人生における有限の資源があなたのキャリアを大きく支配する

筆者はキャリアカウンセリングを生業の一つとしている。

最近、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師の方からのキャリアカウンセリングの依頼が多い。

それだけ、仕事や人生に迷っている人が多いということだろう。

悩みの種類はいろいろであるが、仕事や人生に深く悩んでいる人には共通点が認められる。

それは、有限の資源が少ないことである。

人がどれほどの有限の資源をもっているかどうか?で人生は大きく決定をされると言っても過言ではない。

有限の資源とは
物的資源・・お金・機械
人的能力資源・・身体機能・知的能力・経験・知識・性格
人的関係資源・・人脈・名声・社会的信用
情報資源・・書籍・新聞・インターネット
などである。

これらの資源を多く持てば持つほど、人生における選択肢が増え、選択肢が狭い中で人生に苦境する可能性は少なくなる。

よって、常に自身の資源を総点検することが重要である。

資源が少なければ、その資源が増えるように努力をすることが重要である。

人間は他の動物と違って、自分自身の有限の資源を増やす能力がある。

つまり、努力次第で有限の資源を確保することができるのだ。

有限の資源を作る努力をせずに、仕事がほしい、好きなことがしたいと言っている人は、永遠にその希望はかなわない。

あなたは自分自身の有限の資源がどれほどあるか?を認識しているだろうか。

有限の資源の総点検をすることをお薦めしたい。

販売活動とマーケティングの違いがわからない介護保険事業所は潰れる

2018年度介護報酬改定が明らかになったが、あらゆる事業において軒並み基本報酬は低下している。

基本報酬分を補うためには加算の算定が推奨されているが、加算の算定より遥かに大きな課題が介護事業所には存在する。

それは、競合が増えているため、利用顧客が増えないということである。

利用顧客が増えなければ、事業所の収益は全く増えず、倒産と言う深刻な事態を迎える。

利用顧客を増やすためには、マーケティングが必要であるが多くの介護事業所はマーケティングを単なる販売活動と勘違いしている。

「より沢山売る」ことを考えてしまう経営者が圧倒的に多いため、マーケティングとは「販売活動」であるとという考えが広がっている。

しかし、販売はすでに出来上がったものを売り込む活動であるため、その商品を買ってくれる人は限定的な人である。

より多くの利用顧客に満足してもらい、それによって会社の収益を向上させるためには「売る」という発想ではなく、「売れる」仕組みを作る視点が重要だ。

そのためには、
市場調査
製品やサービス開発
価格設定
流通方法
販売促進
などを一貫して考えることが重要である。

例えば、良いサービスはしているがホームページがみすぼらしいため、事業所の良さが伝わらない、逆にホームページは立派だがスタッフの能力が低く、ホームページの内容が虚偽であるなどはマーケティングができないないと言える。

これまでの介護事業所がやっていることは、介護支援専門員や医療機関への営業行為やチラシの配布が多いが、これらはただの販売促進であり、もはやギャンブルに近い行為である。

あなたの介護事業所はマーケティング活動を一貫して行い、狙った利用顧客を獲得できているか?

それが出来ていなければ、基本報酬が下がる今後の介護分野での生き残りは極めて厳しいと考えるべきである。

 

自分の名前で仕事をできますか?

リハビリテーション専門職の就業の流動性がどんどん高まっている。

回復期リハビリテーション病棟の単位数削減

地域包括ケア病棟のリハビリテーションの包括化

在宅リハビリテーションの推進

都心部ではリハビリテーション職の過剰供給

これらの問題により、以前と比較すると転職の機会がセラピストに増えており、生涯の転職が3回以上が当たり前になる時代になっている。

転職すると言うことは、自分が背負っていた勤め先の看板を入れ替えることである。

多くの人は、勤め先の看板でご飯を食べている。

セラピストが自身のマーケティングを通じて患者や利用者を増やすことはない。

医師や介護支援専門員からの依頼で仕事をいただいているだけである。

したがって、勤め先の看板がなければ仕事を成立しにくいと言っても過言ではない。

勤め先を変わると言うことは、勤め先の看板に甘えることにもなる。

しかし、それでは勤め先が支払える給与以上の対価を得ることは不可能に近い。

勤め先の看板を入れ替える機会が多いこれからの時代では、自分自身の名前でご飯が食べられるか?という視点が必要である。

みなさんも有名な理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を思い出してほしい。

その人の所属先でそのセラピストの能力を判断していることはないだろう。

その人の名前でその人の価値を想像しているだろう。

自分の名前で、相手に何を想像させることができるか?

