リハビリテーションの視点で取り組める事業はまだまだある

リハビリテーションの対象者は障害や生活上の課題をもつ人である。

しかし、患者、利用者だけでなくその人の家族や関係者も問題を抱えている。

家族一人が病気や障害を有する状態になることは、家族内にあった既存のシステムが崩壊する。

既存システムの崩壊としては以下のものが挙げられる。
一家の大黒柱が病気になり収入が減った
遠方に住む両親が病気になりどうして良いかわからない
旦那が障害を有したことで妻の生活範囲が著しく狭くなった
若い夫婦の配偶者一人が病気になり、SEXができなくなった
祖父が病気になり面倒を見る人をなかなか決まらない
相続問題が発生した
身寄りがない
などの様々な問題が生じる。

リハビリテーション現場の周りには多くの問題があるが、それらの諸問題に対して既存の医療福祉システムは十分に機能していない。

また、それらを解決する民間サービスもまだまだ乏しい。

上記の問題に対して、何の手を打つこともなく経過し、深刻な事態に発展してから、周りのサポートが入ることが多い。

当然、深刻な状態になればなるほどの解決は非常に難しい。

また、現在の地域包括ケアシステムは高齢者が抱える問題には焦点を当てているものの、様々な社会課題に対して焦点を当てているわけではない。

リハビリテーションは心身機能・活動・参加に対して問題解決型のサービスを提供するものである。

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スポーツ選手・肉体労働者・健康増進・発達障害・福祉用具・靴・衣服・車いす・自動車・街づくりなどの分野でも当然、リハビリテーションは効果を発揮する。

そういう視点で考えれば、もっと多様な支援サービスが生み出されても良いと言える。

まだまだ、リハビリテーションの視点で取り組める事業はある。

決して、リハビリテーションのサービスの幅を縮めることなく、リハビリテーション関係者は市場を広げていくべきである。

現状、多くのセラピストは病院の治療ベッド半径50cmから離れることができてない。

そのような姿勢では、リハビリテーションの市場が広がっていくことはない。

障害を有する人、高齢者に限らず、様々な分野にリハビリテーションを活かしていく視点が、新たなリハビリテーション関連市場を切り開く。

多くの医療・介護従事者が知らないこと

とんでもないことが起こっている。

医療・介護・年金の社会保障費はとんでもない額に膨れており、国が国民から借りている「借金」が巨額化している。

それでも日本は、医療にフリーアクセスを認めてきた。

日本国民の国民性や選挙制度を考えると、医療のフリーアクセスを死守せざる得なかった歴史もある。

しかし、平成26年・平成28年度診療報酬改定により地域包括診療料、地域包括ケア病棟、そして病床機能報告制度などの新たな国策の導入によりフリーアクセス感が消えつつある。

直近の診療報酬改定は、「地域の医療機関や薬局は地域の患者を掴んで放すな!」というメッセージを含んでおり、患者の自由な受診行動を制限する流れが強化されている。

また、介護保険は元来、混合介護が認められている。

すなわち、自費を出せば追加の介護サービスを受けられる。

国は医療保険より先に、混合介護を早くから解禁しており、介護保険領域において民間企業のために、参入障壁を低くし、多様サービスを認めている。

その流れを受けて、現在、大手企業が続々と介護、医療、予防分野に参入している。

医療・介護業界は熾烈な競争が急激に進んでる。

しかし、どうも多くの医療・介護従事者はこの事態を理解できていない。

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海外からの医療の参入、海外への医療介護の輸出、ロボット技術、外国人労働者の参入・医療介護の都道府県自治体によパフォーマンス管理・・・・

まだまだ、生じる医療・介護の激震

これからの変化に適応しないとどうなるか。

江戸時代から明治時代にかけて、「籠屋」という職業は消えた。

この意味を、真に理解する日が近づいている。

 

 

 

 

 

医療・介護従事者の働き方NEXT

医療介護業界における働き方の選択肢が増えている。

国内では医療・介護施設の機能分担が進んでおり、施設に求められる能力も明確になってきた。

各医療機関や介護事業所は今より一層の企業努力がなければ、国内の競争においても負けてしまう。

確かに高齢者の人口は増えているが、その分に比例して医療介護事業所が増えている。

よほど、差別化された隙間市場を開拓しない限り、血みどろの戦いすなわち、レットオーシャン市場での争いを覚悟しなけれならない。

一方で、近年、海外においても日本の医療ビジネスの輸出が開始された。

介護、医療が海外に輸出されることは国益から考えてみても重要であるが、この流れに今の医療介護従事者はついていけるのだろうか?

