理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・介護士・看護師にも作品がある

給料が安い
待遇が悪い
将来が不安だ
上司が悪い
仕事が多い

医療・介護業界でよく聞く愚痴である。

しかし、愚痴は愚痴である。

それ以上の意味もなければ、なんの解決への推進力を持たない。

愚痴を言う暇があれば、自分の作品を作るほうがよっぽど健全だ。

こんなことを言うと、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・薬剤師・介護士などの医療・介護従事者にどんな作品が作れるのだ?と声が聞こえてくる

医療・介護従事者にとって、最高のセルフマーケティングであり、最良のブランディングは「自分自身によって成し遂げた仕事の成果」である。

すなわち、「この仕事は自分の作品です」というものをどれぐらい積み重ねていくことができるか?がセルフマーケティングやブランディングでは重要となる。

私が提案したポジショニングでこの患者の褥瘡は改善しました
私のトランスファーを用いればこの利用者は個浴に入れます
私は脳卒中の早期離床に関する新しい知見を論文にしました
私は多くの優秀や人材の獲得と教育を行い部門を拡大してきました
私は日々の臨床での工夫を常に整理し、インターネットを通じて発信しています
私は栄養状態が悪い患者を早期に抽出し、他職種と連携をしています
私は自分の考えを広げるために専門誌へ定期的に投稿しています

これらのことは、本人の努力なくしては成し遂げられない事柄ばかりである。

まさに、努力の賜物であり、作品である。

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作品のメリットは、その作品の作者が周囲に認知されやすいことである。

作品の力 イコール 本人の力 と組織や周囲から認識される。

このような作品がない人たちが、冒頭で述べているような愚痴を言っていてもなんの説得力もない。

むしろ、「私には作品はありませんが、周りで生じる事柄に関しては不満です」というマイナスなイメージしか周囲には与えないだろう。

英語で作品は Work
英語で仕事は Work

今こそ、Work Shift が必要である。

 

 

そもそも、通所リハビリテーションは理学療法・作業療法を提供する施設であると定義づけられている

2015年度介護報酬改定では、通所リハビリテーションにおける心身機能・活動・参加のアプローチが注目された。

また、2016年度診療報酬改定では、要介護保険被保険者の維持期リハビリテーションの通所リハビリテーションへの強い誘導策が導入された。

2018年度診療報酬・介護報酬のダブル改定では、通所リハビリテーションと通所介護の役割や機能が明確化され、通所リハビリテーションの在り方は大きく変化が求められる。

しかし、介護保険法により「通所リハビリテーション」とは、居宅要介護者(主治の医師がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限る。)について、介護老人保健施設、病院、診療所その他の厚生労働省令で定める施設に通わせ、当該施設において、その心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために行われる理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを行うこと、と定められている。

通所リハビリテーションは、理学療法、作業療法を提供する施設であると明確に定義されているのである。

理学療法は基本的動作能力の改善
作業療法は応用的動作能力の改善
を医学的・科学的に行うものである。

よって、介護保険法により、通所リハビリテーションは、基本的動作能力や応用的動作能力を医学的・科学的に改善する施設であると定義されていると言える。

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しかし、実際の通所リハビリテーションでは
1)セラピストの数が足りず十分な個別リハビリテーションが提供できない
2)動作分析に基づかない運動療法が漫然と繰り返されている
3)アルバイトのセラピストを中心に個別リハビリテーションや自主トレーニングの指導を行っているため、施設としての理念や方向性を共有できない
4)通所リハビリテーションを副業的な立ち位置で経営している医療機関が多く、打算的な経営をしている
などの問題が横行している。

よって、介護保険法が定義する通所リハビリテーションの姿には到底なっていない。

通所リハビリテーションは、今後、急増していく要介護被保険者に対する本格的なリハビリテーション施設としての役割が期待される。

したがって、今後の通所リハビリテーションでは、介護保険法の定義に原点回帰が必要であり、基本動作が診れる理学療法士、応用的動作が診れる作業療法士が活躍が重要である。

なんとなく、活動を促す
なんとなく、参加を促す
のではなく
機能をあげて活動と参加を改善させる
活動と参加を通じて機能を改善させる

こんな視点をもつ理学療法士・作業療法士がいる通所リハビリテーションは国が求める心身機能・活動・参加にバランスよく働きかけることができる施設になるだろう。

マニュアル本に記載さている知識を軽視しているセラピストは療法もどきしか展開できない

臨床において最も重要な能力は「想像力」である。

なぜ、こんな現象が起きているのだろうか?
このような事をしたら、どうなるのだろうか?
この現象の原因はここではないだろうか?

常に仮説を立てて、その仮説が正しいかどうかの検証を繰り返す能力が臨床では求められる。

そして、「想像力」の源泉は、「基礎的な能力」である。

さらに、基礎的な能力は 「知識」×「経験」 により開発される。

言い換えれば、いくら経験があっても知識がなければ基礎的な能力は開発されない。

教科書や参考書に記載されている知識というのは、全くの素人を短時間で一定レベルの専門家にする代物である。

知識というのは、知っているか、知っていないかという両極端な性質を持つ。

したがって、知識がなければ、いくら想像したところで仮説は生まれてこない。

その知識を臨床の中で試行錯誤しながら用いることで、様々な仮説検証を展開できる。

よって、いくら経験があっても、知識がなければ仮説検証ができず、「理学療法もどき」「作業療法もどき」「言語聴覚療法もどき」しか展開できないことになる。

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今の時代、マニュアル教育が軽視されている。

マニュアルを知っていても、実践では使えないと平気で言う管理職さえもいる。

しかし、マニュアルに書かれていることさえも理解できずにどうやって臨床を展開できるだろうか?

