回復期リハビリテーション病棟vs地域包括ケア病棟

2014年度診療報酬改定にて、回復期リハビリテーション病棟は、「回復の見込みがある患者に対して、集中的にリハビリテーションを提供する病棟」に、地域包括ケア病棟は、「回復ののびしろが少ない患者に対して、包括的なリハビリテーションを提供する病棟」になることが求められた。

性質の違う2つの病棟ではあるが、在宅復帰率に関しては双方ともに高い水準が要求された。

すなわち、リハビリテーション医療はADLを自立させる手段だけではなく、「在宅復帰に必要な要素を包括的に提供する手段」であるが求めれたと言える。

現在、回復期リハビリテーション病棟には厳しい目線が注がれている。

診療報酬上は、一日9単位のリハビリテーションの提供が、認められている。

しかし、都道府県の違いによって、7単位以上は見学な要件を満たさなければ、認められない。

また、廃用症候群の病名でも、回復期リハビリテーション病棟の入院料が、査定されるという事態も生じている。

すなわち、国は回復期リハビリテーション病棟の差別化、区別化、淘汰を試みている。

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地域包括ケア病棟では、2単位のリハビリテーションの提供が可能である。

もし、地域包括ケア病棟が、回復期リハビリテーション病棟と同様の在宅復帰率等のアウトカムを出すことができれば、次の診療報酬改定では回復期リハビリテーション病棟には間違いなく逆風が吹く。

また、地域包括ケア病棟も、急性期からの患者だけでなく、在宅からの救急患者の受け入れが、求められている。

したがって、今後は大腿骨頚部骨折や循環器疾患等へ積極的な治療介入が期待される。

急性期病棟は「在院日数が短い超急性期対応型」が移行が進んでいる。

したがって、急性期病棟や回復期病棟とは差別化された病棟としての役割が地域包括ケア病棟には課せられた。

回復期リハビリテーション病棟が生き残るか?

それとも、地域包括ケア病棟が存在感を増していくか?

急性期後の医療体制は、大きな転換期を迎えている。

ワークシフトを実践する人にとって2025年問題は最高のチャンス

15歳から64歳までの現役世代人口は2010年には8174万人、2050年には5001万人になっている。

その間、65歳以上の高齢者は800万人以上増加している。

これは何を意味するか?

医療、介護職が不足する
医療、介護報酬が上がらない
医療、介護職の賃金が上がらない
・・・・などが毎日のように新聞、ヘルスケア雑誌に記載されている。

しかし、マイナスなことばかりが起こるわけではない。

ワークシフトを実践する医療・介護従事者には、最高の市場が訪れている。

労働力が減る社会においては、有能な人材はより、輝きを増す。

マネジメント
コーチング
急性期から慢性期に対応できる医療・介護技術
医療・介護業界マーケター
技術開発
などの能力を有する人材は、医療・介護業界において益々、至宝の存在になる。

今後、そういった人材は、複数の病院や企業に勤務し、同時に高い報酬を受けるだろう。

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ワークシフトを実践する人にとっては今後の労働市場はブルーオーシャンである。

ワークシフトを達成するためには「連続的スペシャリスト」を目指す必要がある。

連続的スペシャリストとは
独自の専門分野を持ちながらも社会の変化に対応し、連続的に専門分野を取得していく人
である。

しかも、20代だろうが60代だろうが関係ない。

真のワークシフトは死ぬまで続けることに意義がある。

ブルーオーシャンの市場が現れるのではない。

ブルーオーシャンの市場を自分で造るのだ。

 

 

新しい仕事のモデルを手に入れる「ダイレクト・アクセス」

社会から求められる職業モデルが大きく変質している。

経済成長期では、職業モデルが明確に存在し、そのモデルを真似て、継続的に取り組めば給料は順調に上がった。

しかし、2000年以降、不確実な時代に突入した日本において、キャリアモデルは変質してしている。

そのような社会では、既存の職業モデルを追求するのではなく、自分のやりたいことを自らモデリングしていく働き方が求められる。

今の時代、自分のやりたい仕事を実践している人が限りなく少ない。

職業モデルがない職業を確立することができれば、市場においてアドバンテージを得ることができる。

しかし、それは容易なことではない。

どの市場で、どのように動けば、その仕事にたどり着けるのか?

地域包括ケアシステムが推進される現在、医療・介護・健康分野では、既存にはないフレームワークに基づく働き方が求められている。

生活支援サービス、介護予防、疾病予防、高齢者就業、企業内検診など開拓されていない分野は沢山あるが、このような分野の求人募集が掲載されることはない。

求人媒体には既存の医療・介護ビジネス業界の求人募集しか掲載されない。

つまり、一般の情報媒体からは顕在市場のみの情報しか手に入れることはできない。

どのようにすれば、自分の夢や新しい仕事のモデルを見つけることができるだろうか?

