リハビリテーション業界のパンドラの箱が解放されている

リハビリテーション業界には、タブーが満載である。

タブーは、リハビリテーション業界や関連する業界の秩序を維持してきたものであり、様々なタブーは既得権益で保護されてきた。

しかし、社会保障費の圧縮、セラピストの過剰供給、各団体の政治力の変化など世の中が大きく変わってしまいタブーについて言及せざる得ない社会になっている。

リハビリテーション特化型デイサービスはただの筋力トレーニング施設ではないの?

看護部長よりリハビリテーション部長はなぜ権限がないの?

理学療法士の資格を取ったけど、別の業界に就職することはいけないの?

なぜ、特定の手技が全てだという風潮があるの?

訪問看護ステーションなのになんでセラピストが訪問業務に出ているの?

通所リハビリ・訪問リハビリ・老人保健施設は医療法人のサイドビジネスですよね?

回復期リハビリテーション病棟の単位数はセラピストの暇さに応じて決定しているよね?

地域包括ケア病棟って、結局、整形外科リハビリテーション病棟だよね?

介護福祉士が夜勤を月2回程度したら、セラピストの給与より高いよね?

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の資格って分ける必要があるの?

今までタブーだったことが様々な団体や有識者より発言されるようになっている。

これは、硬直化した現状に対して、創造的破壊を行うことで現状を打開する試みである。

しかし、タブーをタブー視してる以上、現状は何も変わらない。

タブーについて触れることを恐れる人はイノベーターにはなることはできず、永遠に時代の傍観者である。

パンドラの箱をあなたは開けることがでいるか?

それとも、箱を閉じることを望むか?

これからの時代のセラピストの大きな選択肢になる。

あなたはどっちですか?

 

 

2018年度診療報酬改定 看護職・セラピストの資格アドバンテージが薄れる病棟機能評価

2018年度診療報酬改定の大きな目玉の一つが病棟機能の評価軸が変更されたことである。

長年、病棟機能は従来より看護職員配置で評価されてきた。

7:1、10:1、13:1、15:1の配置基準によって、病棟の優劣が決められていたと言っても良い。

しかし、看護職員配置の評価にメスが入った。

2018年度診療報酬改定では、急性期病棟は10:1、回復期リハや地域包括ケア病棟では13:1、医療療養病棟では20:1を看護職員配置基準を基本し、基本報酬以上の評価は病棟機能を示すアウトカムで決定することとなった(下図)。

 

アウトカム要件としては次の通りである。

急性期病棟は重症度・看護必要度割合
回復期病棟はFIM利得
地域包括ケア病棟は在宅患者受け入れ率
医療療養病棟は医療区分2・3比率

人員配置よりアウトカム評価を評価するということは、そこで働く人の能力を評価すると言うことである。

重症患者が診れる
在宅から患者を受け入れる
FIM利得を向上させる
を実現するために卓越した医療技術とマネジメントが必要である。

言い換えると、資格を持っていますというアドバンテージが陳腐化していると言える。

資格の価値は低下し、能力の価値が評価される時代に移行している。

2000年当初からどれだけ医師、看護師、セラピストを集めるか?ということが医療経営の課題であったが、今後は、どれだけ優秀な医師、看護師、セラピストを採用し、どれだけ質の高い教育を行うことができるか?が最重要課題になる。

資格を振りかざしている医療従事者が淘汰される日は確実に近づいている。

 

 

 

リハビリテーションのカタチは無数である~製品・製品戦略とは何か~

日本にリハビリテーションが生まれて50年が経過した。

2025年問題が顕在化する今、様々な形でリハビリテーションが注目されている。

リハビリテーションとは、手足を動かしたり、歩行やトイレの練習をすることではない。

一言でいえば、全人間的復権に資することが全てリハビリテーションになるが、マーケティングの視点で考えてみるとリハビリテーションのカタチが見えてくる。

マーケティングの大家であるP・コトラーは製品は10種類存在すると述べている。

10種類の製品
有形財
サービス
経験
イベント

場所
資産
組織
情報
アイデア

つまり、製品と言うと有形財のみを想像するが、マーケティングでは製品のカタチは様々なモノやコトと捉える。

理学療法・作業療法・言語聴覚療法はサービスとして提供することが多いので、リハビリテーションはサービスであると捉えがちであるが、自主トレーニングの機器、脳卒中患者の集い、リハビリテーションに関する情報を発信しているWebサイト、地域リハビリテーションを推進する組織などは全て、リハビリテーションに関する製品と言える。

しかし、現在、働いている理学療法士、作業療法士、言語聴覚士はサービスを提供するための教育しか受けていないと言っても過言ではない。

2025年問題はリハビリテーションの様々なカタチが求められる時代になっており、その市場規模も大きくなっている。

無論、理学療法・作業療法・言語聴覚療法のサービスが一定水準以上できることは有資格者として義務である。

だが、一方でサービスのみを提供していても2025年問題の解決は難しいのも実情である。

今後リハビリテーションに求められるものは「サービス・ミックス」である。

「サービス・ミックス」とは形のある製品と形のないサービスが様々な形で融合し、顧客に対する価値を発生させることである。

理学療法サービスとWebサイトからの自主トレに関する情報発信を混ぜ合わせて行うのは「サービス・ミックス」の代表例である。

「サービス・ミックス」を行うことで、顧客満足度はより高まり、また、価格設定も上乗せしやすくなる。

これは利用者もセラピストの双方の利益に寄与する。

理学療法・作業療法・言語聴覚療法を最低水準できるようになったら、次は新しいリハビリテーションのカタチに挑戦してみてはいかがだろうか?