あなたの名前は何を語ることができますか?

リハビリテーション業界のパンドラの箱が解放されている

リハビリテーション業界には、タブーが満載である。

タブーは、リハビリテーション業界や関連する業界の秩序を維持してきたものであり、様々なタブーは既得権益で保護されてきた。

しかし、社会保障費の圧縮、セラピストの過剰供給、各団体の政治力の変化など世の中が大きく変わってしまいタブーについて言及せざる得ない社会になっている。

リハビリテーション特化型デイサービスはただの筋力トレーニング施設ではないの?

看護部長よりリハビリテーション部長はなぜ権限がないの?

理学療法士の資格を取ったけど、別の業界に就職することはいけないの?

なぜ、特定の手技が全てだという風潮があるの?

訪問看護ステーションなのになんでセラピストが訪問業務に出ているの?

通所リハビリ・訪問リハビリ・老人保健施設は医療法人のサイドビジネスですよね?

回復期リハビリテーション病棟の単位数はセラピストの暇さに応じて決定しているよね?

地域包括ケア病棟って、結局、整形外科リハビリテーション病棟だよね?

介護福祉士が夜勤を月2回程度したら、セラピストの給与より高いよね?

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の資格って分ける必要があるの?

今までタブーだったことが様々な団体や有識者より発言されるようになっている。

これは、硬直化した現状に対して、創造的破壊を行うことで現状を打開する試みである。

しかし、タブーをタブー視してる以上、現状は何も変わらない。

タブーについて触れることを恐れる人はイノベーターにはなることはできず、永遠に時代の傍観者である。

パンドラの箱をあなたは開けることがでいるか?

それとも、箱を閉じることを望むか?

これからの時代のセラピストの大きな選択肢になる。

あなたはどっちですか?

 

 

2018年度診療報酬改定 看護職・セラピストの資格アドバンテージが薄れる病棟機能評価

2018年度診療報酬改定の大きな目玉の一つが病棟機能の評価軸が変更されたことである。

長年、病棟機能は従来より看護職員配置で評価されてきた。

7:1、10:1、13:1、15:1の配置基準によって、病棟の優劣が決められていたと言っても良い。

しかし、看護職員配置の評価にメスが入った。

2018年度診療報酬改定では、急性期病棟は10:1、回復期リハや地域包括ケア病棟では13:1、医療療養病棟では20:1を看護職員配置基準を基本し、基本報酬以上の評価は病棟機能を示すアウトカムで決定することとなった(下図)。

 

アウトカム要件としては次の通りである。

急性期病棟は重症度・看護必要度割合
回復期病棟はFIM利得
地域包括ケア病棟は在宅患者受け入れ率
医療療養病棟は医療区分2・3比率

人員配置よりアウトカム評価を評価するということは、そこで働く人の能力を評価すると言うことである。

重症患者が診れる
在宅から患者を受け入れる
FIM利得を向上させる
を実現するために卓越した医療技術とマネジメントが必要である。

言い換えると、資格を持っていますというアドバンテージが陳腐化していると言える。

資格の価値は低下し、能力の価値が評価される時代に移行している。

2000年当初からどれだけ医師、看護師、セラピストを集めるか?ということが医療経営の課題であったが、今後は、どれだけ優秀な医師、看護師、セラピストを採用し、どれだけ質の高い教育を行うことができるか?が最重要課題になる。

資格を振りかざしている医療従事者が淘汰される日は確実に近づいている。