慢性期医療は2025年に向けて、勝ち組と負け組に二極化する

地域医療構想では、急性期病床の絞り込みに注目が集まるが、実は療養病床の絞り込みも進められている。

療養病床には、未だ、相当数の社会的入院の患者がおり、医療行為が極めて少ない患者が入院している医療機関も多い。

また、入院しやすいように、疾患名を強引に付けるアップコーディングも相当行われていると言われている。

看護配置が25:1、医療行為の少ない患者が入院している、在宅復帰率が著しく低い療養病床は、2025年に向けて淘汰されていくことは間違いない。

2016年度診療報酬改定では、療養病床の今後の方向性が示された。
参考
病院は重症の方が入院する所であるという論理は、療養病床にも当てはめられた

非常に高度な医療行為をしている療養病床は、今後も生き残ることができるが、医療行為が少なく社会的入院が多い療養病床はダウンサイズが余儀なくされる。

今後、慢性期医療においては以下のものが台頭してくる
1)医療に強い有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅
2)多機能大規模型訪問看護ステーション
3)高度な医療を提供している療養型病院
4)多機能型老人保健施設
5)新たな慢性期患者の施設(政府検討中)

1)~5)の中でマーケットシェアーの取り合い合戦が起こる。

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地域医療構想は、確実に進んでいる。

今後、慢性期医療が対象となる患者数は膨大に膨れ上がる。

全国にはまだ、今後の方向性を決定できていない医療機関は多い。

しかし、2025年までに完全にフルモデルチェンジするためには、現時点で優秀な人材の確保や将来の方向性が決まっていなければ、到底フルモデルチェンジなどできない。

療養病院に完璧な逆風が吹いてからでの対応では時すでに遅しである。

早期に大改革に取り組み、状況を打開するべきである。

 

自分の私利私欲を、従業員に強要する経営者にろくな人間はいない

レベルの低い経営者は本音を言いません。

レベルの低い経営者は「儲けろ・売上を上げろ・病床稼働率を上げろ・利用者を増やせ」と言う本音を、医療機関・介護事業所の「理念」「使命感」「志」という言葉で包み隠して、従業員に伝えてきます。

もっとレベルの低い経営者は、「儲けろ」という本音が包み隠さず出てしまいます。

これはもう、悲惨なレベルの経営者です。

こういった人間は、「自分の私利私欲を満たすために、他人をこき使う」という意図を持っています。

いわゆる、ろくでもない人間です。

なぜならば、従業員は「収益性」「売上」「理念」「使命感」「志」だけでなく、職場の人間関係、やりがい、面白さ、成長できる見込み、評価の仕組み、風通しの良さを働くうえで重視するからです。

そういった要素を全く無視して、「私の私利私欲を満たせ」という要求を強要する人間は、経営者としての資質はゼロです。

人は生まれた時から、自由です。

よって、他人の人生や夢のわき役、奴隷になる必要はありません。

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人生は有限です。

他人の人生に振り回されている時間はありません。

人生の主人公は自分自身です。

経営者は、そういった人間心理を理解したうえで、理念や夢を語り、職場の風土改善を行わなければなりません。

そして、従業員はろくな人間ではない経営者を、ちゃんと見極める必要があります。

 

介護老人保健施設は回復期リハ病棟・地域包括ケア病棟と同様の在宅復帰施設である

診療報酬改定・介護報酬改定により、入院医療から在宅医療への流れが加速している。

急性期病棟だけでなく、療養病棟もダウンサイジングが行われ、入院医療依存から脱却するための施策が多く導入されている。

このような状況では、在宅復帰を中心機能とした施設の役割が重要となってくる。

よって、回復期リハビリテーション病棟のアウトカム要件強化と地域包括ケア病棟の導入推進は当然の流れである。

介護保険分野においても在宅復帰は重要なキーワードとなる。

介護保険分野で在宅復帰機能を有する施設として、介護老人保健施設が挙げられる。

介護老人保健施設は、本来リハビリテーション施設としての意義を有している(下図)が、リハビリテーションや在宅復帰の機能を高めた老人保健施設は少なく、慢性期の長期療養施設化している現状がある。

老人保健施設

そこで国は、平成24年度介護報酬改定にて「従来型」と「在宅復帰強化型」の2つに介護老人保健施設を区分した。

当然、「従来型」より「在宅復帰強化型」の方が、介護報酬は高く設定されている。

国の在宅シフトを考えると、介護老人保健施設も在宅復帰機能の強化が一層激しくなると予想される。

しかしながら、介護老人保健施設は、歴史的な背景から在宅復帰機能を向上させていくためのハードルが高い。

介護老人保健施設の課題として
在宅復帰施設としての認識を持たない経営者や従業員が多いこと
長期入所利用者で稼働率を維持している施設が多いこと
施設ケアマネが在宅復帰に熱心ではない
セラピストが在宅復帰や在宅生活を目指したリハビリテーションを提供できていない
病院と比較して熱心な医師が務めていない
などが存在する。