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士にとって、解剖学、病理学、運動学、生理学などのテキストは重要なマニュアルである。

マニュアルさえも理解できずに、難しい手技や理論を他者から教授されても全く持って理解できない。

むしろ、多くの患者はマニュアルに書かれていることだけで多くのことが解決できる。

エビデンスに基づく医療が叫ばれて久しいが、エビデンスとは最新の理論や論文に記載されていることだけではない。

すでに証明されて、教科書やマニュアルに載っていることを使いこなすこともエビデンスに基づく医療である。

マニュアルを軽視しては、いけない。

やりたいことがあるセラピストはマイノリティーである

キャリアデザイン研修やリハビリテーション部門のコンサルティングをしていると以下のような質問をよく受ける。

「やりたいことが見つからないので困っています、どうしたらいいのでしょうか?」
「うちの職員は将来の目標がなく、漫然と臨床をしています。どのように教育したら良いのでしょうか?」
「目標管理における目標設定が低くて困っています」

つまり、目標設定とか、やりたいこと・・・これらを明確にした上で、仕事をしてほしいと管理職は切望している。

しかし、今のご時世、やりたいことや人生の目標があるセラピストはマイノリティーである。

そもそも、日本は世界最強の先進国であり、物質的には十分に満たされている。

その上、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は国家資格であり、職場を選ばなければ就職率100%である。

しかも、セラピストとしての能力が低くても就職できるという公務員以上に、市場の競争から守られている特殊な仕事である。

そんな世界で生きているセラピストにやりたいことや目標があるほうが珍しいと考える方が賢明である。

そんなセラピストをどのように導いでいけばよいのだろうか?

そのようなセラピストには、「ロールモデル」の提示が最も有効である。

今日は、病床削減、地域包括ケア、在宅シフト、EBM思考、ロボット活用・・・などリハビリテーションに関する価値観が多様になっている。

また、インターネット世代の若いセラピストほど、多くの情報に触れており、膨大な選択肢から何かを選択することが苦手である。

よって、リハビリテーション部門や介護事業所は、どのようなセラピストになってほしいかというリアルなロールモデルを提示しなければ、セラピストが自ら目標を想起することは困難である。

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このようなことをこのようなレベルでできるようになる
接遇はこの程度のレベルになる
書類作成はこの程度の水準はできるようになる
歩行介助は○○さんと同じぐらいのレベルになる
リスク管理に関するテストで80点以上を獲得する
カンファレンスでは○○さんのように発言する

など、より具体的に求める人物像を示すことが重要である。

そもそも、やりたいことや目標設定ができる人で組織が構成されていれば、人材教育など不要である。

目標設定を本人に任せていると言えば、聞こえは良いがそれはただの人材教育の丸投げである。

「やりたいことがあるセラピストはマイノリティーである」という認識が人材育成の基本である。

キラーコンテンツを持たないセラピストは過剰供給時代に飲み込まれていく

療法士過剰供給時代が到来することは明白である。

本ブログでも、療法士過剰供給時代に対する心構えやセルフマーケティングについて幾度か述べてきた。

今回は、キラーコンテンツの重要性について述べたい。

キラーコンテンツとは
「圧倒的な魅力を持った情報・サービス・製品」
を示す。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士はそれぞれ理学療法・作業療法・言語聴覚療法という技術をもつ専門職である。

しかし、養成校を卒業し、数年間臨床を経験しただけでは専門性は身につかない。

確かに、数年間臨床経験を積めば、難易度の低いリハビリテーションの評価や運動療法、治療などは展開できるが、医学に難しい症例への治療やチーム医療や地域連携等のリハビリテーションに関する支援を展開する技術の取得は容易ではない。

養成校教育や卒後教育において、専門性への教育支援が圧倒的に不足しているため、専門性の高いセラピストの育成は遅れている。

しかし、社会情勢は刻々と変化しており、リハビリテーションに求められる専門性は多様化を極めている。

リハビリテーションの専門性の多様化は進んでいるものの、セラピストの専門性を向上させる取り組みは乏しいの現状である。

だが、視点を変えれば、今の社会情勢において、尖がった専門性を持つことさえできれば、労働市場においてセラピストとして注目がされやすい状況であるともいえる。

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そして、その専門性が、社会や組織に貢献するものであればあるほど、キラーコンテンツとして存在することができる。

キラーコンテンツはセラピストとしての価値を高め、セルフマーケティングやセルフブランディングを行う上で大きな力となる。

基本的技術のみに終始する自己研鑽からキラーコンテンツの開発への自己研鑽へのシフトが療法士過剰供給時代において重要な要素となる。

皆さんはキラーコンテンツを開発するための自己研鑽はできているだろうか?

まずは、現状の自己研鑽がどのような目的で行っているかについての棚卸を行う必要がある。