セラピストとしての自立と自律がない人がリハビリテーションの質を下げている件

自立とは
他の助けや支配なしで一人で物事をおこなうこと

自律とは
自分の立てた規範に従って自らのおこないをコントロールすること

皆さんの周りのセラピストは自立と自律を兼ねそろえているだろうか?

あるいは、自立と自律のどちらかを持っているだろうか?

法律上、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、「医師の指示のもと」において診療の補助を行うことになっている。

しかし、現実として「医師の指示」が理学療法・作業療法・言語聴覚療法の専門性の細部まで至ることは不可能である。

そのため、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、各分野の評価と治療を習得し、医師の指示のもと、自立と自律の精神をもって、利用者に対応しなければならない義務がある。

だが、残念ながら、自立と自律の精神を持たずに、医師の指示されたことだけを専門職としての思考をめぐらさずに、利用者に提供しているセラピストが増えている(下図)。


(無断転載禁止)

医師は「専門職としての理学療法士・作業療法士・言語聴覚士」を信用し、リハビリテーションの処方箋を発行している。

そして、必要に応じて医師と高いレベルで連携することを望んでいる人もる。

医師と高いレベルで連携するためには、当然、セラピストに自立と自律が必要である。

自立と自律の精神を持つ専門性の高いセラピストは、医師や看護師などにも医療や介護に関することをフィードバックする能力を持っている。

医師や看護師にとって、セラピストのフィードバックは医療や看護を行う上で非常に重要である。

皆さんの周りのセラピストは自立と自律を持っていますか?

リハビリテーションの質を上げるためには、セラピストの自立と自律の精神の醸成は欠かせない。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

イラスト提供
福山真樹
理学療法士×イラストレーター

医療・介護等の現場を、医療職種の胸の内まで分かりやすくイラストで伝える。
臨床で勤務する理学療法士だからこそ描ける作品を医療関係者等へ提供し、書籍・学会・福祉機器紹介PV等、様々な場面で用いられている。
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理学療法士という仕事

理学療法士の定義
1965年に定められた「理学療法士及び作業療法士法」により定められたリハビリテーション専門職の一つである。

法律上の定義は「厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示のもと「理学療法」を行うことを業とする者をいう。」となっている。

また、法律では『「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えること』となっている。

理学療法士の仕事場
上記の理学療法士の法律上の定義より、医師の指示を受けて理学療法を行うことが原理原則となっていることから、病院、診療所、老人保健施設などの医師が勤務しているところで働くことが一般的になっている。

その流れもあり、現在でもほとんどの理学療法士は医療機関に属している。

介護保険分野で働く理学療法士が増えてきたのは、2010年前後からである。

理学療法士の仕事内容

理学療法士の仕事は一般的に以下の3つのステージに分けられる。

急性期
救急機能をもつ病院や大学病院などで、重症な患者に対して救急治療や濃厚な治療を行う時期である。術前・術後にリハビリテーションを開始する。病院によっては、集中治療室(ICU)でリハビリテーションを行うこともあり、高度な医療知識やリスク管理が求められる。また、術後の廃用症候群を防止するために早期離床への取り組みが求められる。

回復期
病状が落ち着き本格的に身体機能の回復と在宅や職場復帰のために環境調整を行う時期である。日常生活動作や日常生活関連動作の回復を図りつつ、住環境の調整を行うなどの取り組みを行う。動作分析、補装具や環境調整に関する知識が求められる。

生活期
在宅生活や施設で生活をしている人への身体機能や活動性の維持・向上に関する支援を行う時期である。また、近年では重症な人や看取り期の人も在宅で生活をしていることから、急性期に関する知識やターミナルケアに関する知識が必要である。家族や介護者への支援も必要となる。

その他のステージとして以下のものが挙げられる。

スポーツ現場/スポーツチーム
スポーツチームと契約し、アスレティックリハビリテーションや障害の予防に携わる。 チームドクター、トレーナー、監督、コーチと連携し、選手の競技復帰やパフォーマンス向上を支援する。日本ではプロ野球、Jリーグにチーム専属の理学療法士が近年増えている。

健康増進施設
フィットネスクラブなどの健康増進施設で、運動指導や介護予防を行う。高齢化の影響によりフィットネスクラブの会員も高齢者が多く、障害予防や老年医学を基にした運動指導が必要となっている。また、近年では行政の委託を受けて、フィットネスクラブで介護予防教室が行われることも多くなっている。

