2016年度診療報酬改定に向けてよーーーい どん!のよーーーいをしていますか!?

2016年度診療報酬改定に関連する情報がどんどん出てきている。
外来リハビリは存続するか否か?
地域包括ケア病床における手術は出来高?
200床以下の中小病院の訪問サービス必須化?
回復期リハビリテーション病の入院対象患者の絞り込み?
7:1病床はすべてDPCへ移行が義務付け?
地域包括診療料が訪問系サービスの加算要件?

などなど・・・・・・・・・・・。多くの情報が国の会議録や専門情報誌でリークされている。
いずれにしても、国の方針はお金の流れを決定する。国の方針に沿った運営や経営をすればキャッシュが得られやすいことも事実である。そして、潤沢なキャッシュがなければ、時代を見越した新たな事業に取り組むことも難しい。

2050年に向けて勝ち組の医療・介護事業所になるためには国の施策を遵守し、かつ、そこから得た内部留保を新規事業に投資する必要がある。

2016年度診療報酬改定にむけて、各医療機関は準備が出来ているだろうか。
多くの医療機関は2014年度の診療報酬改定の対応に未だに追われているのではないだろうか?おそらく、そのような医療機関は2018年度診療報酬改定前においても、2016年度診療報酬改定の対応に追われているだろう。

つまり、2016年度診療報酬改定への準備は、2015年度中から行う必要がある。そのためには、情報収集を怠らず行い、得られた情報を経営者、幹部、部下に伝えあらゆる可能性に関して啓蒙をする必要がある。もちろん、2016年度診療報酬改定の概要が判明する2016年2月末日まで、細部にわたる意思決定は難しい。しかし、2016年度以降に医療機関としてどのようにしていきたいか?という「経営ガイドライン」については、2015年度中に決定することができる。

今は、2014年度の診療報酬改定の対応をしている場合ではない。2016年度診療報酬改定にむけて、よーーーーい どん のよーーーーいを行う時期である。
明日から来年度、どうしたいのか?という議論を、一度職場でしてみてはいかがだろうか?

リハビリテーションの社会化が始まっている

2025年に向けて地域包括ケアシステムの構築が加速している。病床削減、医療の機能分担、在宅限界点の向上、医療と介護の連携、チームアプローチ推進・・・・など医療と介護を取り囲む環境は激変している。あれも、これも地域包括ケアに向けた施策である。

今日の医療行政の変化は、2000年に導入された介護保険制度導入が起点となっている。介護保険制度は「介護の社会化」を目指したものであった。介護保険創設当時において、介護の社会化とは、「在宅にて家族が担ってきた介護」を、日本社会共通の問題と定義し、介護を提供する社会資源を、税金と保険料より拠出された財源によって、社会全体で担っていくものと説明された。今日では、制度上の多くの問題はあるものの、介護保険は広く一般国民に知られることになり、高齢化社会を支える重要なインフラになった。

そして、現在においては地域包括ケアシステムの構築のもと、「リハビリテーションの社会化」が進んでいる。2006年に医療保険における疾患別リハビリテーションと算定上限日数制限により、介護保険を用いたリハビリテーションが推進された。その後、2008年前後から、デイサービスや訪問看護におけるリハビリテーションサービスが盛んになり、在宅患者へのリハビリテーションのインフラが急速に整った。

また、2017年4月までに、全国にて要支援の高齢者に対する日常生活支援総合事業が開始される。日常生活支援総合事業は、行政から委託を受けた医療法人、社会福祉法人、民間企業、ボランティアが高齢者の状況に応じたリハビリテーションや生活支援を行うものである。

在宅医療に目を向けると、病院の在院日数短縮の影響により、より重症な患者が早期に在宅に復帰するケースが増えており、医師、看護師、セラピスト、そして、介護士、家族に対してもリハビリテーションの取り組みが重要となっている。

つまり、リハビリテーションが広く国民の間で知れ渡ることになり、今後はより一般的な社会的サービスとして発展していくことが予想される。まさに、「リハビリテーションの社会化」である。

「リハビリテーションの社会化」とは、従来、医療機関や介護施設でのみ行っていたリハビリテーションを社会共通の問題と定義し、リハビリテーションを提供する社会資源を、税金と保険料より拠出された財源によって、社会全体で担っていくものと言える。

リハビリテーションの社会化により、リハビリテーションに関するサービスがあらゆるところで市場かされていく。すなわち、セラピストが活躍する場が増えていくことを意味する。
しかし、現状は85%近くのセラピストが医療機関に勤務していることから、リハビリテーションの社会化の流れは決して円滑ではない。

リハビリテーションを社会に汎用的に活かしていくためには、セラピストの知識、技術はもちろんのこと、コミュニケーション能力、マーケティング能力といったビジネススキルも要求される。

リハビリテーションが特別ではなく、当たり前の社会を作るためにセラピストは邁進する必要がある。

 

 

医療・介護従事者の生き残り策:自身の資源を資産化せよ

自分や組織が持っているあらゆる経営資源を有効活用し、、市場からの金銭的対価や社会的評価という資産を得ることを意識している医療・介護従事者はどれぐらいいるのだろうか?

