結局、経験から学べないPT・OT・STはなんの成長もできない

年末年始になると過去の振り返りや今後の豊富などを語ることが多い。

自分の人生を自分でデザインしている人ほど、自身の過去の経験から感じたことやその意味を語ることができる。

これは経験からの学びが多いということを示す。

経験から学ぶ内容は、その経験が自分に与えてくれた意味である。

例えば、仕事で失敗した時にその事実から自分がどのような意味を感じるか?ということは、非常に重要である。

二度と失敗しない方法、失敗の要因分析、失敗から感じた自身の改善点などの「意味」を、肯定的に抽出できる人は、確実に成長できる。

つまり、自分で自分自身を成長させる。

これを自己概念の成長と言う。

人は誰しもそれぞれの人生で獲得してきた経験がある。

しかし、経験から成長できる度合いには個人差がある。

この差は、自分への意味の抽出ができるか、できないか?という行為に依存している。

あらゆる経験から意味を抽出することが、キャリアデザインには必要不可欠である。

自己概念を成長させるためには、以下の要素が必要である

1)多くのことを経験すること、経験がなければ意味を抽出することは困難である

2)当事者意識を持ち、経験から生じた問題に対して正面から向き合うことで、意味が抽出される

3)意味の抽出が難しい時は、信頼できる人に相談すること

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どのような資格を有しても、どのような専門性をもったとしても、自分が経験したことから学びがなければ、仕事の生産性は頭打ちなる。

また、多くの経験をすることで、抽出される意味も多くなり、その分だけ自己概念が成長する。

大量に行動をしている人や信頼できる相談相手が身近にいる人は、間違いなく仕事や人生に情熱的、精力的に取り組むことができる。

ステータスや表面的な知識が理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を成長させるのではなく、その人自身の過去がその人を成長させるだけである。

すなわち、過去を顧みることは未来を見ることになる。

 

目の前の利用者を幸せにしているか?という自問自答がセラピストを成長させる

2015年度介護報酬改定は、リハビリテーションの現状にメスを入れた。

デイサービスやデイケアは「利用者の生活機能向上」を担う明確な方向付けが行われた。

医療保険では「キュア」、介護保険では「ケア」というすみ分けが進んでいたが、現在は多重に疾患を持つ人、慢性期症状と急性期症状が混在している人、認知症を有する人が、医療保険や介護保険の両方を利用する状況になっている。

すなわち、「キュア」も「ケア」も提供できる体制を、地域や組織で構築しなければならない事態が進行している。

その体制を構築するためには、「利用者の生活機能向上」という視点が有用である。

生活を主軸におけば、「利用者の生活に必要な要素」が見えてくる。

「利用者の生活に必要な要素」は、関節可動域?筋力?姿勢調節機能?装具?住宅改修?外出の機会?業者間の連携?・・・・・。

2015年度介護報酬改定では、「利用者の生活に必要な要素」について、考える概念そのものが「リハビリテーション」であると再定義を行った。

言い換えれば、リハビリテーションとは「人を幸せにする」武器である。

人の幸せは人それぞれで違う。

それぞれに違う幸せの状況を実現するためには、多くの武器が必要である。

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しかし、現在のセラピストの教育モデルは、医学モデルが中心となっており、他領域の武器を持つことに対しての整備は不足している。

当然、養成校への通学期間だけで、すてべを学ぶのは困難であり、セラピストを引退するまでを見据えたキャリア教育が重要である。

厚生労働省は、巷にある多くの「リハビリテーション特化型デイサービス」は「マシントレーニング特化型デイサービス」と考えている。

決して「リハビリテーション特化型」とは考えていない。

その考えが、2015年度介護報酬改定では全面的に顕在化している。

あなたのリハビリテーションは利用者を幸せにしているか。

この質問にしっかりと応えていくセラピスト業界を作り上げることが、セラピストに課せられた責務である。

急性期におけるキュア&ケアハイブリッドリハビリテーション

高齢化の進展により、急性期病院に入院する患者の属性が変化している。

急性期病院は重症度の高い急性発症の患者が入院する「場」であったが、高齢者の延命率向上や介護保険によるケアの提供により、在宅生活と病院入院を繰り返す高齢者が増加している。