理学療法士の数
現在、理学療法士の数は急増しており、世界的に見ても一つの国にこれほどの理学療法士が存在する国は希である。

投稿者
高木綾一先生

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
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理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
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関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

訪問リハビリあるある 利用者と家族のニーズのミスマッチ

入院医療機関の在宅復帰率が高まるにつれて、訪問リハビリテーションの需要が上昇している。

そのため、訪問リハビリテーション事業所、訪問看護から訪問リハビリテーションを提供するセラピストも増加している。

しかし、訪問リハビリテーションに携わるセラピストが増えれば増えるほど、訪問リハビリテーションの質の標準偏差が広がっている。

レベルの高いセラピスト、レベルの低いセラピストが訪問リハビリテーションの現場にいるのが実情である。

訪問リハビリテーションにおいてレベルの低いセラピストの特徴の一つに、「利用者や家族のニーズに対応せず、自身がしたい介入方法を提供する」ことが挙げられる。

在宅療養を行っている利用者には様々な問題が生じやすい。

疾患から直接生じる問題だけでなく、廃用症候群などの問題が顕在化してくる。

そのため、介護をしている家族の介護負担は増加していく。

例えば、図に示すように誤嚥症状を呈する在宅療養患者は多い。

食事量の低下や嚥下時の咳嗽は、家族の介護負担を確実に増加させる。

在宅療養患者は時間の経過とともに問題が変わるため、その時々に応じた問題解決や問題緩和についてセラピストは行動しなければならない。

在宅療養患者が持つ多様な問題に対応するためには、セラピストのジェネラリスト化が必要である。

専門性が高ければ良いと言うセラピストのロールモデルは地域包括ケアシステムが推進される世の中では厳しい棘の道と言える。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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福山真樹
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組織外活動全力投球セラピストの評価が低い件

組織内活動より、組織外活動に全力投球しているセラピスト。

皆さんの職場にはこのようなセラピストはいないだろうか?

臨床、管理業務、多職種連携、委員会活動、院内教育、雑務より・・・学会発表、組織外コミュニティー活動、地域における○○会議、外部セミナー講師、大学院学業を優先するセラピストが増えている。

彼らが組織外活動に一生懸命になることは悪いことではない。

組織外活動は社会貢献やキャリアデザインにも繋がる。

しかし、給料が発生している組織への貢献なくして組織外活動は成立しない。

組織内活動より組織外活動を優先しながらも、組織から給与をもらってる人は、所謂、「フリーライダー(ただ乗り)」である。

フリーライダーのたちの悪いのは、真面目に組織のために頑張っているセラピストのモチベーションまでどんどん下げることである。

組織外活動に偏ったセラピストが評価される職場では、組織内行動を頑張っているセラピストの不平等感がどんどん高まる。

従って、組織外活動を一生懸命に取り組んでいるセラピストは今一度、組織内活動の棚卸をして欲しい。

組織外活動を職場のセラピストに認めてもらうためには、職場への貢献が大前提である。

投稿者
高木綾一

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多職種連携どころではない!同職種連携もできないセラピストが多い件!!

多職種連携が叫ばれて久しい。

在院日数短縮、在宅復帰推進、廃用性症候群の予防などを単独職種で行うことは難しく、利用や家族を含めた多職種間にて連携が重要である。

そのため、全国津々浦々で、「多職種連携に関するセミナー」が開催されており、多職種連携が、医療・介護分野で最もホットなトピックスと言っても過言ではないだろう。

しかし、もっと根深い問題がある。

そもそも、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は同職種連携さえもできていないのだ(下図)。


(無断転載禁止)

リハビリテーションに対する価値観や考え方の個人差
評価や治療の技術の個人差
そして、同職種内のリハビリテーション技術の標準化に必要なマネジメントの欠如

これらが起因となり同職種連携すらままならないのだ。

特に、365日リハビリや訪問リハビリが普及してから同職種内連携の不備は大きな問題となっている。

同職種であっても担当者が変わるたびに、リハビリテーションの内容が変わる、予後予測も変わる、そして、接遇も変わる・・・

これで利用者が満足する訳がない。

セラピストは医師や看護師と比較して、評価や技術の標準化に乏しい。

だからこそ、マネジメントを機能させてリハビリテーション技術の標準化を図らねばならない。

多職種連携の前に同職種連携である。

皆さんの職場は同職種連携は出来ているだろうか?

 

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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