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効果的な方法の一つが「ダイレクト・アクセス」である。

「ダイレクト・アクセス」とは
自分の夢や目指す方向性に近いところで仕事している人に「会いにいく」ことである。

「会うこと」の効果は極めて大きい。

会うことで「仕事の実現可能性」、「連携・協同の可能性」、「資本提携の可能性」、そしてなにより「マインド」を学ぶことが出来る。

正しい選択肢などない。選んだことを正しくしていく勇気と行動力が必要である。

その一歩が「ダイレクトアクセス」である。

 

リハビリテーション潜在市場

現在、介護保険サービスを利用していない高齢者は高齢者の中でも圧倒的多数を占める。

介護保険制度の仕組みを知らない人や介護保険に対する誤解がある人が多く、身体機能や社会参加が低下していても、要介護認定を申請しない人も多い。

2025年に向けて後期高齢者が爆発的に増加していく過程では、医療保険、介護保険を利用する前の健康的な時期をいかに長くするか?すなわち、健康寿命延伸への取り組みがが重要である。

現在の日本では、病気や介護が必要な状況になれば、医師、看護師、ケアマネージャーなどの支援により、医療・介護サービスを受けるシステムは完全に構築されている。

しかし、徐々に身体機能や社会参加が低下していく時期に対して、具体的な介入を行うサービスは乏しい。

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自発的に健康に留意している高齢者なら、地域の社会活動、フィットネスクラブ、老人クラブなどにも通う。

しかし、健康に対する意識が低い高齢者は、廃用症候群やフレイルの発症を無防備に待っているのが実情である。

2014年度の介護報酬改定にて介護保険から要支援者が外されることが決定しており、2017年度までには地域支援事業として地方公共団体が要支援者へ介護予防サービスを行うことになる。

しかし、要支援認定を受けていない高齢者への政府の対策はあまり見えてこない。

2025年以降、今後も要支援認定を受けていない虚弱老人は、確実に増加していく。

今後、要支援者への介護予防サービス、要支援認定を受けていない人への健康増進が大きな市場になるのは確実である。

理学療法・作業療法・言語聴覚療法の知見は、健康増進に大きく活用できるし、他の分野と組むことでさらにその強みを増す。

転倒予防、認知症予防、活動参加支援、就労支援、栄養改善などの身体機能に関するコンサルテーションなどは異業種と組むもできる分野である。

また、産学官連携を強化すれば、リハビリテーションのエビデンス作りも、加速するだろう。

リハビリテーション潜在市場は希望に満ち溢れていると言える。

「人」なぜ働くのだろうか?

人は何のために働くのか?

医療・介護従事者は専門職である前に、「人」である。

「人」がなぜ働くか?という原理原則を理解することは、人材や組織のマネジメントを行う上で極めて重要である。

今回は「人」が働く理由を考える上で重要な概念である「キャリア・アンカー」を紹介したい。

これはアメリカの心理学者エドガー・シャインによって提唱 された概念である。

キャリア・アンカー
職業、職種、勤務先などを選択する際に判断基準となるものであらゆる人が持っている。

アンカーとは日本語で「碇」を意味し、船を固定させるものである。

言い換えると、自分の人生の中で「優先度が高いもの」「譲れないもの」を示す。

どのような仕事に就こうとも「キャリア・アンカー」という自己概念が仕事の中で顕在化してくる。

キャリアアンカーには8つのものがある。

・専門
企画、販売、人事、エンジニアリングなど特定の分野で能力を発揮することに幸せを感じる

・経営管理
組織をマネジメントし、対人関係の調整や業績の拡大に魅力を感じる

・自立
自分のやり方で自由なスタイルで仕事をすることに魅力を感じる

・安定
労働条件などの福利厚生の安定を求める

・企業家的創造性
新しいものを創り出し、困難を乗り越えることに幸せを感じる

・社会への貢献
社会という公共なものへ貢献したいという気持ちが強い

・チャレンジ
大きなリスクや障害を乗り越え、不可能と思える事柄に挑戦することが楽しい

・全体性と調和
プライベートと仕事の調和を図ることが最も重要と考える

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これらの8つのいずれかのキャリア・アンカーを持つ人が組織内に存在している。

比較的多いのは「全体性と調和」のキャリア・アンカーである。

仕事とプライベート(家庭)が大切であるという現代の世相を示していると言えるだろう。

しかし、中には「企業家的創造性」や「専門」などのキャリア・アンカーを有する人もいる。

その場合、「企業家的創造性」の人には新規施設の開設や経営改善の仕事、「専門」の人には医療技術指導者や研修責任者が適性のある業務であると言える。

キャリア・アンカーの評価なくして組織マネジメントは難しい。

理学療法士だからこのような価値観を持ちなさい
作業療法士だからこんな風に働きなさい
看護師はこうあるべきだ
というアドバイスは、「キャリア・アンカー」を前提にしておらず、非常に乱暴なものである。

皆さんは部下や同僚のキャリア・アンカーを把握しているだろうか?