評価はできるが治療はできない頭でっかちセラピスト

「理学療法・作業療法・言語聴覚療法では評価が重要だから、評価で問題点を特定出来たら治療手技は何でもいいよ」というセラピストがいる。

評価が重要なことには異論はない。

評価が適切に行わなければ、機能障害は同定できない。

したがって、評価は重要であることは間違いない。

しかし、「治療手技はなんでもいいよ」という発言は治療手技を軽視している。

治療手技が展開できなければ、評価で抽出した機能障害にアプローチできないため、理学療法・作業療法・言語聴覚療法は失敗したことになる。

したがって、治療手技の展開は評価と同様に重要であり、評価と治療手技の間に優劣はない。

時折、高らかに評価結果から機能障害を抽出したことを語るセラピストがいるが、そのセラピストの治療を見ると全くうまくできていないことがある(下図)。


(無断転載禁止)

 

評価は一流・治療は二流ではなく、評価と治療も一流でなければセラピストとして自立しているとは言えない。

したがって、評価技術と治療技術の両方を高度なレベルまで向上させるなければならない。

そのため、施設内、施設外のおける研修会では、評価技術と治療技術の両方をバランスよく受講することが必要である。

また、セラピストは評価技術と治療技術をバランスよく取得しているかどうか?を常に棚下す必要がある。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
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認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

イラスト提供
福山真樹

理学療法士×イラストレーター
医療・介護等の現場を、医療職種の胸の内まで分かりやすくイラストで伝える。
臨床で勤務する理学療法士だからこそ描ける作品を医療関係者等へ提供し、書籍・学会・福祉機器紹介PV等、様々な場面で用いられている。
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家屋評価というリハビリテーション技術が注目される理由

通所リハビリテーション・通所介護では数か月に一回の在宅訪問の評価が一部で義務づけられている。

介護保険は在宅生活を支援することが趣旨であること考えると、当然、家屋の状況を把握しなければならない。

家屋評価を通じて生活空間の問題を把握した上で、リハビリテーションを展開しなければ、リハビリテーションの効果が低減する可能性がある。

しかし、急性期病棟や回復期病棟には在宅訪問の評価は義務づけられておらず、報酬も任意努力の報酬体系となっている。

理学療法士・作業療法士は主に関節運動・動作・行為に対してアプローチをするが、環境に対するアプローチは苦手としている人が多い。

苦手な理由は簡単で、圧倒的に家屋評価などの環境面の教育が乏しいからだ。

理学療法士・作業療法士の養成校の実習でも家屋評価をしっかりと学べる機会は皆無である。

しかし、急性期病棟や回復期病棟から退院した後に、自立を予想していた方が思わぬ形で自立が困難となるケースがある(下図)。


(無断転載禁止)

それは心身機能と家屋の状況が適合していないことが原因であることが多い。

したがって、家屋評価ありきの心身機能へのリハビリテーションが必要であり、在宅復帰が当たり前のこの時代においては家屋評価は必須のリハビリテーション技術と言える。

家屋評価×心身機能=理想のセラピスト という構図は今後常識となる。

投稿者
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PTOTSTが知っておきたいキャリア理論 スーパー理論「自己概念」

自己概念とは「私はこういう人間だ」というセフルイメージである。

この自己概念というのは、人生において重要である。

良い自己概念を持つか、悪い自己概念を持つかによって、人生が大きく左右される。

自身に適した職業と出会い、それを選択するためには、自分自身の興味・関心・能力・価値観について自身で認識する必要がある。

職業やこれからの進路を選択し、実行することは人生を選択することである。

そのためには、自分の人生における指針が必要であり、その指針は自分の興味・関心・能力・価値観によって決められる。

自分はどんな仕事であれば自分らしさを表現できるか
自分は仕事を通じてどのような社会貢献ができるか
自分は人生や仕事でどのようなことを大切にしていきたいのか

これらの問いを日々、考えていくことで生まれてくる答えが「自己概念=セルフイメージ」である。  特に、仕事に関する自己概念は「職業的自己概念」と言われている。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士という職種を選んだ人々全員が同じ「職業的自己概念」を有してはいない。

人ぞれぞれの自己概念があるため、同一の職業であっても、仕事を通じて達成したい事柄や獲得したい成果は異なるのが当然である。

職業的自己概念が明確になっている理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、働きたい領域や仕事内容もはっきりしているため、人生に肯定的なキャリアデザインが行われる。

しかし、職業的自己概念が明確でない場合は、周囲の環境に巻き込まれたり、望まない仕事ばかりが増えたりするなど、自分の人生に否定的な出来事が起こりやすい。

投稿者
高木綾一

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「動作分析はできませんが、活動・参加は促せます」は詭弁

理学療法士の専門性は基本的動作能力の改善

作業療法士の専門性は応用的動作能力の改善

これは法律で定められていることである。

2015年度介護報酬改定にて、利用者の活動・参加の推進が強くなって以来、活動・参加に尽力するセラピストが増えている。

これは素晴らしいことであり、本来のリハビリテーションのあるべき姿である。

しかし、一方で、心身機能と活動・参加の介入のバランスが偏っているセラピストがいるのも実情である。

まずもって、理学療法士・作業療法士は基本的動作能力、応用的動作動作能力の分析ができなければ、本末転倒である。

しかし、動作分析が全くできず、利用者のポテンシャルを引き出せないセラピストが急増している(下図)。


(無断転載禁止)

動作に対する評価や治療は、活動・参加を推進する土台である。

動作分析をもろくにせず、ただ、活動・参加を促すのでは、活動・参加が心身機能を改善させることもないだろう。

動作を構成するのは各関節運動である。

そして、各関節も大関節から小関節で構成されている。

したがって、理学療法士・作業療法士は、活動・参加、そして、動作、関節運動を包括的に見れる能力が必要であり、それが他のライセンスとの差異であろう。

動作分析ができる人が活動・参加に取り組む。

活動・参加ができる人が動作分析に取り組む。

こんなことが当たり前になる時代にならなければ、セラピストに未来はない。

投稿者
高木綾一

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セラピストの落とし穴 内科系疾患の知識不足

急性期・回復期・生活期の全ての領域において、利用者の高齢化が進展している。

そのため、セラピストが対応しなければならない範囲が拡大している。

医療保険や介護保険においてリハビリテーション部門が必要となった原因疾患が脳卒中や大腿骨頸部骨折などの運動器疾患であっても、ほとんどの利用者が既往歴として内科系疾患を有している。

そのため、リハビリテーションの実施中に内科系疾患が原因となるトラブルが起こることがしばしばである(下図)。

関節可動域練習や筋力強化練習時の痛みの管理
立位・歩行練習時の転倒リスクの管理
などを行っている理学療法士・作業療法士・言語聴覚士はいるが、平素から内科系疾患の管理を根拠をもって行っている人は少ない。


(無断転載禁止)

なぜならば、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は内科系疾患について学ぶ機会が圧倒的に不足しているためである。

卒前・卒後においても、主に脳血管疾患と運動器疾患に関する学びが多く、内科系疾患に関する学びは、特別講義などの機会に学ぶ程度である。

また、内科系疾患の管理は医師や看護師の仕事と考えている理学療法士・作業療法士・言語聴覚士も多いのも否定できない。

利用者が飲んでいる薬や受診状況なども把握していない人もいる。

しかし、高齢化が進展するリハビリテーションの現場では、内科系疾患の知識不足はセラピストの落とし穴になる。

これからのセラピストは内科系疾患の知識を高める努力を怠ってはならない。

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高木綾一

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