理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のシフトが求められるようになる。

2019年12月16日社会保障審議介護保険部会(第 88 回)の資料

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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