地域包括ケア病棟のインパクト

2014年度診療報酬改定にて、突如、地域包括ケア病棟が誕生した。

急性期からの受け入れ・在宅からの受け入れ・在宅復帰要件の設定など、今までにない要件が複数設定されている。

他の病棟と比較して、地域包括ケア病棟にはレベルの高い医師、看護師、セラピスト、ソーシャルワーカー等の配置と在宅復帰を円滑にするシステムの運用が求められる。

地域包括ケア病棟では、リハビリテーション医療が包括料金になった。

よって、リハビリテーションサービスは部分最適だけでなく、チーム医療という全体最適の元に提供され、その上で在宅復帰という結果が求められる。

回復期リハビリテーション病棟のように、最大9単位のリハビリテーションが提供できないため、適切なアセスメントの上、提供するリハビリテーション単位を決めなければならない。

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地域包括ケア病棟が、回復期リハビリテーション病棟より高いアウトカムが出すことになればリハビリテーション医療の包括化が進むだろう。

そして、リハビリテーション医療の包括化は、医療保険におけるセラピストの余剰を生み、介護保険へ一気にセラピストが流れる。

地域包括ケア病棟が与えたインパクトは、組織マネジメントやセラピストの雇用情勢まで影響を与えている。

 

もしも、訪問リハビリステーションができたら・・・。

訪問リハビリステーションの実現化が期待されているが、最近の国政では大きな話題になっていない。

現在、復興特区にて単独型訪問リハビリテーション事業所の活動が行われているが、正式に法制化されるかどうかは全くの未知数である。

現状は訪問看護ステーションから、訪問リハビリテーションを提供しているケースが多い。

そのような状況で、訪問リハビリステーションが独立事業所となることの理由がどこまであるかを考えねばならない。

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療法士が単独で開業できることは、職能を守ることや専門性を高める意味では有効である。

一方で地域包括ケアシステムが熟成していくなかで、療法士と看護師そしてケアマネージャーとの連携は重要となっている。

訪問リハビリステーションが出来た場合、訪問看護ステーションとは分離されるため、どうしても縦割り組織間の連携となってしまう。

同一事業所に看護師も療法士も介護士も働いているほうが、ケアマネージャー等の外部の関係者も連携がしやすい側面がある。

どのような制度にも欠点と利点が存在する。

しかし、一つだけ言えることは、どのような制度になろうとも全体最適の視点を忘れてはならない。