語学の問題だけでなく、保守的な日本の市場で育ってきた医療介護従事者が海外事業に関わるのは難しい。

海外事業に関わるのは並の努力では無理であり、今まで以上に医療介護の知識、技術そして語学やビジネススキルを磨く必要がある。

地域包括ケアシステムのカタチも少しづつ見えてきた。

地域における各職種の役割
各職種における成功のモデルケース
などが、徐々に明確化されている。

国内市場や海外市場の変化は、働き方の選択肢を明らかに増やしている。

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働き方を選択するために必要な判断材料はそろってきた。

しかし、判断ではだめで、決断ができるかどうか?

最も酷いのは、判断もしない思考停止状態である。

いずれにしても、働き方の選択が、医療・介護従事者にとって必要な能力となる時代がすでに到来している。

読者の方は、働き方について、決断していますか?判断していますか?それとも、思考停止ですか?

 

 

医療介護施設の役割分担により連携が悪化する??

平成28年度診療報酬改定において総合入院体制加算の要件が強化された。

これは急性期機能の強化が図られたことを意味する。

国は「本物の急性期病院」を作りたいと考えている。

救急医療だけを専門に行い、地域の救急医療インフラの核となる病院を作りたい。

また、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟、療養病棟、老人保健施設にも施設基準要件が強化され、それぞれの施設の機能が強化されている。

でええ第256回中央社会保険医療協議会 総会  厚労省配布資料

 

しかし、機能が強化されることで部分最適のみが進み縦割り医療・介護サービスが増長する可能性がある。

逆説的になるが、「役割分担を進めるためには役割の隙間を埋める」 ことが重要であると言える。

役割の隙間を埋めるのは病院や施設間の話だけではない。
医師、看護師、薬剤師、療法士、介護士、事務職員、臨床検査、栄養士の間を埋める役割も重要である。

専門職養成だけが世の中の医療介護サービスの質を上げることはない。

専門職をどう活用するのかというマネジメントの視点がなければならない。

専門職であったり視野が狭い人が経営者や運営者であれば役割分担の間を埋めるマネジメントは正直難しい。

しかし、このことから目を背けていては、「真の医療介護施設の役割分担」はありえない。

 

医療・介護マネジメントがどんどん複雑化している

医療・介護マネジメントが複雑化している。

昨今の急激な外部環境変化により、マネジメントの守備範囲が多領域に広がっている。

消費増税、人口問題
電気料金値上、専門職市場の変化
診療・介護報酬のアウトカム指向
医療訴訟、未収金、クレーム
行政や保健所の監査、同業者の増加・・・
など多くの課題が顕在化している。

これらの課題に適切に対処できる人材はそういない。

まして、医療介護分野は文字通り医療と介護の専門家の集合であるため、専門外の分野に興味を示さない人が圧倒的多数である。

だからと言って、これらの問題に詳しい専門家を雇用し、現場対応を任せても、医療介護のことは詳しくないので、うまくマネジメントができない。

一般の会社同様に、医療・介護事業所においてもキャシュフローの改善は極めて重要である。

キャッシュ、すなわちすぐに使える現金を常に持っているかどうかが事業の安定性に影響する。

キャッシュを増やすためには
利益を上げる事
原価を下げる事
売掛金を少なくすること
負債を多くすること
無駄な資産を持たない
ことが重要である。

すなわち、
利用者、患者を増やし
適切な治療やサービスを展開し
人件費や地代家賃などの経費を下げ
保険収入だけでなく、自費による現金収入を行い
さらに負債を活用し、すべての資産を売上に貢献させることが求められる。

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この中でせいぜい、医療・介護職が対応しているのは、「適切な治療やサービスを展開する」ことだけである。

その他の項目は事務方が行っているが、現場の協力も不十分なのでうまくいかないことが多い。

医療・介護マネジメントの複雑化は、専門職の孤立化を生む。

しかし、専門職から総合職に転換する人にとっては、大きなマーケットチャンスでもあると言える。