2016年4月4日 日本経済新聞にて「過剰なリハビリ削減」という見出しの記事が掲載された。
この記事は、効果の低い回復期リハビリテーション病棟の医療費削減について言及したものだ。
2016年度診療報酬改定では、回復期リハビリテーション病棟の包括化は注目された改定項目の一つであり、多くの医療関係者、とりわけセラピストで知らない人は少ないのではないだろうか。
しかし、日本を代表する経済新聞にて、報道されたことは大きな意味を持つ。
日本経済新聞はご存知の通り、政府系、経済界寄りの新聞であり、特に経済的インパクトの強い内容を報道することで知られている。
今までも、病床規制、調剤問題、混合診療、外国人労働者の問題など、医療に関して様々な問題を提起している。
2015年にも理学療法士の過剰供給問題が同新聞より報道され、リハビリテーション業界では話題となった。
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2015年9月17日 日本経済新聞報道の「理学療法士の供給過剰問題」の本質を考える
今回、リハビリテーション医療費の削減が、日本経済新聞から報道されたことにより、政財界よりリハビリテーション医療の抑制に関して、強い意見や懸念があると推察される。
つまり、リハビリテーション医療費の問題が、病床規制や薬剤の問題と同等レベルになったといっても過言ではない。
くしくも、2015年度理学療法士国家試験の合格率は74.19%となっており、過去最低となっている。
合格率の低迷は、理学療法士の過剰供給やリハビリテーション医療費削減に対する政府の対策の現れではないかと感じざる得ない。
リハビリテーションが網羅する分野は広い。
これからは、医療機関だけでなく、介護保険事業所、行政などが主体となったリハビリテーションサービスが増加していく。
よって、国費の配分は俯瞰的な視点を持って行わなければならない。
そのため、リハビリテーション医療費の削減も経済的視点から見れば正論でもある。
いずれにしても、日本を代表する新聞が、リハビリテーション医療は大きな課題を抱えていることを、国民に報道した事実は大きい。
リハビリテーション医療に関わる人たちは、業界としてこの課題にどのように対処していくかを考えなければならない。
そして、セラピスト一人一人は今後の働き方やキャリアの在り方を真剣に考えなくてはならない時期になったのではないだろうか?