 

 

良いものが売れるのではなく、売れたものが良いものであるを理解できないセラピストはキャリアップ地獄に陥る

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がキャリアップを行う環境は、ひと昔前と比較すると遥かに充実している。

セラピスト向けの大学院
各協会や団体が行っている認定資格
様々な技術が学べるセミナー
など、キャリアップを図るための環境は非常に充実している。

そのため、「非常に熱心に知識や技術の研鑽をしているセラピスト」が増えている。

話せば知識は多いし、提供できる治療手技も多い。

しかし、非常に熱心なセラピストが世の中から支持されないという現実がある。

知識が豊富で
技術も長けて
自己研鑽に非情に熱心でも
市場から評価されない。

なぜか?

それは、「いくら商品が良くても売れるとは限らない」というマーケティングの常識で説明が出来る。

いくら良い商品であっても、きちんと売る努力をしないと売れないということを多くのセラピストは知らない。

売るための工夫のないセラピストが社会で評価されることはまずない。

売るための工夫とは
顧客ターゲットの選定
値決め
広告宣伝
売買の場所
などを整合性を保ちながらきめ細かく決定していくことだ。

若者を対象に安い牛丼を売りたい場合、若者の少ない地域での出店やおしゃれな雰囲気の店はうまくいかないだろう。

要するに、セラピストが売りたい知識や技術があったとしても、ターゲットとする人がそれを購入できるような仕組みをつくらなければならい。

これだけ知識があるのに売れないのはなぜだ?
これだけ技術あるのに誰も評価しないのはなぜだ?
と不満を言っているセラピストがいるがこれは勘違いも甚だしい。

いいモノを提供するのは当たり前である。

重要なのは、その「いいモノ」を評価してくれる段階まで顧客を誘導することだ。

理学療法・作業療法・言語聴覚療法がうまくできることと、マーケティングがうまくできることは全くの別物である。

これからの時代は、マーケティングの実践が成功の分水嶺である。

良いものが売れるのではなく!

売れたものが良いものである!

だから、売れる方法を学ぶ。

 

院長や経営者が会社のことなんかわかるはずがない。
会社を変えることが出来るのは中間管理職である。

筆者が全国でコンサルティング事業・セミナー講師をなどを行っていると次のような質問(愚痴?)を受けることがある。

うちの院長は会社のことなんか何も知りません
うちの経営者は現場のこと理解せずにどんどん指示を出してきます
経営者は現場の仕事を知らないくせに、偉そうにしてます
など、など・・・・

大変、生産性の低い質問と思いながら私は毎回同じ事を答えている。

実は、この質問(愚痴?)に対する答えは明瞭である。

「院長や経営者が会社のことをわかっていないのは、当然じゃないですか。特に現場業務なんかわかるわけないですよ。全ての現場を経験している訳でもないし、院長や経営者にのご自身のしなければならない別の現場があるのですから」

院長や経営者が会社こと、現場のことを知らないのは当たり前である。

例えば、中小病院で介護事業も行っている院長を想像してみよう。

週3日程度、外来を担当し、午後からは経営会議や銀行や業者との折衝をし、さらに、夜は医師会の集まりに行っている院長がどうやって、各病棟の状況や各介護事業の現場の状況を知ることができるのか?

また、介護事業所の経営者は異業種の事業をしていることや、自身が介護支援専門員だったりと自分自身も忙しい。

そんな人が現場のことを知っている訳がない。

だからこそ、組織には中間管理職が配置されているのである。

院長や経営者は、中間管理職からの情報でしか現場の状況を確認することが出来ない。

言い換えれば、「中間管理職がどれだけ有用な情報を上げて、院長や経営者の意思決定や行動に影響を与えることができる」かが、組織運営にとって重要である。

したがって、院長が現場のことを知らない、経営者は何も知らないと言って批判している人は、院長や経営者とのコミュニケーションが不十分であり、また、自分が院長や経営者を操れる立場にいることを認識していないと言える。

また、院長や経営者は会社経営を辞めたとしても生活に困らない人が多い。

他の事業を持っていたり、資産を持っていたりする。

しかし、会社で勤めている社員はその会社が倒産すれば、困るのは自分たちである。

だからこそ、中間管理職は現場の状況を経営者に伝え、論理的な対策について語る必要がある。

中間管理職のあなたは院長や経営者に有用な情報を日々上げていますか?