課題は山積であるが、これらの課題を乗り越えていく気概がなければ2025年以降、介護老人保健施設としての役割を果たすことができず、急激な収益悪化が予想される。

従来型の介護老人保健施設に残された時間は少ない。

在宅復帰強化型を目指さない場合は、どのような形で施設経営を維持していくかについて真剣に検討しなければらない。

2025年までの砂時計は止まらない。

多くのPT・OT・STが罹患している「努力すれば報われる症候群」

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士はまじめな人が多い。

患者さんのためにストイックに勉強する。

毎月、様々な参考書を購入する。

学会発表に熱心に取り組む。

もちろん、20万人近くいる理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の中には、何の危機意識もなく、何の努力もせずにテキトーに仕事をしている人も多い。

しかし、一方でかなりまじめな人も多く、「本当によく頑張っているなぁ」と感心するセラピストも多い。

だが、努力しているセラピストほど、罹患している陥りやすい症候群がある。

それは、「努力すれば報われる症候群」である。

努力していれば、いつか給料が上がる
努力していれば、いつか上司に認められる
努力していれば、いつか良い職場に行くことができる
努力していれば、なんとかなる

という思考に陥っているセラピストが多い。

しかし、努力すれば成功するという法則はない。

もし、努力すれば成功するのであれば日本人は成功者に溢れている。

成功するためには、「努力」と「運」が必要である。

「運」がなければ、どれほど努力しても、努力したという充実感だけが残り、実利は何も得られない。

では、「運」とは何か?

「運」とは、自分を成功に導いてくれる可能性のある出来事や人物との遭遇である。

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努力をして自分のスペックを高いレベルに仕上げた者が、自分を成功のステージに導いてくれる機会を得た時に、初めて成功の可能性をつかむのである。

成功の可能性は、自分を成功のステージに導いてくれる機会の数に正比例して高くなっていく。

すなわち、自分一人で地道に努力をしていても成功はしない。

成功のための言動や方法論は、決して誰も教えてくれない。

成功している理学療法士・作業療法士・言語聴覚士ですら教えてくれない。

なぜかというと、社会や会社はあなたに成功をしてほしくないからである。

社会や会社は、本当に大切なことは教えてくれない。

一生懸命に努力をしても報われていないセラピストは、今すぐに自分を成功に導いてくれる可能性のある出来事や人物との出会いの頻度を高めることをお勧めする。

 

三流リハビリ部門・看護部門・介護部門によくある人事と切り離された教育は戯言である

教育と人事のプロセスは一つのことを成し遂げるために、存在している。

それは、「法人の理念を実行できる人材を輩出する」ことである。

教育というのは、様々な分野に関しての知識と経験を教授し、一人の専門職として医療や介護の現場で、理念に沿って自立して行動できるように働きかけるものである。

教育は、医療・介護事業において最も重要な資源である人材をより有効な資源に変化させるための最強のツールである。

しかし、その最強のツールが最弱のツールに変化することがある。

それは、教育と人事が切り離されている場合で生じる。

人事は、企業や組織における採用活動、昇進、出向、人事制度運用、報酬・福利厚生、労務を行う業務である。

採用は、理念や組織の方針に共感した人材を採用する最大のチャンスである。

採用機能が弱い事業所では、理念や方針に共感していない人が沢山入社している。

理念や方針に共感していない人をいくら濃厚に教育したところで、法人の理念を実行する人材にはならない。

どんな人でも採用してから、教育すれば何とかなるではないの?と多くの方から声が聞こえてくるが、それは戯言である。

お金儲けが目的の事業所
離職率が高い事業所
理念の本質が理解できない経営者が運営している事業所

このような事業所では、採用機能が脆弱になっており、組織の理念も方針が完全に形骸化し、理念に適合しないどうしようもない人材が多く事業所内で働いていることが多い。

昇進は、理念を実現するために適材適所に有能な人材を配置することである。

しかし、昇進をくだらない判断で行っている事業所も多い。

前任者が辞めたから、この人を昇進させよう
数字責任を負わせたいから、役職者を設けよう
指示命令系統を明確にしたいので誰でもよいから役職者にしよう

このような事業所では、管理職は使い捨てであり、会社の歯車としてだけ動くことが要求される。

三流組織

世の中の三流医療・介護事業所では、人事と教育は切り離されて運用されている。

どれだけ教育を充実させても、人事機能が乏しければ教育の効果は表れない。

しかし、人事と教育が切り離されている三流医療・介護事業所は、人が育たないのは現場の教育が悪いからだと現場に責任を問う。

人事と教育は、統合されたものでなければならない。

一体的な採用・教育・昇進の取り組みが機能する医療・介護事業所は、二流、一流の組織になることができる。

ぜひ、リハビリテーション部門、看護部門、介護部門は教育だけでなく、どうか採用と昇進に関する人事権も掌握していただきたい。

採用と昇進の人事権を移譲してくれない法人や会社であるならば、もう、それ以上の発展はなく、永遠に三流の医療・介護事業所になることを覚悟しなければならない。