経営資源の代表例はヒト・モノ・カネ・情報・技術・時間・知恵・顧客などがある。
医療・介護従事者にも経験、知識、技術、人脈、行動力、お金、知恵、勇気、コミュニュケーションなどの資源が存在する。
これらの資源は、「ただ、もっているだけ」では意味がない。これらの資源を組み合わせて、サービスや商品を創り出し、市場に売り出すことで、はじめて資産化の可能性が得られる。
多くの医療・介護従事者は、自身の資源の棚卸しすらしていない。あるいは、棚卸しを実行しても、サービスや商品を創りだす行動にたどり着いていない人がほとんどである。
自身の資源を認識し、市場へアプローチを実行する少数派だけが、圧倒的に市場で優位になる時代になっている。

本ブログでも述べているように、日本の社会情勢は大きく変化している。企業が個人を守る時代は終焉し、個人が社会の中でサバイバルしなければ、生活水準を向上させることが難しい時代に突入した。
特に、医師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・薬剤師・介護福祉士などは、医療保険・介護保険市場という規制ビジネスでご飯を食べている。この市場は、業界の総収入が、政府による総量規制を受けている。つまり、普通に仕事をしているだけで収入は上がりにくい状況であることは明白である。

組織や社会の課題を解決する人材のみが評価される時代になったと言っても過言ではない。自身が有している資源を資産化するためには、自身が所属している組織やコミュニティーの課題を認識した上で、自身の資源を有効活用し、その世界の利害関係者(ステイクホルダー)のシェアーを取ることが必要である。

あなたは自身の資源を理解しているか?あなたは自身の商品化を図っているか?
あなたは所属してる組織やコミュニティーの課題を認識しているか?

 

2040年以降に大量に余る医療・介護従事者とシニアビジネス企業

2040年代中盤に高齢者の数は減少に転ずる。
今後、日本は大きな局面を迎える。
2040年まで高齢者が増え続け、かつ、医療・介護従事者やシニアビジネス企業の市場が拡大する局面 と 2040年以降高齢者が減少し、医療・介護従事者やシニアビジネス企業の市場が狭小する局面である。

今後、十数年間は医療・介護従事者は2040年までの局面を乗り切るために、量産されていく。
資格制度の規制緩和、養成校や大学の設立や学部変更など2040年までを乗り越える施策が展開される。しかし、2040年以降に関する施策はなんら立案されていない。

現実的に大都市を除く、地方都市では1割~3割の急性期病床の削減や特別養護老人ホーム等の新設も停止している。つまり、今後は2040年以降の情勢に合わせた医療・介護政策の出口戦略も密かに始まっている。

状況はめまぐるしく変化する。一年ごとで、規制緩和、制度改訂が行われ、不要と判断されたビジネスの淘汰が始まる。現在、参入障壁が低いヘルスケアビジネスもどんどん新しい企業が参入し、そして、どんどん淘汰されていく。ヘルスケアビジネスが、安定した市場であると勘違いしている企業が参入しているのが現状である。市場があっても、生き残れるかは別問題である。多くの企業は2040年以降、狭小するシニアビジネス市場を冷静に把握できていない。

現状の市場モデルでは医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、歯科衛生士・・・などの医療・介護従事者が確実に余る時代が迫っている。2040年に確実に引退し、悠々自適に生活できる資産家以外はこの問題を真剣に考えなければならない。

今後は、2040年までを乗り越える地域包括ケアシステムの構築と2040年以降の市場拡大を得るための職域拡大という状況に我々は対峙しなければならない。

所有している知識と技術を100%発揮できる人は少数派である

医師・看護師・理学療法士・作業療法士等の専門職は、文字通り専門分野を有する職能人である。したがって、特定の分野に関する知識や技術を高めることが重要であることに疑問の余地はない。実際に特定の分野に造詣の深い医師や理学療法士、作業療法士が存在する。

しかし、知識や技術の高さと仕事の生産性や社会貢献度は正比例しない。
なぜならば、知識や技術はコミュニケーションやマーケティングにより、発揮されるものである。知識や技術を相手に伝えるコミュニケーション能力や知識や技術が活かせる市場や場所を選定するマーケティング能力が低ければ、どれだけ博学でも仕事の生産性は低い。

つまり、100の知識や技術を持っていても上記した能力が低下していると、20の知識や技術しか市場で発揮できない人もいれば、50の知識や技術しか持っていなくても、高いコミュニケーション能力やマーケティング能力で50発揮できる人もいる。このケースでは後者のほうが市場価値が高いことになる。

医療・介護の市場は地域包括ケア、ロボットテクノロジー、脳科学、バイオメカニクス・・・などの知見が混在している。よって、博学な知識や高い技術スキルに加え、コミュニケーション能力、マーケティング能力を高めなければ、市場で生き残りにくい状況になっており、今後もこの状況はさらに続く。

高いレベルの知識・技術・コミュニケーション・マーケティングの獲得では容易ではない。そのため、所有している知識と技術を100%発揮できる人は少数派である。しかし、少数派だからこそ、市場から高評価が得られるのである。したがって、今後の人材育成においては、100%の知識と技術を発揮できるための教育的介入がますます重要となる。