その結果、急性期病院には複数の既往歴や認知症を有する高齢者が入院するケースが増えており、急性期医療の医学的モデルが適応できない状況が進んでいる。

そのため、急性期病院では慢性期疾患を持った高齢者に対する急性期治療を行うという複雑な状況が増えている。

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特に認知症高齢者今後800万人になるとも言われており、急性期病院における認知症対応も大きな課題である。

つまり、高齢化が進展し、介護保険サービスの質が良くなればなるほど、急性期の役割は多様性を増してくる。

治療を意味するキュア、全人的アプローチを意味するケア

この両方の提供が急性期病棟には求められる時代となっており、リハビリテーションにおいてもキュアとケアのバランスが課題となっている。

専門性の高い治療技術、多職種と連携し、最良のQOLを生み出す技術、これらがミックスされたハイブリッドリハビリテーションが向こう30年は加速する。

急性期だから慢性期、認知症の技術を磨く。そんな時代になっている。

 

 

回復期リハビリテーション病棟vs地域包括ケア病棟

2014年度診療報酬改定にて、回復期リハビリテーション病棟は、「回復の見込みがある患者に対して、集中的にリハビリテーションを提供する病棟」に、地域包括ケア病棟は、「回復ののびしろが少ない患者に対して、包括的なリハビリテーションを提供する病棟」になることが求められた。

性質の違う2つの病棟ではあるが、在宅復帰率に関しては双方ともに高い水準が要求された。

すなわち、リハビリテーション医療はADLを自立させる手段だけではなく、「在宅復帰に必要な要素を包括的に提供する手段」であるが求めれたと言える。

現在、回復期リハビリテーション病棟には厳しい目線が注がれている。

診療報酬上は、一日9単位のリハビリテーションの提供が、認められている。

しかし、都道府県の違いによって、7単位以上は見学な要件を満たさなければ、認められない。

また、廃用症候群の病名でも、回復期リハビリテーション病棟の入院料が、査定されるという事態も生じている。

すなわち、国は回復期リハビリテーション病棟の差別化、区別化、淘汰を試みている。

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地域包括ケア病棟では、2単位のリハビリテーションの提供が可能である。

もし、地域包括ケア病棟が、回復期リハビリテーション病棟と同様の在宅復帰率等のアウトカムを出すことができれば、次の診療報酬改定では回復期リハビリテーション病棟には間違いなく逆風が吹く。

また、地域包括ケア病棟も、急性期からの患者だけでなく、在宅からの救急患者の受け入れが、求められている。

したがって、今後は大腿骨頚部骨折や循環器疾患等へ積極的な治療介入が期待される。

急性期病棟は「在院日数が短い超急性期対応型」が移行が進んでいる。

したがって、急性期病棟や回復期病棟とは差別化された病棟としての役割が地域包括ケア病棟には課せられた。

回復期リハビリテーション病棟が生き残るか?

それとも、地域包括ケア病棟が存在感を増していくか?

急性期後の医療体制は、大きな転換期を迎えている。

ワークシフトを実践する人にとって2025年問題は最高のチャンス

15歳から64歳までの現役世代人口は2010年には8174万人、2050年には5001万人になっている。

その間、65歳以上の高齢者は800万人以上増加している。

これは何を意味するか?

医療、介護職が不足する
医療、介護報酬が上がらない
医療、介護職の賃金が上がらない
・・・・などが毎日のように新聞、ヘルスケア雑誌に記載されている。

しかし、マイナスなことばかりが起こるわけではない。

ワークシフトを実践する医療・介護従事者には、最高の市場が訪れている。

労働力が減る社会においては、有能な人材はより、輝きを増す。

マネジメント
コーチング
急性期から慢性期に対応できる医療・介護技術
医療・介護業界マーケター
技術開発
などの能力を有する人材は、医療・介護業界において益々、至宝の存在になる。

今後、そういった人材は、複数の病院や企業に勤務し、同時に高い報酬を受けるだろう。

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ワークシフトを実践する人にとっては今後の労働市場はブルーオーシャンである。

ワークシフトを達成するためには「連続的スペシャリスト」を目指す必要がある。

連続的スペシャリストとは
独自の専門分野を持ちながらも社会の変化に対応し、連続的に専門分野を取得していく人
である。

しかも、20代だろうが60代だろうが関係ない。

真のワークシフトは死ぬまで続けることに意義がある。

ブルーオーシャンの市場が現れるのではない。

ブルーオーシャンの市場を自分で造るのだ。